2023年1月26日木曜日

The Quiet American/Graham Greene 成田悦子訳

おそらくほんの10日前、彼はボストンの下院を渡り歩いて戻って来た、彼の腕は本でいっぱいで、彼は極東と中国の問題に関して予め目を通して置いた。彼は僕が何を言っても耳を貸す事さえなく、彼は既に民主主義のディレマと西洋の責務に没頭していた、彼は決然としていたー僕は極めて早くそれを知ったー善を為す事、単なる個人にではなく、寧ろ国家、大陸、世界に対して。まあ彼は、今、改善すべき全宇宙を抱え込んで彼のいるべき所にいた。

 「彼は遺体安置室の中ですか?僕はヴィゴに尋ねた。

 「彼が死んだとどうして貴方は知りました?」

それは間抜けな警官の質問、パスカルを読むに値しない男、彼の妻をあそこまで妙に愛するにしても又値しない男だった。貴方は直感なしでは愛せない。

 「罪もないのに、」僕は言った。僕はそれは事実だと僕自身に言い聞かせた。パイルは何時も彼自身の筋を通したのではなかったのか?僕は自らの中の何らかの感情を探った、警官の疑いから来る憤りまで。しかし僕は何一つ見い出せなかった。何者でもなく寧ろパイルが責任を負った。僕達は皆、死ぬ方がましではないのか?阿片が僕の内側で説得した。しかし僕は注意深くフォンを見た、それは彼女には耐え難かったから。

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