2022年1月14日金曜日

The End of the Affair/Graham Greene 成田悦子訳

「貴方の時間を役立てて下さい。」

 僕は彼の他の患者連中のように、混乱を来していた。

 「続けるべきことは、実際何一つありません。」僕は説明した。

 「ああ、そこが僕の仕事ですね。」サヴィッジ氏は言い、「貴方は心的状態、周囲の状況を、只、僕に伝えて下さい。僕たちは、ベンドゥリクス婦人を審議しているように、僕は思いましたが?」

 「正確じゃない。」

 「しかし彼女はその名前で通している?」

 「これでは全く食い違って行く一方です。いいえ、彼女は僕の友人の妻です。」

 「じゃあ、その人が貴方を寄こしたんですか?」

 「いいえ。」

 「もしかして貴方とその女性は―親密なんですね?」

 「いえ。僕は1944年からたった一度、彼女に会っただけです。」

 「心配なのですが、僕は全く分かっていないんじゃあないでしょうか?これは要監視のケイスです、と貴方は仰った。」

 その時まで、彼がひどく怒りを覚えているということを、僕は察知していなかった。「誰でも、愛すことも憎むことも出来ない。」僕は彼に急にばらした。「それほど長く?少しでも、勘違いをしないで下さい。僕はまさに貴方の嫉妬深い依頼人と同様で、僕は安心にちょっとでも背くことは主張しないのですが、僕のケイスの中に、時の‐ズレがありました。」

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