2023年2月28日火曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 「ハノイの北-西大勝利、フランス人は、彼らが失ったと我々に話していなかった二つの谷を取り戻した。絶体絶命のヴィエトゥミン死傷者数。未だに彼ら自身数えられもしないが、1、2週間以内に我々に知らせるだろう。」

 しみったれ大使館員が言った、「ヴィエトゥミンはファトゥ・ディエムに侵入し、大聖堂を焼き、主教を追い出したという噂がそこにある。」

 「彼らはハノイのその事を我々に話そうとしない。それは勝利ではない。」

 「我々の医療ティームの一つはナム・ディンの向こうへ到達できなかった、」パイルが言った。

 「君達はそれと同じ距離ほども下らなかった、ビル?」しみったれ大使館員は尋ねた。

 「あんたは僕が誰だと思うのか?僕は、喩え僕が限界を超えようと、表に出る発行部数を維持する通信員だ。僕はハノイ飛行場へ飛ぶ。彼らはプレス・カムプへ向かう車を我々に与える。彼らは、彼らが奪還したての二つの街の上を飛行して通過し、我々に三色旗が飛ぶのを見せる。そりゃあその高度では何か繕われた旗かも知れない。それから我々は記者会議を開催し、連隊長が我々が何を見て来たか、我々に説明する。それから我々は検閲官付きで我々の電報を申し込む。それから我々は飲むんだ。インド‐チャイナで最高のバーマン。その後我々は飛行機を捕まえて引き返す。」

 パイルは彼のビアに顔をしかめた。

 「君は君自身を過小評価する、ビル、」しみったれ大使館員が言った。

「何故って、ロウドゥ66のあの話ーそれを君は何と名付けた?地獄行きハイウエイーあれは典型的なプリトゥサだった。僕が意味するところを君は知ってるー排水溝に膝まづきながら、吹き飛ばされた彼の頭の付いた男や夢心地でほっついている君が見たその他・・・」

49

2023年2月27日月曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 しかし彼は知らなかった。彼はラヴァタリから陰気に戻って来た。「その女性は誰?」彼はむっつりして彼に尋ねた。

 「フォンさんはファウラの友人です、」パイルは堅苦しく言った。「我々は誰かを知りたい・・・」

 「彼は何処で彼女を見付けたの?貴方がたはこの町では気を付けるようになった。」彼は陰気に付け加えた、「神にペニシリンを感謝します。」

 「ビル、」しみったれ大使館員は言った「我々はミクが何者か知りたい。」

 「僕を探って。」

 「しかし君は彼をここに連れて来た。」

 「フランス人はスカトゥランドゥ人を連れて行けない。彼は意識を失った。」

 「彼はフランス人?僕は、貴方は彼をミクと呼んだと思った。」

 「彼を何がしかで呼ばなくちゃ。」グランガ言った。彼はフォンにすっかり寄りかかって言った、「ねえ、あんた。オリンジをもう一杯飲んだら?今夜デイトゥをそて貰える?」

 僕は言った、「彼女は毎晩デイトゥの約束がある。」

 しみったれ大使館員は早口で言った、「戦争はどう、ビル?」

48


2023年2月26日日曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 パイルは真剣に言った、また顔を赤くして、もし僕が思い付いても二度と貴方がたを招待しません・・・」

 白髪交じりの塊は椅子の中で動き出し、それが付いてないかのように頭がテイブルの上に落ちた。それは溜息を吐いた、無限の退屈という長い口笛を吹きながらの溜息、そしてじっとした。

 「君は彼を知ってるの?」僕はパイルに尋ねた。

 「いえ。彼は記者の誰かではないんですか?」

 「僕はビルが彼をミクと呼ぶのを耳にした、」しみったれ大使館員が言った。

 「あそこには新しい合同通信社の通信員はいませんか?」

 「それは彼じゃない。僕は彼を知ってる。貴方がたの経済使節はどうです?貴方は全ての貴方の所の人々を知る事はできないーあそこにはその内の百人がいる。」

 「僕は彼が属しているとは思わない、」しみったれ大使館員が言った。「僕は彼を思い出せない。」

 「我々は彼の身分証明書を捜せばいい、」パイルが仄めかした。

 「神のためにも彼を起こすな。酔っ払いは一人で十分。いずれにせよグランガが知ってるさ。」

47

2023年2月25日土曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 「ビル・グランガー貴方は屑の外に彼を維持できない。」

