2013年12月31日火曜日

「The Little House(小さな家)」page 1~37

小沢一郎、石破茂、田中真紀子、鳩山邦夫、鳩山由紀夫、安倍晋三、麻生太郎は、12月29日、NTTPlalaが休みに入った途端、大阪府警、大阪地検、大阪高検、最高裁と共謀、私の一年使用のパソコン、数ヶ月使用のディスプレイを自民・公明・社民捏造名誉毀損事件証拠隠滅の為、壊しました。
私は直ぐにパソコンを買いましたが、EDION(DEODEO)から持ち帰ったパソコンは、既に自民党、公明党、創価学会員によって操縦可能なように改造されていました。
EDIONは、自民党が捏造した社民党員名誉毀損事件に加担し、私の詩や翻訳、ブログ記事を盗む手伝いをして来ました。
EDIONは、文部科学省脳科学研究戦略推進プログラム人体実験協力電気店です。
私は、不買運動を行って来ました。
総務大臣進藤名が不正アクセスパソコンナンバーとして毎日表示されています。
進藤総務大臣は、なにわナンバーの車三台を隣に停め、パトカーを正月早々走らせ威嚇しています。

岩波子どもの絵本の「ちいさいおうち」を、年末までに翻訳します。
「The Little House」
story by
Virginia Lee Burton

page1
昔、或る時、一軒の小さな家が、田舎の外れ辺りにありました。
彼女は、感じのよい小さな家でした。
その上、彼女は、頑丈で、申し分なく造ってありました。
彼女を、とても頑丈に建てた、その男は、言いました。
「この小さな家は、金貨や銀貨と引き換えに売られてはならない。彼女の中で暮らす僕達の曾々孫の曾々孫を見る迄、彼女は、きっと残っている。」

page 2
その小さな家は、丘の上に身を置いているだけで、心底幸福で、彼女を囲む田舎の様子を見守っていました。
彼女は、暁に朝陽が昇るのを見届け、夕べに、陽が沈むのを見届けました。
日は、それぞれが、以前のそれと少し異なって、その日の後に続きました。
けれども、その小さな家は、全く変わりません。

page 4
夜な夜な、月が、か細い新月から満月に変わってゆくのを見守りました。
そして、月さえない時、彼女は、星を待ち望みました。
遥か遠く離れた辺りに、彼女は、街の明かりを見る事が出来ました。
小さな家は、街について知りたくなりました。
いったい、どんな人がそこで暮らしたがるのだろう、と不思議に思いました。

page 6
彼女は、季節と共にゆっくりと移り変わる田舎の様子を見てはいましたが、小さな家にとって、時は、急いで過ぎ去ったのです。
春には、昼間が一段と長くなり、日差しがますます強くなります。
彼女は、最も早い駒鳥が、南方から帰るのを待ちました。
彼女は、芝生が緑色に変わるのを見届けました。
彼女は、樹木が芽吹き、林檎の木が一時(いっとき)に花開くのを見ていました。
彼女は、小川の中で、遊んでいる子供たちを見守りました。

page 8
長い夏の昼間、
彼女は、日向に身を置き、葉で自分を覆い隠している木々や、丘を覆う白いフランス菊を見ていました。
彼女は、庭が草木で覆われるのを見守りました。
それから、彼女は、林檎が赤く色付き、熟すのを見届けました。
彼女は、子供達がプールで泳いでいるのを見守りました。

page 10
秋に入り、
昼間が幾分短くなり、夜が心なしか肌寒くなりますと、
彼女は、初霜が、木の葉を、目も覚めるばかりの黄色や、橙色(だいだいいろ)や、赤色に染めるのを見ていました。
彼女は、作物が取り入れられたり、林檎が捥(も)ぎ取られたりするのを見届けました。
彼女は、学校に戻る子供達を見守りました。

page 12
冬に入って、
夜は長く、昼間は短くなり、田舎が雪で覆われますと、
彼女は、滑り降りたり、スケートをしたりする子供達を見守りました。
一年は、一年の後に続きます・・・
林檎の樹は、老い、新しい木が植えられました。
子供達は大人になり、街に行ってしまいました。
そうして、今では、夜になると、
街の明かりは輝きを増し、密集しているかのように思えました。

page 14
或る日、
小さな家は、曲がりくねった田舎道を、馬が牽(ひ)かない車が下って行くのを見て、驚きました・・・
あっという間もなく、そうした車が、路上の大半を占めるようになり、そうして、殆どの車は、馬で牽(ひ)かれなくなくなりました。
あっという間もなく、多勢の測量技師がやって来て、小さな家の前で、道筋を測りました。
あっという間もなく、蒸気シャヴルがやって来て、フランス菊で覆われた丘を通る道を掘り返しました。・・・
それから、何台ものトラックがやって来て、道に大きな石をどすんと落とし、次に、砂利を積んだ何台ものトラックが、その次に、コールタールピッチと砂を積んだ何台ものトラックが、そして最後に、蒸気ローラーがやって来て、それをすっかり平らに均(なら)し、そうして、道は、出来上がりました。

page 16
今はもう、小さな家は、トラックや自動車が往き来するのを見守っています。
ガソリン・ステイション・・・
道端の店・・・
そのように、小さな家屋が、出来立ての道路の後に続きました。
誰も彼も、そして何もかもが、以前より今の方が、遥かに速く進みます。

page 18
更に多くの道路が造られ、
そして、田舎は、多くの人々に振り分けられました。
更に多くの家屋や、更に大きな家が・・・
アパートメントゥやテネメントゥ・・・
学校・・・お店・・・そしてガリッジが田園を覆い尽くし、小さな家の周りを、ぎゅうぎゅう詰めにしました。
誰も、彼女の中に住んで、これ以上、彼女を管理しようとは思わなくなりました。
彼女は、金貨か銀貨と引き換えに、売られそうもありません。
そう、彼女は、只、そこに留まり、見物しているしかなかったのです。

page 20
今はもう、夜になっても、さほど静かでも、平穏でもありません。
今はもう、街の明かりが冴え、確実に追い迫り、街灯が夜通し輝いています。
「これが、街での暮らしに違いない。」と、小さな家はつくづく思いました。
実のところ、彼女がそれを好むかどうかは、お構いなしだったのです。
彼女は、フランス菊の野原や、月の光にゆらゆら揺れる林檎の木がない事を寂しく思いました。

page 22 
あっという間もなく、小さな家の前を、市街電車が往き来するようになりました。
それは、日中と夜間、往き来しました。
誰もが実に忙(せわ)しなく、誰もが急(せ)いているようでした。

page 24
あっという間もなく、小さな家の上を、高架列車が往き来するようになりました。
空気は、埃や煙が充満し、騒音が非常に高く、小さな家を震わせる程でした。
今はもう、彼女は、春が来ても、夏か、秋か、或いは冬なのか、知りようもありません。
何もかも、殆ど変わらない事のように思えました


page 26
あっという間もなく、小さな家の下を、地下鉄が往き来するようになりました。
彼女は、それを見られそうもありませんが、それを感じて、耳にする事は出来そうです。
人々は、益々手間を惜しんで行動しようしました。
もはや誰一人、小さな家に気付きません。
人は、脇目も振らず、事を急(せ)いていました。

page 28
あっという間もなく、人は、小さな家の周りのアパートメントゥやテネメントゥを取り壊して、広い地下室も掘り始めました・・・各々の側に一つ。
蒸気シャヴルは、片側に三階を、もう一方の側に四階を掘りました。
あっという間もなく、彼らは、建設し始めました。
彼らは、一方の側に二十五階を、もう一方に三十五階を建設しました。

page 30
今はもう、小さな家は、只、昼に太陽を見るだけでした。
そして、夜には、月も星も、全く見えませんでした。
街の明かりが、余りにも輝いていたからです。
彼女は、街の暮らしを好みません。
夜には、彼女は、月の光にゆらゆら揺れる田園やフランス菊の野原や林檎の木の夢を見ました。

page 31
小さな家は、とても悲しくて、心細く思いました。
彼女の塗料は、皹(ひび)が入り、汚れました・・・
彼女の窓ガラスは壊れ、彼女の雨戸は、歪んで嵌(はま)っていました。
彼女は、みすぼらしく見えました・・・
彼女は、これまで通り、家という形を辛うじて留めていましたが。

page 32
それから、春の或る晴れた朝、その小さな家を申し分なく建てた男の曾々孫が連れ立ってやって来ました。
彼女は、ぼろぼろになった小さな家に気付きました。
何れにせよ、彼女は、急いで通り過ぎはしません。
小さな家には、彼女を引き留め、もう一度目を向けさせる何かがありました。
彼女は、夫に話しました。
「あの小さな家は、私のおばあ様が少女だった頃住んでいた小さな家に、本当によく似ています。
只、その小さな家は、フランス菊や、あちこちに根を張る林檎の木で覆われた丘の上にある田舎の外れ辺りにあったの。」

page 34
彼らは、それは確かにその家だ、という気がしました。
そこで、彼らは、小さな家が引越し出来るかどうか確かめようと、引越し屋に出かけました。
引越し屋は、その小さな家を、隅々まで調べて言いました。
「間違いなく、この家は、昔のように役に立ちます。彼女は、実に頑丈に建ててありますから、私共は、何処にでも彼女を移せます。」
それから、彼らは、小さな家をジャッキで持ち上げ、彼女を車輪の上に置きました。
彼らは、ゆっくりと彼女を街の外へ移そうとしましたので、運輸には、数時間掛けられました。

page 37
最初、小さな家は愕然としましたが、それに慣れて来ると、彼女は、寧ろそれを望みました。
彼らは、田舎の外れ辺りに出るまで、広い道に沿って車を走らせました。
それから、彼らは、狭い道沿いに車を走らせました。
小さな家は、青い草地を見て、小鳥が囀るのを耳にすると、彼女は、もうそれ以上悲しく思ったりはしませんでした。
彼らは、先へ先へと進みました。
しかし彼らは、本当にぴったりな場所を探せそうもありません。
彼らは、小さな家をここにと当たったり、彼らは、彼女をあそこにと当たってみたりしました。
とうとう、彼らは、野原の真ん中の小さな丘を見付けました。
「ほら、あそこ。」と、曾々々孫娘は、言いました。
「そうね、確かに抜群の場所ね。」
「そうね。」小さな家は、思わず口にしました。
 
地下室が丘の頂上に掘られ、彼らは、ゆっくりと道路から丘まで家を移しました。

15:24 2013/12/31火曜日

2013年12月30日月曜日

「The Little House(小さな家)」page 1~34

岩波子どもの絵本の「ちいさいおうち」を、年末までに翻訳します。
「The Little House」
story by
Virginia Lee Burton

page1
昔、或る時、一軒の小さな家が、田舎の外れ辺りにありました。
彼女は、感じのよい小さな家でした。
その上、彼女は、頑丈で、申し分なく造ってありました。
彼女を、とても頑丈に建てた、その男は、言いました。
「この小さな家は、金貨や銀貨と引き換えに売られてはならない。彼女の中で暮らす僕達の曾々孫の曾々孫を見る迄、彼女は、きっと残っている。」

page 2
その小さな家は、丘の上に身を置いているだけで、心底幸福で、彼女を囲む田舎の様子を見守っていました。
彼女は、暁に朝陽が昇るのを見届け、夕べに、陽が沈むのを見届けました。
日は、それぞれが、以前のそれと少し異なって、その日の後に続きました。
けれども、その小さな家は、全く変わりません。

page 4
夜な夜な、月が、か細い新月から満月に変わってゆくのを見守りました。
そして、月さえない時、彼女は、星を待ち望みました。
遥か遠く離れた辺りに、彼女は、街の明かりを見る事が出来ました。
小さな家は、街について知りたくなりました。
いったい、どんな人がそこで暮らしたがるのだろう、と不思議に思いました。

page 6
彼女は、季節と共にゆっくりと移り変わる田舎の様子を見てはいましたが、小さな家にとって、時は、急いで過ぎ去ったのです。
春には、昼間が一段と長くなり、日差しがますます強くなります。
彼女は、最も早い駒鳥が、南方から帰るのを待ちました。
彼女は、芝生が緑色に変わるのを見届けました。
彼女は、樹木が芽吹き、林檎の木が一時(いっとき)に花開くのを見ていました。
彼女は、小川の中で、遊んでいる子供たちを見守りました。

page 8
長い夏の昼間、
彼女は、日向に身を置き、葉で自分を覆い隠している木々や、丘を覆う白いフランス菊を見ていました。
彼女は、庭が草木で覆われるのを見守りました。
それから、彼女は、林檎が赤く色付き、熟すのを見届けました。
彼女は、子供達がプールで泳いでいるのを見守りました。

page 10
秋に入り、
昼間が幾分短くなり、夜が心なしか肌寒くなりますと、
彼女は、初霜が、木の葉を、目も覚めるばかりの黄色や、橙色(だいだいいろ)や、赤色に染めるのを見ていました。
彼女は、作物が取り入れられたり、林檎が捥(も)ぎ取られたりするのを見届けました。
彼女は、学校に戻る子供達を見守りました。

