「いえ。」彼女は言った。「リチャドゥ。お子さんの具合は、どうです?」
「最悪。」パーキスの養子は言った。
「私たちは彼の体温を測った方がいい、と貴方は思います?」
「僕にもう一杯オリンジ‐スクワシュを頂けますか?」
「それは何んともなきゃ、いいのよ。」ミス・スマイズは、途惑った。「可愛そうなお子さん、。多分、彼は、熱があるのね。」
「僕たちは、十分貴女の邪魔をして来ました。」
「私の兄弟は、もし貴方がたに居て頂けなければ、私を許しはしません。彼は、とても子供が好きなんです。」
「貴女の兄弟は、中にいらっしゃいますか?」
「私は彼が今来るか来るかと期待しています。」
「仕事から帰宅を?」
「そうですねえ、彼の働いている日は、正直申しまして日曜日です。」
「牧師?」僕は敵意を隠し持って尋ねると、途惑っている答え「正確には違います。」を受取った。懸念の様相が、僕たちの間に、カートゥンのように降りて来て、彼女の個人的な悩みと共に、彼女はその背後に退いた。彼女が立ち上がると同時に、玄関ホール・ドアが開き、そこにXはいた。ホールの暗がりの中、ハンサムな俳優の顔を持つ男という印象を得た―しょっちゅう鏡の中でそれそのものを見ているという顔も又、低俗の趣、すると僕は、悲しく、満足とは無縁で、あの女はもっといい好みをしていたらなあ、と思った。
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