BOOK TWO
1
不幸の感覚は幸福のそれより頗(すこぶ)る伝え易い。窮乏にあると、僕たちは僕たち自身の実在に気付くようだ。喩え不条理な自己中心癖の形態を成していようとも、この僕の痛みは、個別的である。一瞬怯(ひる)むこの神経は、他にではなく僕に属す。しかし幸福は、僕たちを壊滅させる。僕たちは自らの主体性を失う。人間愛という言葉は、神という彼らの目を説明するために、聖者らによって使われて来た。そしてそこで、僕は想像する、僕たちが女に対して感じる愛の激しさを説明するために、僕たちは祈る者、黙祷、瞑想の言葉遣いを駆使するとよかった。僕たちは、記憶、知識、聡明さを捨てもし、そして僕たちは、剥奪、ノチェ・オスクラ、そして時に報酬として、短い平和のようなものを経験する。愛の行為それ自体は、一瞬の死と描写されて来た。そこで恋人たちは、時に短い平和も経験する。
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