2021年12月17日金曜日

The End of the Affair/Graham Greene 成田悦子訳

僕は雨を突いて散歩に出かけ、近所の居酒屋で一杯やろうと思った。少し混み合ったホールは、 見知らぬ人の帽子やコウトゥばかりで、僕は誰か他の人の傘を偶々(たまたま)手に取ったー二階の男が、仲間を招待していた。それから僕はステインドゥーグラス・ドアを後ろ手に閉め、1944年に爆破され、一度も修繕していない階段を注意深く降りた。僕にはその時を思い出す理由があり、どれほどステインドゥ・グラスが頑丈で不格好でヴィクトーリア朝風で、僕たちの祖父自ら為そうとしたように、衝撃に立ち向かった。

 僕は公有地を横切り始めるやいなや、違う傘を掴んだことを自覚した。それは漏れ穴を生じ、雨が僕の防水レインコウトゥの襟の下に流れ落ちた。程なくして僕はヘンリを見かけたのだ。僕はいとも容易く彼を避けられた。彼は傘を持たず、ラムプの灯かりで、僕には彼の目が雨で見えなくなっている、と見受けられた。黒い葉のない木々は、何の守りにもならなかった。それは壊れた送水管のように周りに立ち尽くし、雨は彼のこわばった黒っぽい帽子から滴り落ち、彼の黒い文官用オウヴァコウトゥを流れとなって伝わり落ちた。もし僕が彼を追い越して真っ直ぐ歩いて行けば、彼は僕に目をくれようともしなかっただろう、僕は歩道から二フィートゥ避(よ)けて通ることで、避け難くした。何れにせよ僕は声をかけた。「ヘンリ、貴方はおよそ見ず知らずの人だ。」僕たちが古い友達であるかのように、彼の目が輝くのを見た。