 「貴方は正しいと僕は思います。僕は、いつか別の夕方に、賭博バーで彼を見かけました。」

 「君は、僕がそんなつもりじゃないとよく分かってる。」

 二台の輪タク運転手がカティナトゥ通りに猛烈な勢いでペダルをこいでやって来て大接戦の内にコンチネンタルの外で止まった。一番に入ったのはグランガだった。他はグランガが今や歩道に引きずり出し始めた小さい、白髪交じりの無言の塊と言っていい。「オウ、さあ来い、ミク、」彼が言った、「来いよ。」それから彼は彼の運転手と運賃について口喧嘩をし始めた。「さあ。」彼は言った、「それを持って行くのか、それを残して行くか、」そして卑しめるために男に向かって5回適当な総額を通りの中に、投げ付けた。

 しみったれ大使館員はいらいらして言った、「僕はこの男達は少しは気晴らしをする権利があると思う。」

 グランガは椅子の上に彼の荷物を放り出した。その時彼はフォンに気付いた。「どうしたの、」彼が言った、「お前は分別のある誰かさん、ジョウ。お前は何処で彼女を見付けたの?お前はお前の中にフウイスルがあるのを知らなかったのか。気の毒に、尻を捜しにかかっていたんだ。ミク面倒見てやれよ。」

 「がさつな軍人らしい作法の数々、」僕は言った。

46

2023年2月24日金曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 それがしみったれ大使館員だった。彼は頭上のテラスから僕達の下の方に微笑みかけた、非常に暖かみのある歓待の笑顔、自信に満ち、彼は好ましい脱臭剤を使って彼の友人達を維持する男のように。僕は、何度も彼がジョウと呼ばれるのを耳にしたが、僕は彼の苗字を習得せず仕舞いだった。彼は椅子を引っ張り出し、またウエイタを呼び寄せての騒々しい芝居をした、その活躍全てはかろうじてコンチネンタルにおける演出を可能にはしたが、ビア、ブランディ‐アンドゥ‐ソウダかヴァマス・カシスかという選択に行き着くのだった。「ここで君に会うなんて思いもしなかった、ファウラ、」彼は言った。「我々はハノイから戻る男達を待っている。あそこは今まさに戦闘の最中らしい。君は彼らと一緒じゃなかったの?」

 「僕は記者会見のために4時間飛ぶなんて嫌気が差します、」僕は言った。

 彼は反感を持って僕を見た。彼は言った、「こいつらは実に熱心だ。何故か、僕は、彼らは業務で、或いは何のリスクもないレイディオウで二度稼げるだろうにと思う。」

 「彼らは仕事にありつけさえすればいいんです、」僕は言った。 「彼らは軍馬のように戦闘を嗅ぎつけるらしい、」彼が好まない言葉には少しも気にする事なく勢い込んで続けた。

45

2023年2月23日木曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 3

パイルがフォンに会った初めての機会は、またもやコンチネンタルにてで、多分彼の着任後2ヶ月。それは日暮れに近く、束の間の涼感が日が沈んだばかりの時に訪れ、蝋燭が露店に灯された。さいころが、フランス人が421をしていたテイブルでガラガラ音を立て、白いシルクのズボンを履いた女達はカチナトゥ通りを家へと自転車に乗って去った。フォンはオリンジ・ジュースのグラスを傾け、僕はビアを飲んでいた、そうして僕達は黙って一緒にいる事に満足して座っていた。その時パイルが躊躇いがちに横断して現れ、僕は彼らを紹介した。彼はまるで以前に人に会った事がなかったかのように一人の女を熱心に見つめ、それから顔を赤らめるふうだった。「僕は貴方と貴方の女性が、」パイルは言った、「向こう側に歩を進め、僕のテイブルに合流して下さるかどうかと思いまして。僕達の大使館員の一人が・・・」

44

2023年2月22日水曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 彼は当惑して咳払いをした、「勿論、」彼は言った、「僕は不運な商売をを忘れてた。僕は全く君の側にいた、ファウラ。彼は下手に動いた。僕は女の事で彼と長話をしたと君に打ち開けても構わない。君も知るように、僕は教授とパイル婦人を知っていると言う強みを持っていた。」

 僕は言った、「ヴィゴが待っている、」するとあちらの方へ歩いて行った。初めて彼はフォンを見付け、僕が彼を振り返ると彼は痛みに途惑って僕をじっと見ていた。分からず家の兄弟。