page 12
冬に入って、
夜は長く、昼間は短くなり、田舎が雪で覆われますと、
彼女は、滑り降りたり、スケートをしたりする子供達を見守りました。
一年は、一年の後に続きます・・・
林檎の樹は、老い、新しい木が植えられました。
子供達は大人になり、街に行ってしまいました。
そうして、今では、夜になると、
街の明かりは輝きを増し、密集しているかのように思えました。

page 14
或る日、
小さな家は、曲がりくねった田舎道を、馬が牽(ひ)かない車が下って行くのを見て、驚きました・・・
あっという間もなく、そうした車が、路上の大半を占めるようになり、そうして、殆どの車は、馬で牽(ひ)かれなくなくなりました。
あっという間もなく、多勢の測量技師がやって来て、小さな家の前で、道筋を測りました。
あっという間もなく、蒸気シャヴルがやって来て、フランス菊で覆われた丘を通る道を掘り返しました。・・・
それから、何台ものトラックがやって来て、道に大きな石をどすんと落とし、次に、砂利を積んだ何台ものトラックが、その次に、コールタールピッチと砂を積んだ何台ものトラックが、そして最後に、蒸気ローラーがやって来て、それをすっかり平らに均(なら)し、そうして、道は、出来上がりました。

page 16
今はもう、小さな家は、トラックや自動車が往き来するのを見守っています。
ガソリン・ステイション・・・
道端の店・・・
そのように、小さな家屋が、出来立ての道路の後に続きました。
誰も彼も、そして何もかもが、以前より今の方が、遥かに速く進みます。

page 18
更に多くの道路が造られ、
そして、田舎は、多くの人々に振り分けられました。
更に多くの家屋や、更に大きな家が・・・
アパートメントゥやテネメントゥ・・・
学校・・・お店・・・そしてガリッジが田園を覆い尽くし、小さな家の周りを、ぎゅうぎゅう詰めにしました。
誰も、彼女の中に住んで、これ以上、彼女を管理しようとは思わなくなりました。
彼女は、金貨か銀貨と引き換えに、売られそうもありません。
そう、彼女は、只、そこに留まり、見物しているしかなかったのです。

page 20
今はもう、夜になっても、さほど静かでも、平穏でもありません。
今はもう、街の明かりが冴え、確実に追い迫り、街灯が夜通し輝いています。
「これが、街での暮らしに違いない。」と、小さな家はつくづく思いました。
実のところ、彼女がそれを好むかどうかは、お構いなしだったのです。
彼女は、フランス菊の野原や、月の光にゆらゆら揺れる林檎の木がない事を寂しく思いました。

page 22 
あっという間もなく、小さな家の前を、市街電車が往き来するようになりました。
それは、日中と夜間、往き来しました。
誰もが実に忙(せわ)しなく、誰もが急(せ)いているようでした。

page 24
あっという間もなく、小さな家の上を、高架列車が往き来するようになりました。
空気は、埃や煙が充満し、騒音が非常に高く、小さな家を震わせる程でした。
今はもう、彼女は、春が来ても、夏か、秋か、或いは冬なのか、知りようもありません。
何もかも、殆ど変わらない事のように思えました


page 26
あっという間もなく、小さな家の下を、地下鉄が往き来するようになりました。
彼女は、それを見られそうもありませんが、それを感じて、耳にする事は出来そうです。
人々は、益々手間を惜しんで行動しようしました。
もはや誰一人、小さな家に気付きません。
人は、脇目も振らず、事を急(せ)いていました。

page 28
あっという間もなく、人は、小さな家の周りのアパートメントゥやテネメントゥを取り壊して、広い地下室も掘り始めました・・・各々の側に一つ。
蒸気シャヴルは、片側に三階を、もう一方の側に四階を掘りました。
あっという間もなく、彼らは、建設し始めました。
彼らは、一方の側に二十五階を、もう一方に三十五階を建設しました。

page 30
今はもう、小さな家は、只、昼に太陽を見るだけでした。
そして、夜には、月も星も、全く見えませんでした。
街の明かりが、余りにも輝いていたからです。
彼女は、街の暮らしを好みません。
夜には、彼女は、月の光にゆらゆら揺れる田園やフランス菊の野原や林檎の木の夢を見ました。

page 31
小さな家は、とても悲しくて、心細く思いました。
彼女の塗料は、皹(ひび)が入り、汚れました・・・
彼女の窓ガラスは壊れ、彼女の雨戸は、歪んで嵌(はま)っていました。
彼女は、みすぼらしく見えました・・・
彼女は、これまで通り、家という形を辛うじて留めていましたが。

page 32
それから、春の或る晴れた朝、その小さな家を申し分なく建てた男の曾々孫が連れ立ってやって来ました。
彼女は、ぼろぼろになった小さな家に気付きました。
何れにせよ、彼女は、急いで通り過ぎはしません。
小さな家には、彼女を引き留め、もう一度目を向けさせる何かがありました。
彼女は、夫に話しました。
「あの小さな家は、私のおばあ様が少女だった頃住んでいた小さな家に、本当によく似ています。
只、その小さな家は、フランス菊や、あちこちに根を張る林檎の木で覆われた丘の上にある田舎の外れ辺りにあったの。」

page 34
彼らは、それは確かにその家だ、という気がしました。
そこで、彼らは、小さな家が引越し出来るかどうか確かめようと、引越し屋に出かけました。
引越し屋は、その小さな家を、隅々まで調べて言いました。
「間違いなく、この家は、昔のように役に立ちます。彼女は、実に頑丈に建ててありますから、私共は、何処にでも彼女を移せます。」
それから、彼らは、小さな家をジャッキで持ち上げ、彼女を車輪の上に置きました。
彼らは、ゆっくりと彼女を街の外へ移そうとしましたので、運輸には、数時間掛けられました。

15:24 2013/12/30月曜日

2013年12月29日日曜日

「The Little House(小さな家)」page 1~32

岩波子どもの絵本の「ちいさいおうち」を、年末までに翻訳します。
「The Little House」
story by
Virginia Lee Burton

page1
昔、或る時、一軒の小さな家が、田舎の外れ辺りにありました。
彼女は、感じのよい小さな家でした。
その上、彼女は、頑丈で、申し分なく造ってありました。
彼女を、とても頑丈に建てた、その男は、言いました。
「この小さな家は、金貨や銀貨と引き換えに売られてはならない。彼女の中で暮らす僕達の曾々孫の曾々孫を見る迄、彼女は、きっと残っている。」

page 2
その小さな家は、丘の上に身を置いているだけで、心底幸福で、彼女を囲む田舎の様子を見守っていました。
彼女は、暁に朝陽が昇るのを見届け、夕べに、陽が沈むのを見届けました。
日は、それぞれが、以前のそれと少し異なって、その日の後に続きました。
けれども、その小さな家は、全く変わりません。

page 4
夜な夜な、月が、か細い新月から満月に変わってゆくのを見守りました。
そして、月さえない時、彼女は、星を待ち望みました。
遥か遠く離れた辺りに、彼女は、街の明かりを見る事が出来ました。
小さな家は、街について知りたくなりました。
いったい、どんな人がそこで暮らしたがるのだろう、と不思議に思いました。

page 6
彼女は、季節と共にゆっくりと移り変わる田舎の様子を見てはいましたが、小さな家にとって、時は、急いで過ぎ去ったのです。
春には、昼間が一段と長くなり、日差しがますます強くなります。
彼女は、最も早い駒鳥が、南方から帰るのを待ちました。
彼女は、芝生が緑色に変わるのを見届けました。
彼女は、樹木が芽吹き、林檎の木が一時(いっとき)に花開くのを見ていました。
彼女は、小川の中で、遊んでいる子供たちを見守りました。

page 8
長い夏の昼間、
彼女は、日向に身を置き、葉で自分を覆い隠している木々や、丘を覆う白いフランス菊を見ていました。
彼女は、庭が草木で覆われるのを見守りました。
それから、彼女は、林檎が赤く色付き、熟すのを見届けました。
彼女は、子供達がプールで泳いでいるのを見守りました。

page 10
秋に入り、
昼間が幾分短くなり、夜が心なしか肌寒くなりますと、
彼女は、初霜が、木の葉を、目も覚めるばかりの黄色や、橙色(だいだいいろ)や、赤色に染めるのを見ていました。
彼女は、作物が取り入れられたり、林檎が捥(も)ぎ取られたりするのを見届けました。
彼女は、学校に戻る子供達を見守りました。

page 12
冬に入って、
夜は長く、昼間は短くなり、田舎が雪で覆われますと、
彼女は、滑り降りたり、スケートをしたりする子供達を見守りました。
一年は、一年の後に続きます・・・
林檎の樹は、老い、新しい木が植えられました。
子供達は大人になり、街に行ってしまいました。
そうして、今では、夜になると、
街の明かりは輝きを増し、密集しているかのように思えました。

page 14
或る日、
小さな家は、曲がりくねった田舎道を、馬が牽(ひ)かない車が下って行くのを見て、驚きました・・・
あっという間もなく、そうした車が、路上の大半を占めるようになり、そうして、殆どの車は、馬で牽(ひ)かれなくなくなりました。
あっという間もなく、多勢の測量技師がやって来て、小さな家の前で、道筋を測りました。
あっという間もなく、蒸気シャヴルがやって来て、フランス菊で覆われた丘を通る道を掘り返しました。・・・
それから、何台ものトラックがやって来て、道に大きな石をどすんと落とし、次に、砂利を積んだ何台ものトラックが、その次に、コールタールピッチと砂を積んだ何台ものトラックが、そして最後に、蒸気ローラーがやって来て、それをすっかり平らに均(なら)し、そうして、道は、出来上がりました。

page 16
今はもう、小さな家は、トラックや自動車が往き来するのを見守っています。
ガソリン・ステイション・・・
道端の店・・・
そのように、小さな家屋が、出来立ての道路の後に続きました。
誰も彼も、そして何もかもが、以前より今の方が、遥かに速く進みます。

page 18
更に多くの道路が造られ、
そして、田舎は、多くの人々に振り分けられました。
更に多くの家屋や、更に大きな家が・・・
アパートメントゥやテネメントゥ・・・
学校・・・お店・・・そしてガリッジが田園を覆い尽くし、小さな家の周りを、ぎゅうぎゅう詰めにしました。
誰も、彼女の中に住んで、これ以上、彼女を管理しようとは思わなくなりました。
彼女は、金貨か銀貨と引き換えに、売られそうもありません。
そう、彼女は、只、そこに留まり、見物しているしかなかったのです。

page 20
今はもう、夜になっても、さほど静かでも、平穏でもありません。
今はもう、街の明かりが冴え、確実に追い迫り、街灯が夜通し輝いています。
「これが、街での暮らしに違いない。」と、小さな家はつくづく思いました。
実のところ、彼女がそれを好むかどうかは、お構いなしだったのです。
彼女は、フランス菊の野原や、月の光にゆらゆら揺れる林檎の木がない事を寂しく思いました。

page 22 
あっという間もなく、小さな家の前を、市街電車が往き来するようになりました。
それは、日中と夜間、往き来しました。
誰もが実に忙(せわ)しなく、誰もが急(せ)いているようでした。

page 24
あっという間もなく、小さな家の上を、高架列車が往き来するようになりました。
空気は、埃や煙が充満し、騒音が非常に高く、小さな家を震わせる程でした。
今はもう、彼女は、春が来ても、夏か、秋か、或いは冬なのか、知りようもありません。
何もかも、殆ど変わらない事のように思えました


page 26
あっという間もなく、小さな家の下を、地下鉄が往き来するようになりました。
彼女は、それを見られそうもありませんが、それを感じて、耳にする事は出来そうです。
人々は、益々手間を惜しんで行動しようしました。
もはや誰一人、小さな家に気付きません。
人は、脇目も振らず、事を急(せ)いていました。

page 28
あっという間もなく、人は、小さな家の周りのアパートメントゥやテネメントゥを取り壊して、広い地下室も掘り始めました・・・各々の側に一つ。
蒸気シャヴルは、片側に三階を、もう一方の側に四階を掘りました。
あっという間もなく、彼らは、建設し始めました。
彼らは、一方の側に二十五階を、もう一方に三十五階を建設しました。

page 30
今はもう、小さな家は、只、昼に太陽を見るだけでした。
そして、夜には、月も星も、全く見えませんでした。
街の明かりが、余りにも輝いていたからです。
彼女は、街の暮らしを好みません。
夜には、彼女は、月の光にゆらゆら揺れる田園やフランス菊の野原や林檎の木の夢を見ました。

page 31
小さな家は、とても悲しくて、心細く思いました。
彼女の塗料は、皹(ひび)が入り、汚れました・・・
彼女の窓ガラスは壊れ、彼女の雨戸は、歪んで嵌(はま)っていました。
彼女は、みすぼらしく見えました・・・
彼女は、これまで通り、家という形を辛うじて留めていましたが。

page 32
それから、春の或る晴れた朝、その小さな家を申し分なく建てた男の曾々孫が連れ立ってやって来ました。
彼女は、ぼろぼろになった小さな家に気付きました。
何れにせよ、彼女は、急いで通り過ぎはしません。
小さな家には、彼女を引き留め、もう一度目を向けさせる何かがありました。
彼女は、夫に話しました。
「あの小さな家は、私のおばあ様が少女だった頃住んでいた小さな家に、本当によく似ています。
只、その小さな家は、フランス菊や、あちこちに根を張る林檎の木で覆われた丘の上にある田舎の外れ辺りにあったの。」

