2023年10月16日月曜日

The Quiet American Graham Greene 成田悦子訳

それはドミンゲスからだった。彼は未だ病気のままでいる事を詫び、翌朝10時半頃、大通りの角の大きな店の外にいるよう僕に頼んだ。彼はショウさんの依頼で書いていたが、僕はへんさんが僕の存在をそれ以上に要求しそうだと勘ぐった。

 その全容は、それが判明するにつれ、寸評、しかも面白い寸評よりずっと価値がなかった。それは北のその悲惨で深刻な戦争、灰色の日数が経過した死体が詰まったファトゥ・ディエムのあの運河、迫撃砲の連打、ナパーム弾(焼夷弾)の白いぎらぎらした光と全く無縁だった。僕は花の露店の側で待っていた時、警察のトゥラック積み荷が、カティナトゥ通りの公安司令部の方向からブレイクのギシギシ音、ゴムのキーっとなる音を立てながら近付いた;その男達は降りて、店に向かって走った、まるで彼らが1人の暴徒に突進しているかのように、しかしそこには一人の暴徒もいなかったーただ自転車の防御棚だけが。サイゴンのあらゆるビルディングはそれらによって柵を巡らされているー東の大学のない都市は、実に多くの自転車―所有者を収容可能だった。僕が僕のカメラを調整するチャンスを持つ前に、喜劇的で説明のつかない行為が遂行された。警官は自転車の間を押し分けて彼らの道を進み、彼らは大通りの中に彼らの頭の上に乗せてそれを運び、飾り立てた噴水に落とした。

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