43

2023年2月21日火曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 突然僕は腹が立った。彼らのコウカ‐コウラの私営店や彼らの移動病院や彼らの広過ぎる車や彼らの全く最新的ではない銃と一緒の彼らの全パックに嫌気が差した。僕は言った、「そうだね。彼は生き抜くには何かをひどく欠いていたから彼らは殺した。彼は若かったし怠慢で浅はかで彼は当然のように巻き込まれた。彼は事件の全容の何たるかを貴方ほども気付いていないのに、貴方は金と極東に関するヨーク・ハーディングの書物を与え、言う『前進せよ。民主主義のために極東を勝ち取れ。』彼が講堂で聞かなかった何事にも彼は目もくれなかった、それに彼の著作権も講演者も彼を愚か者にした。彼が死体を見た時、彼は傷を見る事もできなかった。赤い脅威、民主主義の戦士。」

 「僕は、君は彼の友人だと思っていた、」彼は非難がましく言った。

 「僕は彼の友人だった。僕は、家で日曜版を読み、野球を目で追う彼を見たかった。僕は、読書クラブに記名する標準的なアメリカ女性と一緒の、間違いのない彼を見たかった。」

42


2023年2月20日月曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 「オウ、僕は覚えていると僕は思う。背景の崩れ落ちそうな崖と前景の金色に縁取られた眼鏡。」

 「それが彼だ。僕は故国に電報を打とうとした。そりゃあ怖かった。僕は、彼は我が息子だというほどあの青年を愛した。」

 「それが貴方を彼の父親と親密に関わらせる。」

 彼は彼の濡れた茶色の目を僕に向けた。彼は言った、「君は何を手に入れようとしているの?それは立派な若い仲間が・・・時の話し方ではない。」

 「僕が悪かった、」僕は言った。「死は様々な様々な方法で人をがんじがらめにする。」おそらく彼は本当に彼を愛して来た。「貴方は貴方の電報でどんなことを言ったの?」僕は尋ねた。

 彼は真面目に、額面通りに返事をした、「『貴方のご子息が民主主義という根拠の下で軍人の最期を全うされた事を報告するのは悲しみに耐えません。』公司はそれにサインした。」

 「軍人の死、」僕は言った。「それは少し混乱している事を証明する可能性はないの?つまり故国の国民に対して。経済援助使節団が軍隊のように響く。貴方はパープル・ハーツ章を手に入れるの?」

 彼は低い声で、あいまいさを伴いながら緊張して言った、「彼は特殊任務を抱えていた。」

 「オウそう、僕たちは皆そう推測していた。」

 「彼は話さなかったんだね?」

 「オウいや、」僕は言った、そしてヴィゴの言葉が僕に甦った。「彼は実に静かなアメリカ人だった。」

 「君は少し勘が働いたの、」彼は尋ねた、「どうして彼らは彼を殺した?そして誰が?」

41

2023年2月19日日曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 「君はあそこで何を手に入れた?」彼は言った。

 「白い絹のズボン二揃い、二枚の絹のロウブ、何枚かの女の下着ー三枚、僕は思う。全て国産。アメリカの救援無し。」

 「あそこに上がらなかったのか?」彼は尋ねた。

 「そう。」

 「君はニューズを聞いた?」

 「はい。」

 「そりゃあ酷い話だ。」彼は言った、「酷い。」

 「公司は大変心配していると僕は想う。」

 「僕は言うべきだ。彼は、現在、高等弁務官と一緒にいる、そして彼は大統領とのインタヴュウを求められている。」彼は僕の腕に彼の手を置き、車から僕を歩いて遠ざけた。「君は青年パイルをよく知っているんじゃないか?僕は彼にあった事、あんな事を見過ごせない。僕は彼の父親を知っている。ハロルド・C・パイル教授ー君は彼について聞いた事があるだろうか?」

 「いや。」

 「彼は水中の浸食に関する世界的な権威だ。君は何ヶ月か前のタイムのカヴァの彼の写真を見なかった?」

40

2023年2月18日土曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 「僕は離れた方がいい。彼も僕を封印したがる。」

 ヴィゴはうんざりして言った、「僕は貴方がついて来るといいと思うのだが。彼は僕に言うべき酷な代物を随分抱えている。」

 しみったれ大使館員は僕が外に出ると彼のパカードゥの側に立っていた、彼の運転手に何か説明しようとして。彼は恰幅のいい中年の男だった、際立った尻とまるでそれが剃刀を必要とした事がなかったかのように見える顔を持った。彼は叫んだ、「ファウラ。この罰当たりの運転手に説明できる・・・?」

