「僕は分からない、ヘンリ。」
僕はこの男宛に書き、僕の家族の知人が、私立刑事斡旋所についての僕の忠告を頼みにしている、としておいた。。そりゃあ、ぞっとするよ、ベンドゥリクス。彼は表向きの理由を通して見破らなければならなかった。
「貴方は実際そのつもりで・・・?」
「僕はそのことでは、少しも動かなかった。」それでもその手紙は、僕に思い出させながら、僕の机の上の、そこでじっとしていた。それはひどく馬鹿げているから、それを読もうともしない彼女を、信用出来るとは思えないでしょ。彼女は一日に十二回もここに入るのに。僕は引き出しの中に、それを仕舞い込んだりしない。それでも未だ、僕は信用出来ない・・・彼女は今、散歩に出ている。徒歩、ベンドゥリクス。」雨は彼の防具にも浸透し、ガス灯の方へ彼の袖の縁を向けたままにした。
「貴方は何時も、彼女の特別な友だちだった。ベンドゥリクス。誰もが決まって言う、誰もではないが、夫は、女性というものを知る、実に最後の人物であると・・・僕は今夜思った。共有地で貴方を見かけた時、もし僕が貴方に話して、貴方が僕を笑ったら、僕はその手紙を焼いてしまえるのにと。」
彼はそこに彼の湿った腕を伸ばしたまま、僕から目を反らしながら座った。僕は笑いたくないとは、思いもしなかった。それどころか、出来るなら、笑いたかった。
17