15:24 2013/12/29日曜日

2013年12月28日土曜日

「The Little House(小さな家)」page 1~26

岩波子どもの絵本の「ちいさいおうち」を、年末までに翻訳します。
「The Little House」
story by
Virginia Lee Burton

page1
昔、或る時、一軒の小さな家が、田舎の外れ辺りにありました。
彼女は、感じのよい小さな家でした。
その上、彼女は、頑丈で、申し分なく造ってありました。
彼女を、とても頑丈に建てた、その男は、言いました。
「この小さな家は、金貨や銀貨と引き換えに売られてはならない。彼女の中で暮らす僕達の曾々孫の曾々孫を見る迄、彼女は、きっと残っている。」

page 2
その小さな家は、丘の上に身を置いているだけで、心底幸福で、彼女を囲む田舎の様子を見守っていました。
彼女は、暁に朝陽が昇るのを見届け、夕べに、陽が沈むのを見届けました。
日は、それぞれが、以前のそれと少し異なって、その日の後に続きました。
けれども、その小さな家は、全く変わりません。

page 4
夜な夜な、月が、か細い新月から満月に変わってゆくのを見守りました。
そして、月さえない時、彼女は、星を待ち望みました。
遥か遠く離れた辺りに、彼女は、街の明かりを見る事が出来ました。
小さな家は、街について知りたくなりました。
いったい、どんな人がそこで暮らしたがるのだろう、と不思議に思いました。

page 6
彼女は、季節と共にゆっくりと移り変わる田舎の様子を見てはいましたが、小さな家にとって、時は、急いで過ぎ去ったのです。
春には、昼間が一段と長くなり、日差しがますます強くなります。
彼女は、最も早い駒鳥が、南方から帰るのを待ちました。
彼女は、芝生が緑色に変わるのを見届けました。
彼女は、樹木が芽吹き、林檎の木が一時(いっとき)に花開くのを見ていました。
彼女は、小川の中で、遊んでいる子供たちを見守りました。

page 8
長い夏の昼間、
彼女は、日向に身を置き、葉で自分を覆い隠している木々や、丘を覆う白いフランス菊を見ていました。
彼女は、庭が草木で覆われるのを見守りました。
それから、彼女は、林檎が赤く色付き、熟すのを見届けました。
彼女は、子供達がプールで泳いでいるのを見守りました。

page 10
秋に入り、
昼間が幾分短くなり、夜が心なしか肌寒くなりますと、
彼女は、初霜が、木の葉を、目も覚めるばかりの黄色や、橙色(だいだいいろ)や、赤色に染めるのを見ていました。
彼女は、作物が取り入れられたり、林檎が捥(も)ぎ取られたりするのを見届けました。
彼女は、学校に戻る子供達を見守りました。

page 12
冬に入って、
夜は長く、昼間は短くなり、田舎が雪で覆われますと、
彼女は、滑り降りたり、スケートをしたりする子供達を見守りました。
一年は、一年の後に続きます・・・
林檎の樹は、老い、新しい木が植えられました。
子供達は大人になり、街に行ってしまいました。
そうして、今では、夜になると、
街の明かりは輝きを増し、密集しているかのように思えました。

page 14
或る日、
小さな家は、曲がりくねった田舎道を、馬が牽(ひ)かない車が下って行くのを見て、驚きました。・・・
あっという間もなく、そうした車が、路上の大半を占めるようになり、そうして、殆どの車は、馬で牽(ひ)かれなくなくなりました。
あっという間もなく、多勢の測量技師がやって来て、小さな家の前で、道筋を測りました。
あっという間もなく、蒸気シャヴルがやって来て、フランス菊で覆われた丘を通る道を掘り返しました。・・・
それから、何台ものトラックがやって来て、道に大きな石をどすんと落とし、次に、砂利を積んだ何台ものトラックが、その次に、コールタールピッチと砂を積んだ何台ものトラックが、そして最後に、蒸気ローラーがやって来て、それをすっかり平らに均(なら)し、そうして、道は、出来上がりました。

page 16
今はもう、小さな家は、トラックや自動車が往き来するのを見守っています。
ガソリン・ステイション・・・
道端の店・・・
そのように、小さな家屋が、出来立ての道路の後に続きました。
誰も彼も、そして何もかもが、以前より今の方が、遥かに速く進みます。

page 18
更に多くの道路が造られ、
そして、田舎は、多くの人々に振り分けられました。
更に多くの家屋や、更に大きな家が・・・
アパートメントゥやテネメントゥ・・・
学校・・・お店・・・そしてガリッジが田園を覆い尽くし、小さな家の周りを、ぎゅうぎゅう詰めにしました。
誰も、彼女の中に住んで、これ以上、彼女を管理しようとは思わなくなりました。
彼女は、金貨か銀貨と引き換えに、売られそうもありません。
そう、彼女は、只、そこに留まり、見物しているしかなかったのです。

page 20
今はもう、夜になっても、さほど静かでも、平穏でもありません。
今はもう、街の明かりが冴え、確実に追い迫り、街灯が夜通し輝いています。
「これが、街での暮らしに違いない。」と、小さな家はつくづく思いました。
実のところ、彼女がそれを好むかどうかは、お構いなしだったのです。
彼女は、フランス菊の野原や、月の光にゆらゆら揺れる林檎の木がない事を寂しく思いました。

page 22 
あっという間もなく、小さな家の前を、市街電車が往き来するようになりました。
それは、日中と夜間、往き来しました。
誰もが実に忙(せわ)しなく、誰もが急(せ)いているようでした。

page 24
あっという間もなく、小さな家の上を、高架列車が往き来するようになりました。
空気は、埃や煙が充満し、騒音が非常に高く、小さな家を震わせる程でした。
今はもう、彼女は、春が来ても、夏か、秋か、或いは冬なのか、知りようもありません。
何もかも、殆ど変わらない事のように思えました


page 26
あっという間もなく、小さな家の下を、地下鉄が往き来するようになりました。
彼女は、それを見られそうもありませんが、それを感じて、耳にする事は出来そうです。
人々は、益々手間を惜しんで行動しようしました。
もはや誰一人、小さな家に気付きません。
人は、脇目も振らず、事を急(せ)いていました。

page 28
あっという間もなく、人は、小さな家の周りのアパートメントゥやテネメントゥを取り壊して、広い地下室も掘り始めました・・・各々の側に一つ。
蒸気シャヴルは、片側に三階を、もう一方の側に四階を掘りました。
あっという間もなく、彼らは、建設し始めました。
彼らは、一方の側に二十五階を、もう一方に三十五階を建設しました。

15:30 2013/12/28土曜日

2013年12月27日金曜日

「The Little House(小さな家)」page 1~22

岩波子どもの絵本の「ちいさいおうち」を、年末までに翻訳します。
「The Little House」
story by
Virginia Lee Burton

page1
昔、或る時、一軒の小さな家が、田舎の外れ辺りにありました。
彼女は、感じのよい小さな家でした。
その上、彼女は、頑丈で、申し分なく造ってありました。
彼女を、とても頑丈に建てた、その男は、言いました。
「この小さな家は、金貨や銀貨と引き換えに売られてはならない。彼女の中で暮らす僕達の曾々孫の曾々孫を見る迄、彼女は、きっと残っている。」

page 2
その小さな家は、丘の上に身を置いているだけで、心底幸福で、彼女を囲む田舎の様子を見守っていました。
彼女は、暁に朝陽が昇るのを見届け、夕べに、陽が沈むのを見届けました。
日は、それぞれが、以前のそれと少し異なって、その日の後に続きました。
けれども、その小さな家は、全く変わりません。

page 4
夜な夜な、月が、か細い新月から満月に変わってゆくのを見守りました。
そして、月さえない時、彼女は、星を待ち望みました。
遥か遠く離れた辺りに、彼女は、街の明かりを見る事が出来ました。
小さな家は、街について知りたくなりました。
いったい、どんな人がそこで暮らしたがるのだろう、と不思議に思いました。

page 6
彼女は、季節と共にゆっくりと移り変わる田舎の様子を見てはいましたが、小さな家にとって、時は、急いで過ぎ去ったのです。
春には、昼間が一段と長くなり、日差しがますます強くなります。
彼女は、最も早い駒鳥が、南方から帰るのを待ちました。
彼女は、芝生が緑色に変わるのを見届けました。
彼女は、樹木が芽吹き、林檎の木が一時(いっとき)に花開くのを見ていました。
彼女は、小川の中で、遊んでいる子供たちを見守りました。

page 8
長い夏の昼間、
彼女は、日向に身を置き、葉で自分を覆い隠している木々や、丘を覆う白いフランス菊を見ていました。
彼女は、庭が草木で覆われるのを見守りました。
それから、彼女は、林檎が赤く色付き、熟すのを見届けました。
彼女は、子供達がプールで泳いでいるのを見守りました。

page 10
秋に入り、
昼間が幾分短くなり、夜が心なしか肌寒くなりますと、
彼女は、初霜が、木の葉を、目も覚めるばかりの黄色や、橙色(だいだいいろ)や、赤色に染めるのを見ていました。
彼女は、作物が取り入れられたり、林檎が捥(も)ぎ取られたりするのを見届けました。
彼女は、学校に戻る子供達を見守りました。

page 12
冬に入って、
夜は長く、昼間は短くなり、田舎が雪で覆われますと、
彼女は、滑り降りたり、スケートをしたりする子供達を見守りました。
一年は、一年の後に続きます・・・
林檎の樹は、老い、新しい木が植えられました。
子供達は大人になり、街に行ってしまいました。
そうして、今では、夜になると、
街の明かりは輝きを増し、密集しているかのように思えました。

page 14
或る日、
小さな家は、曲がりくねった田舎道を、馬が牽(ひ)かない車が下って行くのを見て、驚きました。・・・
かなり急速に、そうした車が、路上の大半を占めるようになり、そうして、殆どの車は、馬で牽(ひ)かれなくなくなりました。
かなり急いで、多勢の測量技師がやって来て、小さな家の前で、道筋を測りました。
瞬(またた)く間に、蒸気シャヴルがやって来て、フランス菊で覆われた丘を通る道を掘り返しました。・・・
それから、何台ものトラックがやって来て、道に大きな石をどすんと落とし、次に、砂利を積んだ何台ものトラックが、その次に、コールタールピッチと砂を積んだ何台ものトラックが、そして最後に、蒸気ローラーがやって来て、それをすっかり平らに均(なら)し、そうして、道は、出来上がりました。

page 16
今はもう、小さな家は、トラックや自動車が往き来するのを見守っています。
ガソリン・ステイション・・・
道端の店・・・
そのように、小さな家屋が、出来立ての道路の後に続きました。
誰も彼も、そして何もかもが、以前より今の方が、遥かに速く進みます。

page 18
更に多くの道路が造られ、
そして、田舎は、多くの人々に振り分けられました。
更に多くの家屋や、更に大きな家が・・・
アパートメントゥやテネメントゥ・・・
学校・・・お店・・・そしてガリッジが田園を覆い尽くし、小さな家の周りを、ぎゅうぎゅう詰めにしました。
誰も、彼女の中に住んで、これ以上、彼女を管理しようとは思わなくなりました。
彼女は、金貨か銀貨と引き換えに、売られそうもありません。
そう、彼女は、只、そこに留まり、見物しているしかなかったのです。

page 20
今はもう、夜になっても、さほど静かでも、平穏でもありません。
今はもう、街の明かりが冴え、確実に追い迫り、街灯が夜通し輝いています。
「これが、街での暮らしに違いない。」と、小さな家はつくづく思いました。
実のところ、彼女がそれを好むかどうかは、お構いなしだったのです。
彼女は、フランス菊の野原や、月の光にゆらゆら揺れる林檎の木がない事を寂しく思いました。

page 22 
かなり急いで、小さな家の前を往き来する市街電車がありました。
それは、日中と夜間、往き来しました。
誰もが実に忙(せわ)しなく、誰もが急(せ)いているようでした。

