2022年2月23日水曜日

The End of the Affair/ Graham Greene 成田悦子訳

 そこには何時も僕たちが会えない理由があった―歯医者又は理容師との約束、ヘンリがもてなした時、彼らが単独で一緒だった時。彼女自身の家の中で、僕を裏切るような機会(恋人の自己本位で、非実在の義務というその暗示を伴ったその言葉を、僕は既に使っていた。)を彼女は持とうとしないということを、自分自身に上手く説明していなかった。ヘンリが寡婦年金に取り組んでいた間か、或いは―彼は間もなくその業務から配置転換されたからか―ガスマスクの配布や公認の段ボール箱のデザインのその業務へ。僕は、最も危険な境遇にあって、喩えそこに欲望があったにしても、愛を育むことが可能かどうか分からなかったから?不信は恋人の立身出世に連れ増大する。何故か、僕たちが互いを見たまさに次の時、僕は不可能に電話をしてしまった、まさにそんな具合に。それは身に降りかかった。

 僕はの僕の心にじっと留まっている、彼女の最後の用心をの助言の悲しさと共に目覚め、起床の三分以内の電話の彼女の声が、それを一掃した。前にも後にも、電話で只話すだけで、まるで気分をそんなに変えられる女を、僕は知らなかった。又、彼女が部屋に入って来るか、僕の傍らに彼女の手を置く時、彼女は忽(たちま)ち僕が別れの度に見失う絶対の信頼を築いた。

 「ヘロウ。」彼女は言った。「貴方は寝てるの?」

 「いや。僕は何時貴女に会える?今日の朝?」

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