https://naritaetuko.jp成田悦子の翻訳テキストとちょっとしたこと

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2010年2月23日火曜日

ふるもののないあなたと

ゆきがふる
ゆきがふる
わたしのまどべをとおりすぎ
わたしをとおりすぎるひともなく
きょうが
とおく
ゆく

ゆ きはふる
ゆきはふる
ふるもののないあなたと
ふるえるだけのわたし
はいいいろのそらにゆきはなく
それぞれのまどべ にゆきがふる

ゆきがふる
ゆきがふる
かみとえんぴつとそしてひと
ふりかざすその机上の古びた本
黙していっ たひと
目して祈らないわたしの疲れ

ゆきはふる
ゆきはふる
うつる夜の月影に
果てしなくふりがなが振る
移 り往く世に燃えて舞う
あかくあかく悲しくあかい焚書(ふんしょ)の坑(あな)

ゆきがふる
ゆきがふる
断たれたいの ちにまわるめりーごーらうんど
わたしのない日付け
あすが
とおく
きょうも
とおく
かるいかるいゆきが天にま う

焚書坑儒
秦の始皇帝が民間に蔵する医薬・トゼイ(亀甲占い)・種樹以外の書物を焼き捨て、数百人の学者を坑(あな)に埋めて殺 したこと。転じて学問・思想に対する弾圧。

10:41 2010/01/01 金曜日