 僕は説明した。

 彼は言った、「それにしてもそれは僕が彼に話した事と一致しているのにね、それでも彼は何時もフランス語を理解できない風を装うんだもの。」

 「それはアクセントゥの問題かも知れない。」

 「僕はパリスに三年いた。僕のアクセントゥはこの罰当たりのヴィェトゥナム人には上等だよ。」

 「民主主義の表明だよ、」僕は言った。

 「それはどういう事?」

 「僕は、それがヨーク・ハーディングよる一編だと思う。」

 「僕には君が分からない。」彼は僕が持ち運ぶ箱を怪しげに見た。

39

2023年2月17日金曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 「ちょっと早い。」

 「彼が貴方を見た最後の時、彼は貴方に何か打ち明けなかった?」

 「いいえ。」

 「それは何時でした?」

 「昨日の朝。大きな炸裂音の後。」

 彼は僕の返事を理解させようとして小休止したー僕の心に、彼のにではなく。彼は公正に尋問した。「貴方は、昨夜彼が貴方を尋ねた時、出ていましたね?」

 「昨夜?僕はいたはずです。僕は思いもよらなかった・・・」

 「貴方は出国ヴィーザを欲しがっているかも知れない。私共はそれを無期限に延ばせもすると貴方は知っている。」

 「貴方は実際信じますか、」僕は言った、「僕が故国に帰りたがっていると?」

 ヴィゴは明るく雲一つない昼間、窓の向こうに目をやった。彼は悲しげに言った、「大半の人々はそうです。」

 「僕はここが好きです。故国ではそこにありますー難題の山が。」

 「糞、」ヴィゴが言った、「ここにはアメリカのしみったれ大使館員ががいます。」彼は皮肉を込めて繰り返した、

 「しみったれ大使館員。」

38

2023年2月16日木曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

  彼の机は全く物がなかった。「貴方がすっかり持って行かせたんだね、」僕は言った。

 「オウ、」ビゴが言った、私は米国大使館代理としてこれらの管理をしなければならなかった。貴方はご存知だ、いかに速く噂が広がるか。そこは荒されたのかも知れない。私は文書の全てを封印しました。」彼はそれをニコリともせずに真面目に言った。

 「何か損害を被っている物でも?」

 「我々は同盟国に逆らって物を捜す余裕などあるはずがない。ヴィゴは言った。

 「僕がこれらの本の一冊を頂くと貴方は気に病みますかー形見として?」

 「私はあっちの方を見ていましょう。」

 ぼくはヨーク・ハーディングのThe Role of the Westを選び、フォンの衣服と一緒に箱の中にそれを詰め込んだ。

 「友人として、」ヴィゴは言った、「貴方が僕に内緒で話せる事はそこいらにありませんか?僕のリポートゥはすっかり決着しました。彼は共産党員によって殺害されました。おそらくアメリカの支援に対する組織的活動の始まり。しかし貴方と私の間ではー聞いて下さい、それじゃあ暖かみのないお話になります、角を曲がってヷマス・カシスでもいかが?」

37

2023年2月15日水曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 「そいつはここにいない。彼は彼と一緒にそいつを連れて言ったのかも知れない。」

 「おそらくそいつは戻って来るだろうし、そいつの足の土を貴方は分析できる。」

 「僕はルコクではなく、またメグレでもない。それどころかそこには戦争が続いてる。」

 僕は書棚の方へ斜めに向かい、本の二列を調べたーパイルの蔵書The Advance of Red China,The Challenge to Democracy,The Role of the Westー以上は、僕は思う、ヨーク・ハーディングの全作品だった。そこには多くの議会リポートゥ、ヴィエトゥナムと名打った本、フィリピンの戦争の歴史、現代版シェイクスピアがあった。どんなもので彼はリラクスしたのか?僕は他の棚に彼の軽い読み物を見付けた。携帯用のトウマス・ウォルフェやThe Triumph of Lifeという名の謎の小品集、アメリカの詩人の選集。そこにもまたチェス問題の本があった。それは働いている日の終わりのためとは殆ど思えなかった、が、結局、彼はフォンを所有した。作品集の背後に追い遣られてそこにはThe Physiology of Marriageと名付けられた紙表紙本があった。おそらく彼はセクスを勉強していた、彼が極東を勉強したように、紙の上で。そしてそのキーワードゥは結婚だった。パイルは巻き込まれている事を良しとした。

36

2023年2月14日火曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 「貴方はここで何をしているんですか?」