16:22 2013/12/27金曜日

2013年12月26日木曜日

「The Little House(小さな家)」page 1~16

岩波子どもの絵本の「ちいさいおうち」を、年末までに翻訳します。
「The Little House」
story by
Virginia Lee Burton

page1
昔、或る時、一軒の小さな家が、田舎の外れ辺りにありました。
彼女は、感じのよい小さな家でした。
その上、彼女は、頑丈で、申し分なく造ってありました。
彼女を、とても頑丈に建てた、その男は、言いました。
「この小さな家は、金貨や銀貨と引き換えに売られてはならない。彼女の中で暮らす僕達の曾々孫の曾々孫を見る迄、彼女は、きっと残っている。」

page 2
その小さな家は、丘の上に身を置いているだけで、心底幸福で、彼女を囲む田舎の様子を見守っていました。
彼女は、暁に朝陽が昇るのを見届け、夕べに、陽が沈むのを見届けました。
日は、それぞれが、以前のそれと少し異なって、その日の後に続きました。
けれども、その小さな家は、全く変わりません。

page 4
夜な夜な、月が、か細い新月から満月に変わってゆくのを見守りました。
そして、月さえない時、彼女は、星を待ち望みました。
遥か遠く離れた辺りに、彼女は、街の明かりを見る事が出来ました。
小さな家は、街について知りたくなりました。
いったい、どんな人がそこで暮らしたがるのだろう、と不思議に思いました。

page 6
彼女は、季節と共にゆっくりと移り変わる田舎の様子を見てはいましたが、小さな家にとって、時は、急いで過ぎ去ったのです。
春には、昼間が一段と長くなり、日差しがますます強くなります。
彼女は、最も早い駒鳥が、南方から帰るのを待ちました。
彼女は、芝生が緑色に変わるのを見届けました。
彼女は、樹木が芽吹き、林檎の木が一時(いっとき)に花開くのを見ていました。
彼女は、小川の中で、遊んでいる子供たちを見守りました。

page 8
長い夏の昼間、
彼女は、日向に身を置き、葉で自分を覆い隠している木々や、丘を覆う白いフランス菊を見ていました。
彼女は、庭が草木で覆われるのを見守りました。
それから、彼女は、林檎が赤く色付き、熟すのを見届けました。
彼女は、子供達がプールで泳いでいるのを見守りました。

page 10
秋に入り、
昼間が幾分短くなり、夜が心なしか肌寒くなりますと、
彼女は、初霜が、木の葉を、目も覚めるばかりの黄色や、橙色(だいだいいろ)や、赤色に染めるのを見ていました。
彼女は、作物が取り入れられたり、林檎が捥(も)ぎ取られたりするのを見届けました。
彼女は、学校に戻る子供達を見守りました。

page 12
冬に入って、
夜は長く、昼間は短くなり、田舎が雪で覆われますと、
彼女は、滑り降りたり、スケートをしたりする子供達を見守りました。
一年は、一年の後に続きます・・・
林檎の樹は、老い、新しい木が植えられました。
子供達は大人になり、街に行ってしまいました。
そうして、今では、夜になると、
街の明かりは輝きを増し、密集しているかのように思えました。

page 14
或る日、
小さな家は、曲がりくねった田舎道を、馬が牽(ひ)かない車が下って行くのを見て、驚きました。・・・
かなり急速に、そうした車が、路上の大半を占めるようになり、そうして、殆どの車は、馬で牽(ひ)かれなくなくなりました。
かなり急いで、多勢の測量技師がやって来て、小さな家の前で、道筋を測りました。
瞬(またた)く間に、蒸気シャヴルがやって来て、フランス菊で覆われた丘を通る道を掘り返しました。・・・
それから、何台ものトラックがやって来て、道に大きな石をどすんと落とし、次に、砂利を積んだ何台ものトラックが、その次に、コールタールピッチと砂を積んだ何台ものトラックが、そして最後に、蒸気ローラーがやって来て、それをすっかり平らに均(なら)し、そうして、道は、出来上がりました。

page 16
今はもう、小さな家は、トラックや自動車が引き返したり、街へ出掛けていくのを見守っています。
ガソリン・ステイション・・・
道端の店・・・
そのように、小さな家屋が、出来立ての道路の後に続きました。
誰も彼も、そして何もかもが、以前より今の方が、遥かに速く進みます。

15:47 2013/12/26木曜日

2013年12月25日水曜日

「The Little House(小さな家)」page 1~12

岩波子どもの絵本の「ちいさいおうち」を、年末までに翻訳します。
「The Little House」
story by
Virginia Lee Burton

page1
昔、或る時、一軒の小さな家が、田舎の外れ辺りにありました。
彼女は、感じのよい小さな家でした。
その上、彼女は、頑丈で、申し分なく造ってありました。
彼女を、とても頑丈に建てた、その男は、言いました。
「この小さな家は、金貨や銀貨と引き換えに売られてはならない。彼女の中で暮らす僕達の曾々孫の曾々孫を見る迄、彼女は、きっと残っている。」

page 2
その小さな家は、丘の上に身を置いているだけで、心底幸福で、彼女を囲む田舎の様子を見守っていました。
彼女は、暁に朝陽が昇るのを見届け、夕べに、陽が沈むのを見届けました。
日は、それぞれが、以前のそれと少し異なって、その日の後に続きました。
けれども、その小さな家は、全く変わりません。

page 4
夜な夜な、月が、か細い新月から満月に変わってゆくのを見守りました。
そして、月さえない時、彼女は、星を待ち望みました。
遥か遠く離れた辺りに、彼女は、街の明かりを見る事が出来ました。
小さな家は、街について知りたくなりました。
いったい、どんな人がそこで暮らしたがるのだろう、と不思議に思いました。

page 6
彼女は、季節と共にゆっくりと移り変わる田舎の様子を見てはいましたが、小さな家にとって、時は、急いで過ぎ去ったのです。
春には、昼間が一段と長くなり、日差しがますます強くなります。
彼女は、最も早い駒鳥が、南方から帰るのを待ちました。
彼女は、芝生が緑色に変わるのを見届けました。
彼女は、樹木が芽吹き、林檎の木が一時(いっとき)に花開くのを見ていました。
彼女は、小川の中で、遊んでいる子供たちを見守りました。

page 8
長い夏の昼間、
彼女は、日向に身を置き、葉で自分を覆い隠している木々や、丘を覆う白いフランス菊を見ていました。
彼女は、庭が草木で覆われるのを見守りました。
それから、彼女は、林檎が赤く色付き、熟すのを見届けました。
彼女は、子供達がプールで泳いでいるのを見守りました。

page 10
秋に入り、
昼間が幾分短くなり、夜が心なしか肌寒くなりますと、
彼女は、初霜が、木の葉を、目も覚めるばかりの黄色や、橙色(だいだいいろ)や、赤色に染めるのを見ていました。
彼女は、作物が取り入れられたり、林檎が捥(も)ぎ取られたりするのを見届けました。
彼女は、学校に戻る子供達を見守りました。

page 12
冬に入って、
夜は長く、昼間は短くなり、田舎が雪で覆われますと、
彼女は、滑り降りたり、スケートをしたりする子供達を見守りました。
一年は、一年の後に続きます・・・
林檎の樹は、老い、新しい木が植えられました。
子供達は大人になり、街に行ってしまいました。
そうして、今では、夜になると、
街の明かりは輝きを増し、密集しているかのように思えました。

15:35 2013/12/25水曜日

2013年12月24日火曜日

「The Little House(小さな家)」page 1~6

岩波子どもの絵本の「ちいさいおうち」を、年末までに翻訳します。
「The Little House」
story by
Virginia Lee Burton

page 1
昔、或る時、一軒の小さな家が、田舎の外れ辺りにありました。
彼女は、感じのよい小さな家でした。
その上、彼女は、頑丈で、申し分なく造ってありました。
彼女を、とても頑丈に建てた、その男は、言いました。
「この小さな家は、金貨や銀貨と引き換えに売られてはならない。彼女の中で暮らす僕達の曾々孫の曾々孫を見る迄、彼女は、きっと残っている。」

page 2
その小さな家は、丘の上にじっとしているだけで、心底幸福で、彼女を囲む田舎の様子を見守っていました。
彼女は、暁に朝陽が昇るのを見届け、夕べに、陽が沈むのを見届けました。
日は、それぞれが、以前のそれと少し異なって、その日の後に続きました。
けれども、その小さな家は、全く変わりません。

page 4
夜な夜な、月が、か細い新月から満月に変わってゆくのを見守りました。
そして、月さえない時、彼女は、星を待ち望みました。
遥か遠く離れた辺りに、彼女は、街の明かりを見る事が出来ました。
小さな家は、街について知りたくなりました。
いったい、どんな人がそこで暮らしたがるのだろう、と不思議に思いました。

page 6
彼女は、季節と共にゆっくりと移り変わる田舎の様子を見てはいましたが、小さな家にとって、時は、急いで過ぎ去ったのです。
春には、昼間が一段と長くなり、日差しがますます強くなります。
彼女は、最も早い駒鳥が、南方から帰るのを待ちました。
彼女は、芝生が緑色に変わるのを見届けました。
彼女は、樹木が芽吹き、林檎の木が一時(いっとき)に花開くのを見ていました。
彼女は、小川の中で、遊んでいる子供たちを見守りました。

15:07 2013/12/24火曜日

2013年12月23日月曜日

「The Little House(小さな家)」page 1~2

岩波子どもの絵本の「ちいさいおうち」を、年末までに翻訳します。
「The Little House」
story by
Virginia Lee Burton

page 1
昔、或る時、一軒の小さな家が、田舎の外れ辺りにありました。
彼女は、感じのよい小さな家でした。
その上、彼女は、頑丈で、申し分なく造ってありました。
彼女を、とても頑丈に建てた、その男は、言いました。
「この小さな家は、金貨や銀貨と引き換えに売られてはならない。彼女の中で暮らす僕達の曾々孫の曾々孫を見る迄、彼女は、きっと残っている。」

page 2
その小さな家は、丘の上にじっとしているだけで、心底幸福で、彼女を囲む田舎の様子を見守っていました。
彼女は、暁に朝陽が昇るのを見届け、夕べに、陽が沈むのを見届けました。
日は、それぞれが、以前のそれと少し異なって、その日の後に続きました。
けれども、その小さな家は、全く変わりません。

15:24 2013/12/23月曜日








2013年12月22日日曜日

Cinderella 44(終わり)

