2022年6月4日土曜日

The End of the Affair/Graham Greene 成田悦子訳

私は、共有地を歩きながら神に言った。貴方が実在するのかどうか、或いは貴方は実在しないのかどうか、貴方が二度目のチャンスをモーリスに与えるのかどうか、或いは私は全てのことを予測したのかどうか。多分これは二度目のチャンスになる、と私は。彼に縋(すが)った。私は彼を幸せにするつもりだ。それは、私の二つ目の誓いです。神よ、そして貴方に出来るのなら私を止めてみなさい、貴方に出来るのなら、私を止めてみなさい。

 私は、私の部屋へと階段を上り、私はヘンリ宛に書き始めた。ダーリンヘンリ、私は書いたものの、それには偽善的響きがあった。最も親愛なる方では、嘘になった。つまり、それでは知人のようになりかねなかった「親愛なるヘンリ」そこで「親愛なるヘンリ」、と私は書き、「これは貴方にはかなり衝撃になるのではないか、と心穏やかではありませんが。この五年、私はモーリス・ベンドゥりクスと恋愛関係にありました。二年近くに亘り、私たちはお互いに目を合わせたこともなく、又文面に依(よ)ったこともなく、それにしても、そんなことでは上手く行きません。私は彼なしで幸福に暮らせません。ですから私は、離れて行きます。私は長い間、一妻に属する多くを経ずに来ましたし、その上私は、1944年六月から、全てにおいて夫人とは言い難かった。そう、周りから反れると、誰でも、最悪に陥る、と私は分かっています。私は嘗て思いました、私は、この恋愛沙汰を、まさにものに出来るわと。それは、徐々に満足して疲れ切ってしまうだろうに、それは、その道を閉ざしてしまった。私は1939年にそうだった以上に、モーリスを愛しています。私は子供じみていた、と私は思いますが、今は遅かれ早かれ、人は選ぶしかなく、又人は、あらゆる方向に窮地を作る、と私は悟っています。グドゥ‐バイ。神が貴方を祝福しますよう。」「神が貴方を祝福しますよう。」私は深く深く横線を引いた。だからそこは、読まれる筈はなかった。それは、自己満足の感がありはするが、何にしても、ヘンリは神を信じない。

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