 「僕はフォンのものを取りに来たところです。貴方の警官が彼女を通そうとしないんです。」

 「じゃあ僕達が行ってそれを探しましょう。」

 「それは貴方ありがたい、ヴィゴ、」 

 パイルは二部屋、キチンとバスルームを持っていた。僕達はベドゥルームへ向かった。僕はフォンが彼女の箱を何処に置いているか知っていたーベドゥの下に。僕達はそれを一緒に引き出した。それは彼女の本を含んだ。僕は彼女の数着の着替えをワードゥロウブから取り出した、彼女の二着の上等のロウブと彼女の着替えのズボン。それらはそこに数時間だけ吊るしてあり、そこのものではないという感じを誰でも持ってしまう。それらは部屋の蝶のように廊下にあった。引き出しの中で僕は彼女の小さい三角のキュロトゥと彼女のスカーフのコレクションを見付けた。そこは箱に入れるにしても実のところ狭過ぎた。我が家の週末の訪問者用のものよりずっと。

 居間のそこには彼女自身とパイルの一枚の写真があった。彼らは大きな石のドゥラゴンの側の植物園で写真を撮って貰っていた。彼女は革紐にパイルの犬を繋いでいたー黒い舌を持つチャウチャウ。あまりにも真っ黒な犬。僕は彼女の写真を箱の中に入れた。「犬に何があったんだ?」僕は言った。

35

2023年2月13日月曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

  「彼らはそう言います。彼は軍司令官に殺された、彼はカオダイストゥを知ったから。おそらく彼は軍司令官の内妻に通行許可証を作ろうとしてホア‐ハオに殺された。おそらく彼のお金を欲しがる誰かにまさに殺された。」

 「それとも嫉妬という単純なケイス。」ヴィゴが言った。

 「或いはフランス公安によって、」僕は続けた、「何故なら彼らは彼の接触を好まなかった。貴方がたは彼を殺した人々を真剣に捜そうとしていますか?」

 「いいえ、」ヴィゴが言った。「僕はちょうどリポートゥを作っているところです、それが全てです。それが戦時行為である限りーまあ、毎年殺された千体があります。」

 「貴方は僕を除外してもいい、」僕は言った。「僕は関わっていない。関わってはいなかった、」僕は繰り返した。それは僕の信条の規定だった。人間らしくある事、それはどんなものだったか、彼らを戦わせ、彼らを愛させ、彼らを殺させ、僕は関係する気がない。僕の同僚のジャーナリストゥは自らを通信員と呼んだ、僕はリポータという称号が好みだった。僕が何を見たかを書いた。僕はどんな行為にも従わなかったー見解でさえ或る種の行為である。

34

2023年2月12日日曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 「我々はガリジで彼の車を見付けました。それはペトゥルル(ガソリン)が空でした。彼は昨夜輪タクの中から消えたに違いないー或いは誰か他の人の車の中。おそらくペトゥルルは抜き取られた。」

 「彼は歩いても良かったのでは、」僕は言った。「貴女はアメリカ人が何かを御存知です。」

 「貴方の車は燃やされたんでしょ?」彼は思慮深く続けた。「貴方はまだ新しいのを持っていないんですか?」

 「いいえ。」

 「それが要点ではありません。」

 「いいえ。」

 「貴方はどんな見解を持っています?」彼は尋ねた。

 「多過ぎて、」僕は言った。

 「私に話して下さい。」

 「まあ、彼はヴィエトゥナム人に殺されたのかも知れません。彼らは」サイゴンで多くの人々を殺しました。彼の死体はダカウに向かう橋の側の川の中で発見されましたー貴方がたの警官隊が夜撤退すると、ヴィエトゥナムの領土。或いは彼はヴィエトゥナム公安によって殺されたのかも知れませんーそれは知られている。おそらく彼らは彼の友人達を好ましく思わなかった。おそらく彼はテ軍司令官を知っていたからカオダイストゥに殺された。」

 「彼がですか?」

33

2023年2月11日土曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 「私は私の箱を取って来ようと思うの。」