There was once a man whose wife died and left him to bring up their only child,a little daughter,who was sweet and gentle by nature and as pretty as a girl could be. 
 Father and daughter lived happily enough together until the man married again.
His new wife was a proud and masterful woman,with two plain  daughters who were as arrogant and disagreeable as she was herself.
These three soon took command in the house and,because they were jealous of the young girl’s charm and beauty,they always spoke unkindly to her and made her work from morning till night.
She had no pretty dresses,only the cast-off clothes of the older girls;she had to sweep and dust
and scrub;to lay the fire;to cook,and wash the dishes.
When her work was done the poor child had nowhere to go but the kitchen,where she sat in the chimney corner among the cinders and ashes;and for this reason she was called Cinderella.
 Now it happened that the prince of that country was unmarried .
The king,his father decided to give a great ball to which all persons of consequence were to be invited.
The ball would be held for three nights and the king felt sure that his son would be able to find a bride among the beautiful ladies who would attend.
 An invitation was received by Cinderella's sisters,who were highly delighted.
They spent hours discussing what they should wear,and even consulted Cinderella,for she had excellent taste.
Cinderella had to wash and iron and sew for them,and when the great day came she was summoned to help them dress.
She did up hooks and eyes,tied ribbons and laces,arranged their hair,and handed them the glittering jewels and ornaments with which they decked ―for they are determined to impress the prince with all their finery.
 After everyone had gone to the palace and she was left alone poor Cinderella sat down in the chimney-corner and wept bitterly.
She would so dearly have liked to have gone to the ball.
Suddenly there appeared beside her a little old woman,who smiled at her and asked,‘Cinderella,why are you crying?’ 
 ‘Oh’said Cinderella ‘my sisters have gone to a magnificent ball at the palace,and I wish,oh!how I wish they had taken me too!’
 ‘Dry your eyes,’said the little old lady.‘I am your fairy godmother,and if you promise to do exactly as I tell you,you shall go to the ball.’
 So Cinderella dried her eyes,and when her godmother told her fetch a pumpkin,she did so without question.
With one touch of her wand the fairy turned the pumpkin into a splendid golden coach.
Then she said to Cinderella,‘Go and fetch the  mouse-trap.
Inside the trap were six mice and a rat.
The fairy godmother quickly turned the mice into six beautiful horses and the rat into a coachman.
Six lizards,which Cinderella found for her in the garden,became six footmen in handsome livery.
‘There you are,said the godmother,‘now you can go to the ball!’
‘But what shall I wear?’asked Cinderella.
‘I can’t go in these old rags,and I have no other dress.’ 
‘That is soon put right,’answered her god mother. 
She touched Cinderella with her wand,and at once her old clothes fell away and Cinderella was beautiful to behold in a gown of shimmering silk all studded with precious stones.
Her god mother then gave her a pair of glass slippers,the prettiest little slippers ever seen.
Then Cinderella stepped into the golden coach  but,before she drove off to the ball,her godmother gave her a solemn warning.
‘You must be sure to leave before midnight.
If you stay one minute after twelve o’clock ,everything will become as it was before.
Your coach will turn back into a pumpkin,your horses and retainers into mice and lizards,and you will be dressed in your old rags again.’
 Cinderella promised.
She thanked her fairy godmother and drove off full of joy to the palace.
When she arrived she was met by the prince himself,and entered the ballroom on his arm.
Everyone stopped dancing,even the musicians ceased to play,so struck were they by the grace and beauty of this new-comer,whom they took to be some foreign princess.
The prince danced several times with her and hardly took his eyes off her the whole evening.
During supper Cinderella was at pains to be gracious to her two sisters,for,although splendidly dressed,they were still plain and awkward and few people had asked to dance with them.
Soon after half-past eleven,remembering her promise to her godmother,Cinderella made a graceful curtsy to the king and the queen and the prince,and quietly took her leave.
She was safely back home,and in her accustomed place by the kitchen fire,some time before her sisters returned.  
 ‘How late you are,’she said as she opened the door to them,yawning and rubbing her eyes,as though she had just awakened from sleep.
‘If you had been at the ball you would not have been home any earlier,’one of them answered. ‘A beautiful princess was there and no one left before she did.
 ‘She was vastly agreeable to us,’added the other.
‘The prince himself was much taken with her;he had eyes for no one else.’
  The two sisters were full of admiration for the strange princess who had so outshone every other beauty at the ball.
The next evening the two sisters went again  to the palace.
Cinderella went also,and looked even more lovely than she had done the night before.
The king‘s son was constantly at her side,and she enjoyed herself so much that she almost forgot her godmother‘s warning.
IT was so nearly midnight by the time she left the ball that she had barely time to reach home before her finery dissapeared.
 When they returned,her sisters had much to say about the strange princess whose name nobody knew.
The prince,they said,was very much in love with her,and had said he would give all he possessed to find out who she was.
  The third night Cinderella‘s dress was cloth of gold and silver;it was trimmed with diamonds,and she wore a diamond circlet in her hair.
Everyone at the palace waited for the arrival of the unknown beauty;the ball did not start until she came.
This time the prince danced with no one else,and he stayed beside Cinderella the whole evening.
In her happiness Cinderella had not care in the world.
The hours sped by and she was dancing with the prince when the clock began to strike.
Surely it was only eleven?
But the strokes boomed out-ten,eleven,twelve!
Midnight!
In horror Cinderella wrenched her hand from the prince’s grasp.
She darted through the doorway and as she ran down the great staircase,she lost one of her little slippers,but she was in too much of a hurry to stop and pick it up.
By the time she reached the bottom of the stairs her beautiful dress had turned to rags and when she reached the door,coach,horses,coachman and footmen had all vanished.
Cinderella had to run all the way home.
She arrived panting out of breath with nothing left of her magnificence except one little glass   slipper.
 What a to-do there was at the palace!
When she sprang so suddenly from his grasp the prince had tried to follow,but he soon lost sight of Cinderella in the crowd,and could not tell which way she had gone.
None of the guards whom he questioned had seen the beautiful princess;one of them had caught sight of a little ragged girl running  through the palace grounds,but of the princess there was not a sign.
The prince was in despair.
Then one of the courtiers brought to him the little glass slipper which had been found on the great stairway.
He persuaded the king to make a proclamation and send heralds through the land to announce that the prince would marry the lady to whom the slipper belonged,and that everyone,high and low,would have a chance to try it on until the right owner was found.
 The slipper was carried first to the princess,then to the duchesses,and then to every member of the court.
But all in vain.
Finally it was brought to the house of the two sisters,who did all they could to fit it on,but could not manage it.
Cinderella,who was watching them,and who recognized her slipper,said,‘Let us see if it will fit me!’
The sisters began to laugh and to jeer at her.
But the Gentleman of the Court who was trying on the slipper had seen how lovely she was,and he said that certainly she should try,for he had orders to try it on all girls in the land.
Cinderella sit down,and slid the slipper on to her little foot,and saw that it fitted her as if it had been made for her.
The two sisters were amazed,but were even more astonished when Cinderella pulled out of her pocket the other little slipper put it on.
At that moment her fairly godmother appeared.
She touched Cinderella’s clothes with her wand,and became even more magnificent than any she had worn before.
 The two sisters now recognized her as the beautiful princess they had seen at the ball.
They threw themselves at her feet to crave her pardon for their unkindness to her.
Cinderella raised them up,and,kissing them,told them that she forgave them with all her heart,and only desired them to love her always.
 She was conducted to the young prince,arrayed as she was.
He thought she was more lovely than ever,and married her a few days afterwards.
Cinderella,who was as good as she was beautiful,brought her two sisters to live at the palace,and married them on the very same day to two great lords of the Court.
 
昔、妻が他界し、二人の唯一の子供、いといけな娘を育てなければならなくなった一人の男がいました。
その娘は、生まれつき可愛らしくて、大人しくて、少女としてあり得る限り、可憐でした。
  父と娘は、その男が再婚するまで、一緒に、充分幸福に暮らしました。
彼の新しい妻は、彼女によく似た、傲慢で、気難しい二人の不器量な娘を連れた、思い上がった、我儘な女でした。
この三人は、直(じき)に家の中の支配権を握りました、と云うのも、彼女達は初心(うぶ)な少女の魅力や美点を妬(ねた)んでいましたから。彼女達は、彼女に対して、絶えず不親切にものを言い、朝から夜まで、彼女の仕事を用意しました。
彼女は、小奇麗な服を一枚も持たず、只、姉達の着古した服ばかり持っていました。彼女は、掃いて、はたきを掛け、ごしごし洗わなければなりません。薪(たきぎ)をくべては、煮炊きをし、それからお皿を洗いました。
仕事が終わると、可愛そうな子供は、台所の他に何処にも行く所がありません。
彼女は、熾(お)きと灰に囲まれた炉辺(ろばた)で蹲(うずくま)っていました。
この所為(せい)で、彼女はシンデレラと呼ばれました。
  時に、その国の皇太子は、たまたま独身でした。
君主である彼の父は、あらゆる有力者が招待される盛大な舞踏会を開く事にしました。
舞踏会は三晩催され、息子は、出席する美しい淑女の中に、間違いなく花嫁を見付ける事が出来るだろう、と君主は思いました。
  招待状は、シンデレラの姉達によって受け取られました。
彼女達は、大変喜びました。
二人は、何を着ようか相談して時を費やし、シンデレラにまで意見を聞きました。
彼女は、上品な好みでしたから。
シンデレラは、彼女達の代わりに、洗濯をして、アイロンを掛け、縫い物をしなければなりませんでした。
やがて、その大切な日が遣って来ると、身支度を手伝うよう彼女達に言い付けられました。
彼女は、ホックと止金を留め、リボンやレースを結び、彼女達の髪を整え、美しく見せる、人目を引く宝石や装身具を、彼女達に手渡しました。―彼女達は、麗々しく着飾って、皇太子を感銘させようと、心密かに決めていましたから。
  みんな宮殿に出かけ、1人切りで放って置かれると、可愛そうなシンデレラは、炉辺(ろばた)に腰を下ろし、ひどく嘆き悲しみました。
彼女は、本当に心から舞踏会に行きたくなりました。
突然、彼女の傍(そば)に、小さな年老いた婦人が現れました。そして彼女に微笑み、尋ねました。
「シンデレラ、どうしてあなたは泣いているの?」
  「あぁ」シンデレラは、口を開き、「私のお姉さまは、宮殿の素敵な舞踏会に出かけた、それなのに私は、あぁ!私も連れて行ってくれたら、とどんなに願った事でしょう!」
  「泣かないで」、小さな年取った女の人は、言いました。
「私はあなたの妖精の代母です。もし、私があなたに話すままを寸分違わず行うと約束するなら、舞踏会に行かせてあげましょう」
  そこで、シンデレラは、涙を拭いました。それから妖精の代母は、南瓜(かぼちゃ)を取って来るように、彼女に告げました。彼女は、疑いもせずそうしました。
彼女の魔法の杖がちょっと触れただけで、妖精は、その南瓜を、金色(こんじき)に輝く、見事な四輪大型馬車に変えました。
それから彼女は言いました。
「行って鼠捕りを取って来て」
六匹の二十日鼠と一匹の溝鼠(どぶねずみ)が、罠の中にいました。
妖精の代母は、直ぐにその二十日鼠を六頭の見事な馬に、溝鼠を御者に変えました。
彼女の為にシンデレラが庭で見つけた六匹の蜥蜴(とかげ)は、立派な装いに身を包んだ六人の従僕になりました。
  「これでいいわ」と、代母は言いました。「さあ、あなたは舞踏会に行くといい」「でも、私は何を着ればいいの?」シンデレラは、尋ねました。「私は、こんな古くなったぼろ服を着て行けない、それに、私は、他にドレスを持っていないの」
  「それは、直ぐに揃えられます」と、彼女の代母は言いました。
彼女は、魔法の杖でシンデレラに触れました。するとたちまち、彼女の着古した服が消え、シンデレラは、高価な宝石が散りばめられたちらちら光る絹のガウンを着てみると、申し分(ぶん)がありませんでした。
そこで、代母は、彼女に一足のガラスの上靴を差し出しました。
今まで見た中で最も美しい上靴でした。
それから、シンデレラは、金色(こんじき)の大型四輪馬車に乗り込みましたが、舞踏会に駆り出す前に、彼女の代母は、彼女に厳重な警告を発しました。
  あなたは、十二時前に必ず引き払わなければなりません。
もしあなたが、真夜中を一分でも回って居残れば、何もかもそれまでと同じになります。
あなたの大型四輪馬車は南瓜に、馬や随行者は、二十日鼠と蜥蜴に戻り、あなたは、元のように、着古したぼろ服を着る事になります。
  シンデレラは、約束しました。
彼女は、妖精の代母に感謝し、大喜びで宮殿に駆り出しました。
  彼女が到着すると、皇太子自身によって出迎えられました。 そして彼の腕を取って舞踏会場に入りました。
誰もが踊るのを止め、音楽家まで演奏する手を休め、この来たばかりの人の優しさと美しさにどれだけ魅了された事か。彼らは、彼女が何処かの国の王妃だと考えました。
皇太子は、彼女と幾度も踊り、一晩中彼女から目を離す事はありませんでした。
晩餐の間、シンデレラは、労を厭わず、二人の姉に優しくしようとしました。
何故なら見事に装っていましたが、彼女達は相変わらず不器量で、恥ずかしがり屋でしたから。
殆どの人が一緒に踊って下さい、と言いませんでした。
  11時半を過ぎると間もなく、彼女の代母との約束を思い出しました。
シンデレラは、国王、女王、そして皇太子に礼儀正しくお辞儀をして、人目に付かないように分かれを告げました。
彼女は、無事家に帰り、彼女の姉達が帰って来るまで、台所の側の何時もの場所で、しばらくじっとしていました。
「随分遅かったのね。」
彼女は、ドアを開けると、まるで、今、眠りから目覚めたように、欠伸(あくび)をして、目を擦(こす)りながら言いました。
「もし、あなたが舞踏会にいたら、少しでも早く、家に帰ろうなんて、あなたはきっと、思わなかったでしょう。」彼女達の内の一人が、言い返しました。
「一人の美しい皇女(おうじょ)がそこにいらっしゃって、彼その方が会場を後になさるまで、誰一人去ろうとはしなかった。」
「その方は、とても私達に好意的だったの。」もう一人が付け加えました。
「皇太子ご自身、ひどくその方に惹かれていらっしゃって、他の何方(どなた)にも目を呉れようともなさらなかった。」
二人の姉は、舞踏会の、他の全ての美しい方々にも勝る、その見知らぬ皇女に対する感嘆の念でいっぱいでした。
翌日の夕方、二人の姉は、再び宮殿に出掛けました。
シンデレラも同じ様に、出掛けましたが、昨夜より更に一層、綺麗で愛らしく見えました。
国王の子息は、ただひたすら彼女の側にいました。
そして彼女は、余りにも心底楽しく過ごしましたので、代母の警告を、殆ど忘れてしまうところでした。
彼女が舞踏会場を後にする頃にはもう、零時ほんの少し前になっていましたから、その派手な装いが消える前に、かろうじて、彼女は、家に帰り着く事が出来ました。
戻るなり、彼女の姉達は、誰一人その名も知らぬ、異国の皇女について、大いに語りました。
彼女達が言うには、その王子は、すっかり彼女に恋してしまった挙句、彼女が誰なのか捜し出してくれたら、全財産を与えてもよい、と言ったそうです。
三日目の夜、シンデレラのドレスは、金糸、銀糸が織り込まれた布でした。 それは、ダイアモンドで飾られていました。そして、髪に、ダイアモンドのティアラを付けました。
宮殿の誰もが、筆舌に尽くし難い美しい人の登場を待ち望んでいました。
舞踏会は、彼女が到着するまで始まりませんでした。
この度(たび)ばかりは、皇太子は、他の誰とも踊らず、一晩中、シンデレラの傍にいました。
幸せ過ぎて、シンデレラは、全く注意を払う事もなくなりました。
時間が走り去り、柱時計が打ち始めた頃には、彼女は、皇太子と踊っていました。
まさか、未だ11時では?
しかし、その打音は、低く響きました、十一、十二!
十二時!
ぞっとして、シンデレラは、皇太子の手からその手を捻り取りました。
彼女は、戸口を抜けて飛び出しました。そして、長い階段を走り下りる時、小さなガラスの上靴の片方を失くしましたが、余りにも急いでいましたから、立ち止まって、それを拾い上げる間がありませんでした。
彼女が一番下の段に達するまでに、彼女の綺麗な服は、ぼろ服に変わり、ドァに着く頃には、大型四輪馬車も御者も従僕も、悉(ことごと)く消えていました。
シンデレラは、家に着くまで走り通さなければなりませんでした。
小さなガラスの上靴の片方の他に、贅沢なものの一つも残せず、彼女は、息を切らして帰り着きました。
 宮殿では、どんなに大騒ぎだった事でしょう!
彼女は、彼の手を逃れて突然飛び出しましたので、皇太子は、後を追おうとしました。
しかし、彼は、直に、人込みの中に、シンデレラを見失いました。
結局、何処へ彼女が去ったのか、分からなくなりました。
尋ねた警備隊の誰も、その美しい皇女に気付かなかったのです。
彼らの内の一人は、宮殿の庭を走り抜ける、小さなぼろを着た女の子の姿をちらっと見ましたが、その皇女だという証拠はありません。
皇太子は、諦めました。
その時、廷臣の一人が、長い階段で見付けた、小さなガラスの上靴を、彼の所に持って来ました。
皇太子は、その上靴を履いていた淑女を妻とする、身分が高くとも低くとも、真実の持ち主が見付けられるまでそれを履いてみるチャンスが、誰にでも一度はある、と告知するよう、国王を説得し、そして国中に使いを送りました。  
 その上靴は、初めに皇女に、次に公爵夫人達に、その次に王宮の全ての者達に運ばれました。
 しかし、悉(ことごと)く無駄でした。
最後に、それは、二人の姉の住まいに持って行かれました。
それにぴったり合わせようと、彼女達は出来る限りの事をし尽くしました。
けれども、どうする事も出来ませんでした。
彼女達を見守りながら、あの上靴だと思ったシンデレラは、「そうですね、私に合うかどうか確かめてみましょう!」と口にしました。
姉達は、笑い、彼女を嘲(あざけ)り始めました。
ところが、上靴を履かせようとしていた王宮の侍従は、何て愛らしい人なんだ、と思いました。そこで、無論です、彼女にも是非履いて頂きたい。国中の娘にそれを履いてみるよう、命令を下したのですから、と言いました。
シンデレラは、腰を下ろし、彼女の小さな足に、その上靴を滑り込ませました。それは、あたかも彼女の為に作られたかのように、彼女にぴったりだと云う事が明らかになりました。
二人の姉は、驚きました。
それだけでなく、履いていた片方の小さな上靴を、シンデレラがポケットから出すと、尚更驚きました。
その時、彼女の妖精の代母が現れました。
彼女は、魔法の杖で、シンデレラの服に触れました。するとそれは、彼女がそれまでに着ていたどれよりも、更に素敵になりました。
 二人の姉は、彼女を、舞踏会で出会ったあの美しい皇女と、直ぐに認めました。
彼女達は、彼女の足下に身を投げ出して、彼女に対する自らの不親切の許しを請いました。
シンデレラは、二人を立ち上がらせ、それから、キスをして 、彼女は、心からすすんで許すと
話しました。そして、一言、彼女を何時も慕ってほしいと、頼みました。
 彼女は、若い皇太子の所に案内されました。
彼女が前のように装うと、彼は、前よりもっと彼女に心を惹かれている、とつくづく思いました。
シンデレラは、美しく、それに劣らず誠実でしたが、宮殿で暮らす為に、二人の姉を連れて来ました。
まさしく同じ日に、宮殿の二人の貴族の許(もと)に、彼女達は嫁いで行きました。

