https://naritaetuko.jp成田悦子の翻訳テキストとちょっとしたこと

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2011年5月28日土曜日

山田将司(THE BACK HORN)の圧倒的存在感

THE BACK HORN /閉ざされた世界

「成田悦子ni-na」と「成田悦子清う湖の朝」に詩を投稿した後、見つけた「THE BACK HORN」「閉ざされた世界」は、荒削り、バック、プロモーション・ヴィデオに問題があるとは思いますが、「久しぶりにいい男に遭った」と、嬉しく思いました。

ヴォーカルの山田将司さんにだけ興味があります。
他は、興味がありません。
私は1949年生まれ、山田将司さんは1979年、三十歳の年齢差。
結婚は考えていません。
向こうも考えないと思っていますから、先に明らめています。

彼には説得力ある魅力があります。
声は今のままで悪い訳ではありませんが、もう少し変えることが出来るでしょう。
落ち着いたやや太めの声、音譜と詩の一音一音を植え付けるような感じで歌うと、もっと良くなります。
彼の魅力を最大限に引き出せる時代は、今しかないと思います。
時代は、軽薄を求めません。
人々が軽薄になった今こそ、軽薄を提供するのではなく、山田将司の圧倒的存在感を売るのです。
楽曲に恵まれていないようですから、何処かの会社で曲を提供し、彼を使って欲しいと思います。

一体、日本のロックやポピュラーというものは、何処に行ってしまったのでしょう?
何一つ流行させることが出来ないのなら、十曲作るのは止めて、一曲「これぞ」という商品を作って下さい。
売ることを考えた場合、今の方法では、売ることが出来ません。
売る為の方法を採った会社がありません。

「バックホーン、メジャー行って丸10年」と山田将司さんはTwitterに書いています。
非常に頭の良い方で、おそらく書いたことはないのかも知れませんが、詩を書くことが出来る方だと思います。
とにかく、秀でた才能を感じます。
私が久しぶりにいいと思った男性ヴォーカルです。
いい曲と歌詞さえあれば、必ず彼が歌えばHITします。
私達の年齢でも受け容れることの出来る歌手です。
普通に歌うと良いでしょう。
巻き舌はいけません。
巻き舌、言葉のアクセントに逆らったメロディによって歌詞が損なわれていることが、現在のCDの売り上げ減に繋がっています。

山田将司さんの画像を幾つか見ました。
孤独の深い意味を知る顔、一転して笑顔も際立って人懐っこい感じで、好印象です。
孤独を知る人は、笑顔も良いものです。
魅力的な笑顔には、笑顔そのものの良さは勿論のこと、笑顔の下に隠された、笑顔と裏腹の寂しげな様子が見えます。
決して冷ややかな眼差しというのではなく、人を射抜くような透徹した眼差し、人を留め置く眼差しです。
私が持っているものと同じものを持っているなと感じました。
感性が研ぎ澄まされています。
普通の人とは違う、才能がある、と私は思いました。

「THE BACK HORN」の最新曲は、「世界中に花束を」です。
何処かで聞いたような、題名を避けると売れます。
理由は、誰もが、全てのレコード会社が、何処かで聞いた歌詞や題名しか作ることが出来ないからです。

「なぜだろう 何も無いな」が出だしです。
「なぜだろう 何も無い」と言い切る方が、出だしとして説得力を持たせることが出来ます。
「人気のない明け方の街を 歩くのが好きだった・・」
これでは、イメージを膨らますことが出来ません。
優れた歌詞は、なぜか、一つの意味を持つだけでなく、幾つもの意味に解釈出来ます。
色や情景が目の前に広がり、私達は、歌の思いを共有することが出来ます。

「歩くのが好きだった」と言うより、「歩いた」にすると、歩いている情景を想像出来て、いい歌だと思わせることが出来ます。
「明け方の町を歩く」という動作を「好きだ」という感想を書いたことで、歩いている像を聴くものから奪っています。
最近字余り的な歌詞が多くて、うんざりしています。
こうした過剰な説明は、詩には要りません。
詩は、言葉を削ぐという作業でもあり、削ぐことによって私に向いている視点を外に向けることが出来ます。
そうすると、人は想像力を働かせることが出来、感動します。
感動は、与えるものでも奪うものでもなく、其処に行き、歌と同じシチュエイションに立って、自らの傷を思い、孤独を思い、涙を流すことです。
如何に感動を誘発するか?を追求するとHITします。

「人気のない明け方」という言い方に問題があります。
「人気のない」を他の言葉に置き換えると印象が変わります。
「明け方の町」というのは、「人気がない」のが当然ですから、結ばれるはずの「明け方の町」のイメージ、映像を「人気のない」という言葉(単語)が遮ります。
人がいないという様子をまるで違った言葉に置き換えると、いい感じになります。

訴えたいことは分かりますが、歌詞に問題があります。
まだ曲を聴いていません。
しかし、歌詞が優れていることは、CD売り上げ増に繋げる為の必須条件です。
歌詞が軽んじられて来た結果、詩人が不在です。
過去に売れた歌詞の単語を繋げ、幾つCDを発売しても、ますます状況を悪くするだけです。
自ら首を絞めています。
今、言葉の全てが意味を失くしてしまいます。
売れた単語まで売れない単語に属させてしまうことになります。
例えば、「街角」という単語は、イメージを膨らませるのには好都合な単語です。
しかし、現状のままですと、其処に付けられた修飾語が「街角」という単語そのものを汚し、イメージを悪くしてしまいます。

詩を書くことを安易に考えてはいけません。
其処に「強い思い」が無ければ、どんな素晴らしい言葉を並べてみたところで、空虚そのものです。
売ることを考えているようで、売れないようにしています。
「この歌こそ世界中の人に聞いて欲しい」、「ヒット間違いなし」その思いが欠けています。
だらだら作って出しても、赤字を増やすだけです。

歌手は皆、整形女男・・・
整形した顔では歌は歌えません。
整形は、形を整える、形を変える・・その歌手自身がいなくなることです。
鼻、口、顎、歯の整形は特に要注意です。
自分を失った顔で歌を歌って貰っても、聞く側は何だか白けてしまいます。 
整形は、貴方を失うことです。
貴方の皮膚、貴方のくちびるであることは、恥ずかしいことではありません。
美しいということと、形が整っていると云うことは違います。
美しい歌手が大勢いるのなら、普通の整形しない顔の歌手が売れます。
同じ方向に皆で走っても、事態は良くなることはありません。

山田将司さんは才能のあるヴォーカリストです。

2:58 2011/05/28土曜日