 「警官があそこにはいるかも知れないよ。」「僕が貴方と一緒に出掛けた方がいいね。」それが、僕達がパイルの事に最も触れそうになった当日だった。

 パイルはデュラントン通りに近い新しい郊外住宅にフラトゥを持ち、フランス人が延々と彼らの軍司令官に敬意を表して細分して来たそれらのメイン・ストゥリートゥの一つの外れーそれでドゥ・ゴール通りが三番目の交差点ルクレール通りの後になった、そしてそれは再び早かれ遅かれおそらくドゥ・ラトゥル通りへと突然変わるだろう。有力な誰かが航空便でイウアラプから到着する事になっていたに違いない、高等弁務官の邸宅までの道沿いに20ヤードゥおきに歩道を向いている警官がそこにいた。砂利道をパイルのアパートゥマントゥまで運転中、何台かの単車やらヴィエトゥナム人の警官が僕のプレス‐カードゥを検査した。彼は家の中にフォンを入れようとしなかった、そこで僕はフランスの役人を探しに行った。パイルの風呂場でヴィゴは彼の手をパイルの石鹸で洗い、パイルのタウエルでそれを乾かしていた。彼の熱帯地方スートゥには袖にオイルの染みが付いていたーパイルのオイル、と僕は思った。

 「何かニューズは?」僕は尋ねた。

32

2023年2月10日金曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

新しい下劣な雑誌が波止場近くの屋台店に出ていたータブーとイリュージャン、船員達は歩道でビアを飲んでいた、自家製爆弾のカモ。僕はフォンの事を考えた、ミルク・バーまで彼女のおやつのために行く前に左を下って三番通りで魚の値段を値切っているだろう、(僕はあの頃彼女が何処にいるか何時も知っていた)、そしてパイルは容易く駆けつけ、自然に僕の心は届かなくなった。僕はフォンに対して彼に言及さえしなかった、僕達はカティナトゥ街の上の僕達の部屋で一緒にランチをとるために座り、彼女は彼女の一番いい花柄のシルク・ロウブを着た

、何故ならその日は、僕達がショロンのグランドゥ・モンデで出会ってからきっかり2年だったから。



僕達のどちらも彼に言及しなかった。僕達は彼の死の後、朝、目を覚ました。フォンは僕が適当に目覚める前に起きて、僕達の紅茶を用意した。誰も死者を妬まない、僕達の元の暮らしを一緒に再び始める事、それは僕には簡単に思えた。

 「貴女は今晩泊まる?」僕は出来るだけ何気なくクロワサンを食べながらフォンに尋ねた。

31

2023年2月9日木曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

年老いた大修道院長の教壇の上の紅茶のカプ、彼のべドゥと彼の営業用のカリンダ、彼のバキトゥ、壊れたカプと一生涯のがらくたと一緒に、彼の椅子をひと回りして汚れを落とした。地雷が爆発した道路を修理している女達のマラスク・ハトゥ、金色や若草色や色鮮やかな南のドゥレス、そして北では、深い茶や黒い衣服や敵の山々の環(わ)や飛行機のブーンという低い音。僕が初めに来た時、僕は僕の割り当てられた仕事の日数を数えた、学期の日数を線で消してゆく学生のように。僕は置き去りにしたブルームスベリ広場やイウストンの柱廊付玄関を通る73番バスやトリントン・プレイスの地元の春の何かに縛り付けられているのかと思った。今頃は四角い庭に球根が芽を出そうとしているだろうが、僕は少しも気にならなかった。僕はそれらの速いリポートゥによって句読点を打ったひと月を求め、それは排気ガスであってもよく、また手りゅう弾であってもよく、僕は湿気の多い正午を通して優美に動く絹のズボンを目に留めて置きたかった、僕はフォンを求め、そうして僕の家はそのグラウンドゥ4千マイルに変わった。

 僕は高級弁務官の家で曲がった、そこでは外人部隊が彼らの白いケピと彼らの緋色の肩章を着けて見張りに立ち、大聖堂の側を通り抜け、尿と不法な臭いがするように感じるヴィエトゥナムの公安の暗い壁の側で引き返した。それもまた家の一部で、子供の頃には誰もが避ける上階の暗い廊下に似ていた。

30

2023年2月8日水曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

僕は何時も新顔の利益のために回転するレコードゥだったー国会の視察議員団、新英国公使。時々僕は夜に喋りながら起きようとする、カオダイストゥ

らの事例を引用するといい。」或いはホアハオ、或いはビン・エクシュイエン、お金か復讐のために彼らのサーヴィスを売る民間軍。

 よそから来た者達は彼らをまことしやかに見る、しかし裏切りや不信のそこにまことしやかなものは何一つない。

 「そして今や、」僕は言った、「そこにチェ軍司令官がいる。」彼はカオダイストゥ隊員の長だったが、彼はフランス人、共産党員、両サイドゥを得るために戦おうとして丘に没頭した・・・。」