14:58 2013/12/22日曜日

やっと「シンデレラ」の翻訳が終わりました。
この間に、日本中の翻訳者は、私のパソコンに不正アクセス、文部科学省から盗撮画像を提供され、覗き見しては、自分が過去に訳した童話を改竄しました。
福音館書店は、原作者マーシャ・ブラウンと共謀、私が翻訳しているシンデレラの文章を原作に組み込み、結末をそっくりそのまま盗みました。
この犯罪に、石破茂と三省堂が協力しています。
三省堂の英語辞書関係者は、聖書を誤訳して来た翻訳者です。
聖書の誤訳は、石破茂が聖書翻訳に関わって来た所為です。
福音館書店の翻訳書は、全て誤訳です。
もし正しい翻訳書があったら、私の翻訳を盗んだものです。
Godmotherを、「代母」と訳したのは、私だけです。
福音館書店は、盗んで使用しています。

シンデレラは、松野正子が訳しています。
松野正子は、特に岩波書店から多くの翻訳書を出版しています。
岩波書店は、夫殺害に協力、夫のアルバイト収入6万円を5万円に改竄しています。
私の叔父は今年二人死んでいます。
2011年から、膵臓がんによる死亡が急増しています。
私の叔父も膵臓がんでした。
半年前まで、癌と無縁でした。
彼は、国鉄時代、両足を切断する事故に遭っています。
国鉄だけでなく、私鉄事故も、故意に惹き起こされて来た、と考えます。

松野 正子(まつの まさこ、1935年7月12日 - 2011年12月21日)
日本の児童文学作家・翻訳家

愛媛県出身
早稲田大学第一文学部国文科卒業後
コロンビア大学大学院で図書館学を学ぶ
アリソン・アトリーなど英米児童文学翻訳書多数
第34回産経児童出版文化賞大賞
路傍の石幼少年文学賞受賞
吹田市を中心に講演活動
梅花女子大学非常勤講師
2011年12月21日6歳没 膵臓がん

15:34 2013/12/22日曜日

2013年12月21日土曜日

Cinderella 43

There was once a man whose wife died and left him to bring up their only child,a little daughter,who was sweet and gentle by nature and as pretty as a girl could be. 
 Father and daughter lived happily enough together until the man married again.
His new wife was a proud and masterful woman,with two plain  daughters who were as arrogant and disagreeable as she was herself.
These three soon took command in the house and,because they were jealous of the young girl’s charm and beauty,they always spoke unkindly to her and made her work from morning till night.
She had no pretty dresses,only the cast-off clothes of the older girls;she had to sweep and dust
and scrub;to lay the fire;to cook,and wash the dishes.
When her work was done the poor child had nowhere to go but the kitchen,where she sat in the chimney corner among the cinders and ashes;and for this reason she was called Cinderella.
 Now it happened that the prince of that country was unmarried .
The king,his father decided to give a great ball to which all persons of consequence were to be invited.
The ball would be held for three nights and the king felt sure that his son would be able to find a bride among the beautiful ladies who would attend.
 An invitation was received by Cinderella's sisters,who were highly delighted.
They spent hours discussing what they should wear,and even consulted Cinderella,for she had excellent taste.
Cinderella had to wash and iron and sew for them,and when the great day came she was summoned to help them dress.
She did up hooks and eyes,tied ribbons and laces,arranged their hair,and handed them the glittering jewels and ornaments with which they decked ―for they are determined to impress the prince with all their finery.
 After everyone had gone to the palace and she was left alone poor Cinderella sat down in the chimney-corner and wept bitterly.
She would so dearly have liked to have gone to the ball.
Suddenly there appeared beside her a little old woman,who smiled at her and asked,‘Cinderella,why are you crying?’ 
 ‘Oh’said Cinderella ‘my sisters have gone to a magnificent ball at the palace,and I wish,oh!how I wish they had taken me too!’
 ‘Dry your eyes,’said the little old lady.‘I am your fairy godmother,and if you promise to do exactly as I tell you,you shall go to the ball.’
 So Cinderella dried her eyes,and when her godmother told her fetch a pumpkin,she did so without question.
With one touch of her wand the fairy turned the pumpkin into a splendid golden coach.
Then she said to Cinderella,‘Go and fetch the  mouse-trap.
Inside the trap were six mice and a rat.
The fairy godmother quickly turned the mice into six beautiful horses and the rat into a coachman.
Six lizards,which Cinderella found for her in the garden,became six footmen in handsome livery.
‘There you are,said the godmother,‘now you can go to the ball!’
‘But what shall I wear?’asked Cinderella.
‘I can’t go in these old rags,and I have no other dress.’ 
‘That is soon put right,’answered her god mother. 
She touched Cinderella with her wand,and at once her old clothes fell away and Cinderella was beautiful to behold in a gown of shimmering silk all studded with precious stones.
Her god mother then gave her a pair of glass slippers,the prettiest little slippers ever seen.
Then Cinderella stepped into the golden coach  but,before she drove off to the ball,her godmother gave her a solemn warning.
‘You must be sure to leave before midnight.
If you stay one minute after twelve o’clock ,everything will become as it was before.
Your coach will turn back into a pumpkin,your horses and retainers into mice and lizards,and you will be dressed in your old rags again.’
 Cinderella promised.
She thanked her fairy godmother and drove off full of joy to the palace.
When she arrived she was met by the prince himself,and entered the ballroom on his arm.
Everyone stopped dancing,even the musicians ceased to play,so struck were they by the grace and beauty of this new-comer,whom they took to be some foreign princess.
The prince danced several times with her and hardly took his eyes off her the whole evening.
During supper Cinderella was at pains to be gracious to her two sisters,for,although splendidly dressed,they were still plain and awkward and few people had asked to dance with them.
Soon after half-past eleven,remembering her promise to her godmother,Cinderella made a graceful curtsy to the king and the queen and the prince,and quietly took her leave.
She was safely back home,and in her accustomed place by the kitchen fire,some time before her sisters returned.  
 ‘How late you are,’she said as she opened the door to them,yawning and rubbing her eyes,as though she had just awakened from sleep.
‘If you had been at the ball you would not have been home any earlier,’one of them answered. ‘A beautiful princess was there and no one left before she did.
 ‘She was vastly agreeable to us,’added the other.
‘The prince himself was much taken with her;he had eyes for no one else.’
  The two sisters were full of admiration for the strange princess who had so outshone every other beauty at the ball.
The next evening the two sisters went again  to the palace.
Cinderella went also,and looked even more lovely than she had done the night before.
The king‘s son was constantly at her side,and she enjoyed herself so much that she almost forgot her godmother‘s warning.
IT was so nearly midnight by the time she left the ball that she had barely time to reach home before her finery dissapeared.
 When they returned,her sisters had much to say about the strange princess whose name nobody knew.
The prince,they said,was very much in love with her,and had said he would give all he possessed to find out who she was.
  The third night Cinderella‘s dress was cloth of gold and silver;it was trimmed with diamonds,and she wore a diamond circlet in her hair.
Everyone at the palace waited for the arrival of the unknown beauty;the ball did not start until she came.
This time the prince danced with no one else,and he stayed beside Cinderella the whole evening.
In her happiness Cinderella had not care in the world.
The hours sped by and she was dancing with the prince when the clock began to strike.
Surely it was only eleven?
But the strokes boomed out-ten,eleven,twelve!
Midnight!
In horror Cinderella wrenched her hand from the prince’s grasp.
She darted through the doorway and as she ran down the great staircase,she lost one of her little slippers,but she was in too much of a hurry to stop and pick it up.
By the time she reached the bottom of the stairs her beautiful dress had turned to rags and when she reached the door,coach,horses,coachman and footmen had all vanished.
Cinderella had to run all the way home.
She arrived panting out of breath with nothing left of her magnificence except one little glass   slipper.
 What a to-do there was at the palace!
When she sprang so suddenly from his grasp the prince had tried to follow,but he soon lost sight of Cinderella in the crowd,and could not tell which way she had gone.
None of the guards whom he questioned had seen the beautiful princess;one of them had caught sight of a little ragged girl running  through the palace grounds,but of the princess there was not a sign.
The prince was in despair.
Then one of the courtiers brought to him the little glass slipper which had been found on the great stairway.
He persuaded the king to make a proclamation and send heralds through the land to announce that the prince would marry the lady to whom the slipper belonged,and that everyone,high and low,would have a chance to try it on until the right owner was found.
 The slipper was carried first to the princess,then to the duchesses,and then to every member of the court.
But all in vain.
Finally it was brought to the house of the two sisters,who did all they could to fit it on,but could not manage it.
Cinderella,who was watching them,and who recognized her slipper,said,‘Let us see if it will fit me!’
The sisters began to laugh and to jeer at her.
But the Gentleman of the Court who was trying on the slipper had seen how lovely she was,and he said that certainly she should try,for he had orders to try it on all girls in the land.
Cinderella sit down,and slid the slipper on to her little foot,and saw that it fitted her as if it had been made for her.
The two sisters were amazed,but were even more astonished when Cinderella pulled out of her pocket the other little slipper put it on.
At that moment her fairly godmother appeared.
She touched Cinderella’s clothes with her wand,and became even more magnificent than any she had worn before.
 The two sisters now recognized her as the beautiful princess they had seen at the ball.
They threw themselves at her feet to crave her pardon for their unkindness to her.
Cinderella raised them up,and,kissing them,told them that she forgave them with all her heart,and only desired them to love her always.


