https://naritaetuko.jp成田悦子の翻訳テキストとちょっとしたこと

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2013年12月25日水曜日

「The Little House(小さな家)」page 1~12

岩波子どもの絵本の「ちいさいおうち」を、年末までに翻訳します。
「The Little House」
story by
Virginia Lee Burton

page1
昔、或る時、一軒の小さな家が、田舎の外れ辺りにありました。
彼女は、感じのよい小さな家でした。
その上、彼女は、頑丈で、申し分なく造ってありました。
彼女を、とても頑丈に建てた、その男は、言いました。
「この小さな家は、金貨や銀貨と引き換えに売られてはならない。彼女の中で暮らす僕達の曾々孫の曾々孫を見る迄、彼女は、きっと残っている。」

page 2
その小さな家は、丘の上に身を置いているだけで、心底幸福で、彼女を囲む田舎の様子を見守っていました。
彼女は、暁に朝陽が昇るのを見届け、夕べに、陽が沈むのを見届けました。
日は、それぞれが、以前のそれと少し異なって、その日の後に続きました。
けれども、その小さな家は、全く変わりません。

page 4
夜な夜な、月が、か細い新月から満月に変わってゆくのを見守りました。
そして、月さえない時、彼女は、星を待ち望みました。
遥か遠く離れた辺りに、彼女は、街の明かりを見る事が出来ました。
小さな家は、街について知りたくなりました。
いったい、どんな人がそこで暮らしたがるのだろう、と不思議に思いました。

page 6
彼女は、季節と共にゆっくりと移り変わる田舎の様子を見てはいましたが、小さな家にとって、時は、急いで過ぎ去ったのです。
春には、昼間が一段と長くなり、日差しがますます強くなります。
彼女は、最も早い駒鳥が、南方から帰るのを待ちました。
彼女は、芝生が緑色に変わるのを見届けました。
彼女は、樹木が芽吹き、林檎の木が一時(いっとき)に花開くのを見ていました。
彼女は、小川の中で、遊んでいる子供たちを見守りました。

page 8
長い夏の昼間、
彼女は、日向に身を置き、葉で自分を覆い隠している木々や、丘を覆う白いフランス菊を見ていました。
彼女は、庭が草木で覆われるのを見守りました。
それから、彼女は、林檎が赤く色付き、熟すのを見届けました。
彼女は、子供達がプールで泳いでいるのを見守りました。

page 10
秋に入り、
昼間が幾分短くなり、夜が心なしか肌寒くなりますと、
彼女は、初霜が、木の葉を、目も覚めるばかりの黄色や、橙色(だいだいいろ)や、赤色に染めるのを見ていました。
彼女は、作物が取り入れられたり、林檎が捥(も)ぎ取られたりするのを見届けました。
彼女は、学校に戻る子供達を見守りました。

page 12
冬に入って、
夜は長く、昼間は短くなり、田舎が雪で覆われますと、
彼女は、滑り降りたり、スケートをしたりする子供達を見守りました。
一年は、一年の後に続きます・・・
林檎の樹は、老い、新しい木が植えられました。
子供達は大人になり、街に行ってしまいました。
そうして、今では、夜になると、
街の明かりは輝きを増し、密集しているかのように思えました。

15:35 2013/12/25水曜日