 「ヨークは、」パイルが言った、「東側が必要とした何かは第三勢力だという事を書きました。」おそらく僕はその狂信的閃き、言葉に対する素早い反応、数字への魔法のような響きを見るべきだった、五番目のコラム、三番目の勢力、七番目の日を。僕は僕達の全てを数多くの困難を、パイルでさえ救えたかも知れない、もし僕が疲れを知らない若い頭脳の傾向を理解してしまえば。ところが僕は背景の乾いた骨と一緒に彼を放置し、カティナトゥ街を上ったり下ったり僕の日課の散歩をしていた。彼は臭いがするに連れ君を拘束する現実の背景を、彼自身のために学ばずにはいられなかった。平たい晩方の陽の下の稲田の金色、蚊のように田の上をうろつく漁師弱った鶴。

29

2023年2月7日火曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

それは新聞記者達の中傷と彼らの未熟な冷笑からの転換だった。僕は言った、「もう一瓶ビアを飲もう、君に物の考え方を教えよう。」

 僕は始めた、受賞した生徒のように熱心に僕をじっと見つめる間、あの頃のフランス人はレドゥ・リヴァのデルタへと向かって何処にしがみ続けていたか、ハノイや北の港、ハイフォンを含んだのはどちらか、北の、トンキンの情勢を説明する事によって。ここでほとんどの穀物が育てられ、収穫が準備されると米目的の年一回の戦争が必ず始まった。

 「それが北だ、」僕は言った。「フランス人は、もし中国人がヴィエトゥミンを助けに来なければ制す、哀れな極悪人め。ジャングルや山や湿地、稲田、そこを君は背の高さまである所を苦労して歩き、敵は簡単に姿を消し、彼らの武器を埋め、百姓の衣装を身に着ける。何れにせよ君達はハノイの湿気の中で楽々腐ることが出来る。彼らはそこに爆弾を投げない。神は何故かを知る。君達はそれを通常の戦いと言ってのける。」

 「そしてここ南に於いては?」

「フランス人は主要道路を夕方の7時迄統制する。その後見張り塔を彼らは統制するーそれらの断片を。それは君達が安全であるという事を意味せず、又そこにレスタラントゥの前の鉄の格子があろうはずがない。」

 僕は前にどれ程度々この全てを説明した事か。

28

2023年2月6日月曜日

The Quiet American/ Graham Greene 成田悦子訳

しかし彼は直ぐ後で彼が与えた印象を修正するために再びそれを打ち砕いた。「僕は彼をよくは知りません、」彼は言った。「彼に2度だけ会ったはずです。」僕はそれで彼に好意を持ったー彼の名は何だった?ーヨーク・ハーディングーと知り合いだという事、それは自慢しているのだと見做すべき。彼が真面目な作家呼んで何故法外な敬意を表すのか、僕は後で学ぶ事になった。その言葉は小説家、詩人や劇作家を除外した。彼が現代の主題と称する何かを彼らは持っていた。そこでその時でさえ、君がヨークからそれを得たように率直な素質に目を通す事その方がいい。

 僕は言った、「もし君が長い間一ケ所に住めば、君はそこに関して読むのを止める。」

 「勿論僕は何時も現場で男が何を言わなければならないのかを知りたいのです、」彼は用心深く返事をした。

 「それで、その後ヨークと一緒にそれを照合するの?」

 「はい。」多分彼は皮肉に気付いた、というのも彼は彼の持ち前の丁重さで付け足したから、「僕に要点を教える時間を、もし貴方が見付けて下さったら、僕は非常に素晴らしい恩恵とそれを受取ります。貴方は御存知です、ヨークは2年よりもっと前にここにいました。」

 僕はハーディングに対する彼の忠誠を好んだー喩え彼が何者であろうと。

27

2023年2月5日日曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 パイルは静かだった、時には僕は彼が何を言っているのか把握しようと前のめりになる程だったあの初めての日、彼は控えめに思えた。それに彼は極々真面目だった。何度も、彼は頭上のテラスでのアメリカ人の記者の大騒ぎに、内心身の縮む思いがしたー手りゅう弾からより安全だと広く信じられているテラス。ところが彼は誰も非難しなかった。