昔、妻が他界し、二人の唯一の子供、いといけな娘を育てなければならなくなった一人の男がいました。
その娘は、生まれつき可愛らしくて、大人しくて、少女としてあり得る限り、可憐でした。
  父と娘は、その男が再婚するまで、一緒に、充分幸福に暮らしました。
彼の新しい妻は、彼女によく似た、傲慢で、気難しい二人の不器量な娘を連れた、思い上がった、我儘な女でした。
この三人は、直(じき)に家の中の支配権を握りました、と云うのも、彼女達は初心(うぶ)な少女の魅力や美点を妬(ねた)んでいましたから。彼女達は、彼女に対して、絶えず不親切にものを言い、朝から夜まで彼女の仕事を用意しました。
彼女は、小奇麗な服を一枚も持たず、只、姉達の着古した服ばかり持っていました。彼女は、掃いて、はたきを掛け、ごしごし洗わなければなりません。薪(たきぎ)をくべては、煮炊きをし、それからお皿を洗いました。
仕事が終わると、可愛そうな子供は、台所の他に何処にも行く所がありません。
彼女は、熾きと灰に囲まれた炉辺(ろばた)で蹲(うずくま)っていました。
この所為で、彼女はシンデレラと呼ばれました。
  時に、その国の皇太子は、たまたま独身でした。
君主である彼の父は、あらゆる有力者が招待される盛大な舞踏会を開く事にしました。
舞踏会は三晩催され、息子は、出席する美しい淑女の中に、間違いなく花嫁を見付ける事が出来るだろう、と君主は思いました。
  招待状は、シンデレラの姉達によって受け取られました。
彼女達は、大変喜びました。
二人は、何を着ようか相談して時を費やし、シンデレラにまで意見を聞きました。
彼女は、上品な好みでしたから。
シンデレラは、彼女達の代わりに、洗濯をして、アイロンを掛け、縫い物をしなければなりませんでした。
やがて、その大切な日が遣って来ると、身支度を手伝うよう彼女達に言い付けられました。
彼女は、ホックと止金を留め、リボンやレースを結び、彼女達の髪を整え、美しく見せる、人目を引く宝石や装身具を、彼女達に手渡しました。―彼女達は、麗々しく着飾って、皇太子を感銘させようと、心密かに決めていましたから。
  みんな宮殿に出かけ、1人切りで放って置かれると、可愛そうなシンデレラは、炉辺(ろばた)に腰を下ろし、ひどく嘆き悲しみました。
彼女は、本当に心から舞踏会に行きたくなりました。
突然、彼女の傍(そば)に、小さな年老いた婦人が現れました。そして彼女に微笑み、尋ねました。
「シンデレラ、どうしてあなたは泣いているの?」
  「あぁ」シンデレラは、口を開き、「私のお姉さまは、宮殿の素敵な舞踏会に出かけた、それなのに私は、あぁ!私も連れて行ってくれたら、とどんなに願った事でしょう!」
  「泣かないで」、小さな年取った女の人は、言いました。
「私はあなたの妖精の代母です。もし、私があなたに話すままを寸分違わず行うと約束するなら、舞踏会に行かせてあげましょう」
  そこで、シンデレラは、涙を拭いました。それから妖精の代母は、南瓜(かぼちゃ)を取って来るように、彼女に告げました。彼女は、疑いもせずそうしました。
彼女の魔法の杖がちょっと触れただけで、妖精は、その南瓜を、金色(こんじき)に輝く、見事な四輪大型馬車に変えました。
それから彼女は言いました。
「行って鼠捕りを取って来て」
六匹の二十日鼠と一匹の溝鼠(どぶねずみ)が、罠の中にいました。
妖精の代母は、直ぐにその二十日鼠を六頭の見事な馬に、溝鼠を御者に変えました。
彼女の為にシンデレラが庭で見つけた六匹の蜥蜴(とかげ)は、立派な装いに身を包んだ六人の従僕になりました。
  「これでいいわ」と、代母は言いました。「さあ、あなたは舞踏会に行くといい」「でも、私は何を着ればいいの?」シンデレラは、尋ねました。「私は、こんな古くなったぼろ服を着て行けない、それに、私は、他にドレスを持っていないの」
  「それは、直ぐに揃えられます」と、彼女の代母は言いました。
彼女は、魔法の杖でシンデレラに触れました。するとたちまち、彼女の着古した服が消え、シンデレラは、高価な宝石が散りばめられたちらちら光る絹のガウンを着てみると、申し分(ぶん)がありませんでした。
そこで、代母は、彼女に一足のガラスの上靴を差し出しました。
今まで見た中で最も美しい上靴でした。
それから、シンデレラは、金色(こんじき)の大型四輪馬車に乗り込みましたが、舞踏会に駆り出す前に、彼女の代母は、彼女に厳重な警告を発しました。
  あなたは、十二時前に必ず引き払わなければなりません。
もしあなたが、真夜中を一分でも回って居残れば、何もかもそれまでと同じになります。
あなたの大型四輪馬車は南瓜に、馬や随行者は、二十日鼠と蜥蜴に戻り、あなたは、元のように、着古したぼろ服を着る事になります。
  シンデレラは、約束しました。
彼女は、妖精の代母に感謝し、大喜びで宮殿に駆り出しました。
  彼女が到着すると、皇太子自身によって出迎えられました。 そして彼の腕を取って舞踏会場に入りました。
誰もが踊るのを止め、音楽家まで演奏する手を休め、この来たばかりの人の優しさと美しさにどれだけ魅了された事か。彼らは、彼女が何処かの国の王妃だと考えました。
皇太子は、彼女と幾度も踊り、一晩中彼女から目を離す事はありませんでした。
晩餐の間、シンデレラは、労を厭わず、二人の姉に優しくしようとしました。
何故なら見事に装っていましたが、彼女達は相変わらず不器量で、恥ずかしがり屋でしたから。
殆どの人が一緒に踊って下さい、と言いませんでした。
  11時半を過ぎると間もなく、彼女の代母との約束を思い出しました。
シンデレラは、国王、女王、そして皇太子に礼儀正しくお辞儀をして、人目に付かないように分かれを告げました。
彼女は、無事家に帰り、彼女の姉達が帰って来るまで、台所の側の何時もの場所で、しばらくじっとしていました。
「随分遅かったのね。」
彼女は、ドアを開けると、まるで、今、眠りから目覚めたように、欠伸(あくび)をして、目を擦(こす)りながら言いました。
「もし、あなたが舞踏会にいたら、少しでも早く、家に帰ろうなんて、あなたはきっと、思わなかったでしょう。」彼女達の内の一人が、言い返しました。
「一人の美しい皇女(おうじょ)がそこにいらっしゃって、彼その方が会場を後になさるまで、誰一人去ろうとはしなかった。」
「その方は、とても私達に好意的だったの。」もう一人が付け加えました。
「皇太子ご自身、ひどくその方に惹かれていらっしゃって、他の何方(どなた)にも目を呉れようともなさらなかった。」
二人の姉は、舞踏会の、他の全ての美しい方々にも勝る、その見知らぬ皇女に対する感嘆の念でいっぱいでした。
翌日の夕方、二人の姉は、再び宮殿に出掛けました。
シンデレラも同じ様に、出掛けましたが、昨夜より更に一層、綺麗で愛らしく見えました。
国王の子息は、ただひたすら彼女の側にいました。
そして彼女は、余りにも心底楽しく過ごしましたので、代母の警告を、殆ど忘れてしまうところでした。
彼女が舞踏会場を後にする頃にはもう、零時ほんの少し前になっていましたから、その派手な装いが消える前に、かろうじて、彼女は、家に帰り着く事が出来ました。
戻るなり、彼女の姉達は、誰一人その名も知らぬ、異国の皇女について、大いに語りました。
彼女達が言うには、その王子は、すっかり彼女に恋してしまった挙句、彼女が誰なのか捜し出してくれたら、全財産を与えてもよい、と言ったそうです。
三日目の夜、シンデレラのドレスは、金糸、銀糸が織り込まれた布でした。 それは、ダイアモンドで飾られていました。そして、髪に、ダイアモンドのティアラを付けました。
宮殿の誰もが、筆舌に尽くし難い美しい人の登場を待ち望んでいました。
舞踏会は、彼女が到着するまで始まりませんでした。
この度(たび)ばかりは、皇太子は、他の誰とも踊らず、一晩中、シンデレラの傍にいました。
幸せ過ぎて、シンデレラは、全く注意を払う事もなくなりました。
時間が走り去り、柱時計が打ち始めた頃には、彼女は、皇太子と踊っていました。
まさか、未だ11時では?
しかし、その打音は、低く響きました、十一、十二!
十二時!
ぞっとして、シンデレラは、皇太子の手からその手を捻り取りました。
彼女は、戸口を抜けて飛び出しました。そして、長い階段を走り下りる時、小さなガラスの上靴の片方を失くしましたが、余りにも急いでいましたから、立ち止まって、それを拾い上げる間がありませんでした。
彼女が一番下の段に達するまでに、彼女の綺麗な服は、ぼろ服に変わり、ドァに着く頃には、大型四輪馬車も御者も従僕も、悉(ことごと)く消えていました。
シンデレラは、家に着くまで走り通さなければなりませんでした。
小さなガラスの上靴の片方の他に、贅沢なものの一つも残せず、彼女は、息を切らして帰り着きました。
 宮殿では、どんなに大騒ぎだった事でしょう!
彼女は、彼の手を逃れて突然飛び出しましたので、皇太子は、後を追おうとしました。
しかし、彼は、直に、人込みの中に、シンデレラを見失いました。
結局、何処へ彼女が去ったのか、分からなくなりました。
尋ねた警備隊の誰も、その美しい皇女に気付かなかったのです。
彼らの内の一人は、宮殿の庭を走り抜ける、小さなぼろを着た女の子の姿をちらっと見ましたが、その皇女だという証拠はありません。
皇太子は、諦めました。
その時、廷臣の一人が、長い階段で見付けた、小さなガラスの上靴を、彼の所に持って来ました。
皇太子は、その上靴を履いていた淑女を妻とする、身分が高くとも低くとも、真実の持ち主が見付けられるまでそれを履いてみるチャンスが、誰にでも一度はある、と告知するよう、国王を説得し、そして国中に使いを送りました。  
 その上靴は、初めに皇女に、次に公爵夫人達に、その次に王宮の全ての者達に運ばれました。
 しかし、悉(ことごと)く無駄でした。
最後に、それは、二人の姉の住まいに持って行かれました。
それにぴったり合わせようと、彼女達は出来る限りの事をし尽くしました。
けれども、どうする事も出来ませんでした。
彼女達を見守りながら、あの上靴だと思ったシンデレラは、「そうですね、私に合うかどうか確かめてみましょう!」と口にしました。
姉達は、笑い、彼女を嘲(あざけ)り始めました。
ところが、上靴を履かせようとしていた王宮の侍従は、何て愛らしい人なんだ、と思いました。そこで、無論です、彼女にも是非履いて頂きたい。国中の娘にそれを履いてみるよう、命令を下したのですから、と言いました。
シンデレラは、腰を下ろし、彼女の小さな足に、その上靴を滑り込ませました。それは、あたかも彼女の為に作られたかのように、彼女にぴったりだと云う事が明らかになりました。
二人の姉は、驚きました。
それだけでなく、履いていた片方の小さな上靴を、シンデレラがポケットから出すと、尚更驚きました。
その時、彼女の妖精の代母が現れました。
彼女は、魔法の杖でシンデレラの服に触れました。するとそれは、彼女がそれまでに着ていたどれよりも更に素敵になりました。
 二人の姉は、彼女を、舞踏会で出会ったあの美しい皇女と、直ぐに認めました。
彼女達は、彼女の足下に身を投げ出して、彼女に対する自らの不親切の許しを請いました。
シンデレラは、二人を立ち上がらせ、それから、キスをして 、彼女は、心からすすんで許すと
話しました。そして、彼女を何時も慕ってほしいと、一つだけ頼みました。

