彼は、急いで続け、彼自らの提案が実際興味深いものではないかのように、マガジンの頁を捲った。「よくそれを考えてみて欲しい。貴方は、今、決める必要はない。」
「それだから、貴方はとても善良だ。」
「貴方は僕に好意を示そうとする、ベンドゥリクス。」
僕は思った、何故そうしないのか?作家は、型に嵌らないと見做(みな)す。僕は、上級官吏よりずっと典型的なのか?
「僕は、昨夜、夢に見た、」ヘンリが言った、「僕たちの何もかもを。」
「そう?」
「僕は、大抵、覚えていない。僕たちは、一緒に飲んでいた。僕たちは、幸せだった。僕は目覚めた時、彼女は死んでいないと思った。」
「僕は、今は、彼女の夢は見ない。」
「僕たちが、あの牧師に彼の道を貫かせていたらなあと思う。」
「そんな馬鹿げた、ヘンリ。彼女は、もう貴方より僕よりずっと、カサリクとは言えない。」
「貴方は、残存を信じるの、ベンドゥリクス?」
「もし貴方が個人的残存を言おうとしているのなら、いいえだ。」
「人は、それに論ぱく出来ない、ベンドゥリクス。」
「何か論ぱくする、それはほとんど不可能だ。僕は、物語を書く。その中で、何事も起こらなかったと、その登場人物は現実にはいないと、貴方はどう証明出来る?聞いてくれ。僕は、今日、共有地で三本足の男に会った。」
「何とおぞましい。」ヘンリは真剣に言った。「出来損い?」
「それに、魚のうろこでそれは覆われていた。」
「貴方は冗談を言っている。」
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