食物は僕たちのつまらないお喋りを遮り、彼女は、僕たちが食事を終えた時だけ、何故彼女がそこにいるかの僅かな気配を、見せただけだった。「私は、私と一緒に昼食を摂るよう貴方にお願いしたわね。」と彼女は言った。「私、ヘンリについて貴方に聞きたかったの。」
「ヘンリ?」僕は繰り返し、僕の声が落胆と無縁であるように務めた。
「私は、彼が心配なの。先日の夜、貴方は彼をどうやって見つけたの?彼は何だか変じゃなかった?」
「僕は可笑しなところにはまるで気付かなかった。」と僕は言った。
「私は貴方に尋ねたくて―オウ、私、知ってるのよ、貴方はとても忙しいって―貴方は時折彼を調べているかどうかを。私は彼は寂しいんだって思っているの。」
「貴女と一緒なのに?」
「貴方も知っているでしょ、彼は本当に私のことに全く気付いていなかったの。何年もじゃないの。」
「多分彼は、貴女がそこにいない時、貴女のことに気付き始めたんだよ。」
「私たちはそれ程出かけてはいないわ。」彼女は言い、「最近、」と、彼女の咳は都合よくその話の輪郭を壊した。その時で、発作は終わり、彼女は彼女の策略を考え出した。しかしそれは真実を避けようとする彼女に相応しくなかった。「貴方は新しい本に取り掛かっているの?」彼女は尋ねた。それは他人が話しているようで、コクテイル・パーティで会う見知らぬ人のようで。南アフリカのシェリーを巡る初めての機会にさえ、彼女はその見解に傾倒しなかった。
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