 「貴方はヨーク・ハーディングを読んだ事があります?」彼が尋ねた。

 「いや。いや、そう考えもしない。彼は何を書いたの?」

 彼は通りの向こう側のミルク・バーを凝視し、夢見心地で言った、「あれはソウダ水売店のように見えます。」

僕はあんな馴染みの薄い光景に観察してしまう何かの彼の異常な選択の背後に、どんなホウムシクの深みが横たわっているのか、僕は奇妙に思った。しかし僕のカティナトゥ街への最初の散歩で僕はゲハナン香水のある店に先ず気付き、結局、イウアラプは3時間足らずの距離にある、そう思う事で僕自身を慰めたのではなかったか?彼はミルク・バーから渋々目を外して言った、「ヨークはThe Advance of Red Chinaと名付けられた本を書きました。それは非常に意味深い本です。」

 「僕はそれを読んではいない。君は彼を知っているの?」

 彼は真面目に頷き、黙り込んだ。

26


2023年2月4日土曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

 2

カンティネンタルの側の四角い広場にパイルが姿を現したその朝、僕はうんざりする程の僕のアメリカ人の記者仲間に会っていた、尊大で、騒々しい、少年のようで中年の、フランス人に対する饐(す)えた臭いのする機知に富む冗談の真っ盛り、この戦争を戦っているのは、誰か、何時全てが語られるのかと。周期的に交戦が整然と終えられ、死傷者がその現場から取り除かれた後、彼らはハノイに招集される、離れた所へほぼ4時間の飛行、最高指揮官によって声を掛けられ、バーテンダがインドウ―チャイナで最も上手いと彼らが自慢するプレス・カムプに一晩泊められ、3000フィートゥ(重機関銃の射程距離の限界)の高度で最近の戦地の上を飛ばされ、それから無事に騒々しく送り返される、学校の催しのように、サイゴンのカンチネンタルホテルまで。

25

2023年2月3日金曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

がそれでも僕は突然怒りと共に思った、ヴィゴと警察署での彼の目の翳りと誰も伴わない公使館の静かな廊下、そして僕の手の下の柔らかい毛のない皮膚、「僕はパイルをまともに心配した唯一の人物なのか?」

24

2023年2月2日木曜日

The Quiet American/Graham Greene  成田悦子訳

僕は僕のタイと僕の靴を脱いだ。幕間劇は終わった。夜はそれがあった時とほぼ同じになった。フォンはベドゥの端にしゃがみ、ラムプを点けた。我が子よ、我が女兄弟よー琥珀の色を剥げよ。その穏やかな故郷の半島。

 「フォン、」僕は言った。彼女は彼女の手に針を持ち、集中しようとしながら、眉を寄せながら子供のように僕を見上げた。「貴方が言った?」

 「パイルは死んだ。暗殺。」

 彼女は針を下に置き、僕を見ながら彼女の踵(かかと)の上に後退(ずさ)りして座った。そこにはどんな場面もなく、涙もなく、唯一思いだけがあったー人生の全方向転換を迫られる誰かの延々と続く一人だけの思いが。

 「貴女は今夜ここにいた方がいい、」僕は言った。

 彼女は頷き、針を持ち上げ、また阿片を熱し始めた。その夜、僕はそうした阿片の短く深い眠りの一つ、10分程の、から目覚めた、それは一晩の休息のように思えたが、僕の手を、それが何時も夜あった、彼女の脚の間に、見付けた。彼女は眠ってはいたが、僕には彼女の息がほとんど聞こえなかった。何ヶ月も後に今一度僕は一人きりではなかった。

23

2023年2月1日水曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

そうでなくてもパイルは非常に重要だった。彼の本当の職業の詳細を打電する事、それはしないで置いた。彼が死ぬ前、少なくとも50の死亡に責任があるという事、それは英国と米国間の関係を損ねかねず、公司は転覆されただろうから。公司はパイルに測り知れない敬意を持ちーパイルは相応しい学位を受け入れて来たーまあそれらの対象の一つ、アメリカ人達は学位を取られる。おそらく広報活動か芝居じみた手仕事で、おそらく極東でさえ研究する(彼は多くの本を読んで来た)。

 「パイルは何処なの?」フォンが尋ねた。「彼らは何を欲しがったの?」

 「家に帰ろう、」僕は言った。

 「パイルは来るかしら?」

 「彼は他の何処かと同じようにそこに現れそうだ。」

 老婦人がなおも踊り場で噂話をしていた、比較的冷ややかに。僕が僕のドアを開けた時、僕の部屋が調べられてしまったと打ち明けよう。あらゆる物が、僕が今までそれを放置しておいた以上に整然としていた。

 「一服いかがですか?」

 「うん。」

22