14:58 2013/12/21土曜日

2013年12月20日金曜日

Cinderella 42 

There was once a man whose wife died and left him to bring up their only child,a little daughter,who was sweet and gentle by nature and as pretty as a girl could be. 
 Father and daughter lived happily enough together until the man married again.
His new wife was a proud and masterful woman,with two plain  daughters who were as arrogant and disagreeable as she was herself.
These three soon took command in the house and,because they were jealous of the young girl’s charm and beauty,they always spoke unkindly to her and made her work from morning till night.
She had no pretty dresses,only the cast-off clothes of the older girls;she had to sweep and dust
and scrub;to lay the fire;to cook,and wash the dishes.
When her work was done the poor child had nowhere to go but the kitchen,where she sat in the chimney corner among the cinders and ashes;and for this reason she was called Cinderella.
 Now it happened that the prince of that country was unmarried .
The king,his father decided to give a great ball to which all persons of consequence were to be invited.
The ball would be held for three nights and the king felt sure that his son would be able to find a bride among the beautiful ladies who would attend.
 An invitation was received by Cinderella's sisters,who were highly delighted.
They spent hours discussing what they should wear,and even consulted Cinderella,for she had excellent taste.
Cinderella had to wash and iron and sew for them,and when the great day came she was summoned to help them dress.
She did up hooks and eyes,tied ribbons and laces,arranged their hair,and handed them the glittering jewels and ornaments with which they decked ―for they are determined to impress the prince with all their finery.
 After everyone had gone to the palace and she was left alone poor Cinderella sat down in the chimney-corner and wept bitterly.
She would so dearly have liked to have gone to the ball.
Suddenly there appeared beside her a little old woman,who smiled at her and asked,‘Cinderella,why are you crying?’ 
 ‘Oh’said Cinderella ‘my sisters have gone to a magnificent ball at the palace,and I wish,oh!how I wish they had taken me too!’
 ‘Dry your eyes,’said the little old lady.‘I am your fairy godmother,and if you promise to do exactly as I tell you,you shall go to the ball.’
 So Cinderella dried her eyes,and when her godmother told her fetch a pumpkin,she did so without question.
With one touch of her wand the fairy turned the pumpkin into a splendid golden coach.
Then she said to Cinderella,‘Go and fetch the  mouse-trap.
Inside the trap were six mice and a rat.
The fairy godmother quickly turned the mice into six beautiful horses and the rat into a coachman.
Six lizards,which Cinderella found for her in the garden,became six footmen in handsome livery.
‘There you are,said the godmother,‘now you can go to the ball!’
‘But what shall I wear?’asked Cinderella.
‘I can’t go in these old rags,and I have no other dress.’ 
‘That is soon put right,’answered her god mother. 
She touched Cinderella with her wand,and at once her old clothes fell away and Cinderella was beautiful to behold in a gown of shimmering silk all studded with precious stones.
Her god mother then gave her a pair of glass slippers,the prettiest little slippers ever seen.
Then Cinderella stepped into the golden coach  but,before she drove off to the ball,her godmother gave her a solemn warning.
‘You must be sure to leave before midnight.
If you stay one minute after twelve o’clock ,everything will become as it was before.
Your coach will turn back into a pumpkin,your horses and retainers into mice and lizards,and you will be dressed in your old rags again.’
 Cinderella promised.
She thanked her fairy godmother and drove off full of joy to the palace.
When she arrived she was met by the prince himself,and entered the ballroom on his arm.
Everyone stopped dancing,even the musicians ceased to play,so struck were they by the grace and beauty of this new-comer,whom they took to be some foreign princess.
The prince danced several times with her and hardly took his eyes off her the whole evening.
During supper Cinderella was at pains to be gracious to her two sisters,for,although splendidly dressed,they were still plain and awkward and few people had asked to dance with them.
Soon after half-past eleven,remembering her promise to her godmother,Cinderella made a graceful curtsy to the king and the queen and the prince,and quietly took her leave.
She was safely back home,and in her accustomed place by the kitchen fire,some time before her sisters returned.  
 ‘How late you are,’she said as she opened the door to them,yawning and rubbing her eyes,as though she had just awakened from sleep.
‘If you had been at the ball you would not have been home any earlier,’one of them answered. ‘A beautiful princess was there and no one left before she did.
 ‘She was vastly agreeable to us,’added the other.
‘The prince himself was much taken with her;he had eyes for no one else.’
  The two sisters were full of admiration for the strange princess who had so outshone every other beauty at the ball.
The next evening the two sisters went again  to the palace.
Cinderella went also,and looked even more lovely than she had done the night before.
The king‘s son was constantly at her side,and she enjoyed herself so much that she almost forgot her godmother‘s warning.
IT was so nearly midnight by the time she left the ball that she had barely time to reach home before her finery dissapeared.
 When they returned,her sisters had much to say about the strange princess whose name nobody knew.
The prince,they said,was very much in love with her,and had said he would give all he possessed to find out who she was.
  The third night Cinderella‘s dress was cloth of gold and silver;it was trimmed with diamonds,and she wore a diamond circlet in her hair.
Everyone at the palace waited for the arrival of the unknown beauty;the ball did not start until she came.
This time the prince danced with no one else,and he stayed beside Cinderella the whole evening.
In her happiness Cinderella had not care in the world.
The hours sped by and she was dancing with the prince when the clock began to strike.
Surely it was only eleven?
But the strokes boomed out-ten,eleven,twelve!
Midnight!
In horror Cinderella wrenched her hand from the prince’s grasp.
She darted through the doorway and as she ran down the great staircase,she lost one of her little slippers,but she was in too much of a hurry to stop and pick it up.
By the time she reached the bottom of the stairs her beautiful dress had turned to rags and when she reached the door,coach,horses,coachman and footmen had all vanished.
Cinderella had to run all the way home.
She arrived panting out of breath with nothing left of her magnificence except one little glass   slipper.
 What a to-do there was at the palace!
When she sprang so suddenly from his grasp the prince had tried to follow,but he soon lost sight of Cinderella in the crowd,and could not tell which way she had gone.
None of the guards whom he questioned had seen the beautiful princess;one of them had caught sight of a little ragged girl running  through the palace grounds,but of the princess there was not a sign.
The prince was in despair.
Then one of the courtiers brought to him the little glass slipper which had been found on the great stairway.
He persuaded the king to make a proclamation and send heralds through the land to announce that the prince would marry the lady to whom the slipper belonged,and that everyone,high and low,would have a chance to try it on until the right owner was found.
 The slipper was carried first to the princess,then to the duchesses,and then to every member of the court.
But all in vain.
Finally it was brought to the house of the two sisters,who did all they could to fit it on,but could not manage it.
Cinderella,who was watching them,and who recognized her slipper,said,‘Let us see if it will fit me!’
The sisters began to laugh and to jeer at her.
But the Gentleman of the Court who was trying on the slipper had seen how lovely she was,and he said that certainly she should try,for he had orders to try it on all girls in the land.
Cinderella sit down,and slid the slipper on to her little foot,and saw that it fitted her as if it had been made for her.
The two sisters were amazed,but were even more astonished when Cinderella pulled out of her pocket the other little slipper put it on.
At that moment her fairly godmother appeared.
She touched Cinderella’s clothes with her wand,and became even more magnificent than any she had worn before.

昔、妻が他界し、二人の唯一の子供、いといけな娘を育てなければならなくなった一人の男がいました。
その娘は、生まれつき可愛らしくて、大人しくて、少女としてあり得る限り、可憐でした。
  父と娘は、その男が再婚するまで、一緒に、充分幸福に暮らしました。
彼の新しい妻は、彼女によく似た、傲慢で、気難しい二人の不器量な娘を連れた、思い上がった、我儘な女でした。
この三人は、直(じき)に家の中の支配権を握りました、と云うのも、彼女達は初心(うぶ)な少女の魅力や美点を妬(ねた)んでいましたから。彼女達は、彼女に対して、絶えず不親切にものを言い、朝から夜まで彼女の仕事を用意しました。
彼女は、小奇麗な服を一枚も持たず、只、姉達の着古した服ばかり持っていました。彼女は、掃いて、はたきを掛け、ごしごし洗わなければなりません。薪(たきぎ)をくべては、煮炊きをし、それからお皿を洗いました。
仕事が終わると、可愛そうな子供は、台所の他に何処にも行く所がありません。
彼女は、熾きと灰に囲まれた炉辺(ろばた)で蹲(うずくま)っていました。
この所為で、彼女はシンデレラと呼ばれました。
  時に、その国の皇太子は、たまたま独身でした。
君主である彼の父は、あらゆる有力者が招待される盛大な舞踏会を開く事にしました。
舞踏会は三晩催され、息子は、出席する美しい淑女の中に、間違いなく花嫁を見付ける事が出来るだろう、と君主は思いました。
  招待状は、シンデレラの姉達によって受け取られました。
彼女達は、大変喜びました。
二人は、何を着ようか相談して時を費やし、シンデレラにまで意見を聞きました。
彼女は、上品な好みでしたから。
シンデレラは、彼女達の代わりに、洗濯をして、アイロンを掛け、縫い物をしなければなりませんでした。
やがて、その大切な日が遣って来ると、身支度を手伝うよう彼女達に言い付けられました。
彼女は、ホックと止金を留め、リボンやレースを結び、彼女達の髪を整え、美しく見せる、人目を引く宝石や装身具を、彼女達に手渡しました。―彼女達は、麗々しく着飾って、皇太子を感銘させようと、心密かに決めていましたから。
  みんな宮殿に出かけ、1人切りで放って置かれると、可愛そうなシンデレラは、炉辺(ろばた)に腰を下ろし、ひどく嘆き悲しみました。
彼女は、本当に心から舞踏会に行きたくなりました。
突然、彼女の傍(そば)に、小さな年老いた婦人が現れました。そして彼女に微笑み、尋ねました。
「シンデレラ、どうしてあなたは泣いているの?」
  「あぁ」シンデレラは、口を開き、「私のお姉さまは、宮殿の素敵な舞踏会に出かけた、それなのに私は、あぁ!私も連れて行ってくれたら、とどんなに願った事でしょう!」
  「泣かないで」、小さな年取った女の人は、言いました。
「私はあなたの妖精の代母です。もし、私があなたに話すままを寸分違わず行うと約束するなら、舞踏会に行かせてあげましょう」
  そこで、シンデレラは、涙を拭いました。それから妖精の代母は、南瓜(かぼちゃ)を取って来るように、彼女に告げました。彼女は、疑いもせずそうしました。
彼女の魔法の杖がちょっと触れただけで、妖精は、その南瓜を、金色(こんじき)に輝く、見事な四輪大型馬車に変えました。
それから彼女は言いました。
「行って鼠捕りを取って来て」
六匹の二十日鼠と一匹の溝鼠(どぶねずみ)が、罠の中にいました。
妖精の代母は、直ぐにその二十日鼠を六頭の見事な馬に、溝鼠を御者に変えました。
彼女の為にシンデレラが庭で見つけた六匹の蜥蜴(とかげ)は、立派な装いに身を包んだ六人の従僕になりました。
  「これでいいわ」と、代母は言いました。「さあ、あなたは舞踏会に行くといい」「でも、私は何を着ればいいの?」シンデレラは、尋ねました。「私は、こんな古くなったぼろ服を着て行けない、それに、私は、他にドレスを持っていないの」
  「それは、直ぐに揃えられます」と、彼女の代母は言いました。
彼女は、魔法の杖でシンデレラに触れました。するとたちまち、彼女の着古した服が消え、シンデレラは、高価な宝石が散りばめられたちらちら光る絹のガウンを着てみると、申し分(ぶん)がありませんでした。
そこで、代母は、彼女に一足のガラスの上靴を差し出しました。
今まで見た中で最も美しい上靴でした。
それから、シンデレラは、金色(こんじき)の大型四輪馬車に乗り込みましたが、舞踏会に駆り出す前に、彼女の代母は、彼女に厳重な警告を発しました。
  あなたは、十二時前に必ず引き払わなければなりません。
もしあなたが、真夜中を一分でも回って居残れば、何もかもそれまでと同じになります。
あなたの大型四輪馬車は南瓜に、馬や随行者は、二十日鼠と蜥蜴に戻り、あなたは、元のように、着古したぼろ服を着る事になります。
  シンデレラは、約束しました。
彼女は、妖精の代母に感謝し、大喜びで宮殿に駆り出しました。
  彼女が到着すると、皇太子自身によって出迎えられました。 そして彼の腕を取って舞踏会場に入りました。
誰もが踊るのを止め、音楽家まで演奏する手を休め、この来たばかりの人の優しさと美しさにどれだけ魅了された事か。彼らは、彼女が何処かの国の王妃だと考えました。
皇太子は、彼女と幾度も踊り、一晩中彼女から目を離す事はありませんでした。
晩餐の間、シンデレラは、労を厭わず、二人の姉に優しくしようとしました。
何故なら見事に装っていましたが、彼女達は相変わらず不器量で、恥ずかしがり屋でしたから。
殆どの人が一緒に踊って下さい、と言いませんでした。
  11時半を過ぎると間もなく、彼女の代母との約束を思い出しました。
シンデレラは、国王、女王、そして皇太子に礼儀正しくお辞儀をして、人目に付かないように分かれを告げました。
彼女は、無事家に帰り、彼女の姉達が帰って来るまで、台所の側の何時もの場所で、しばらくじっとしていました。
「随分遅かったのね。」
彼女は、ドアを開けると、まるで、今、眠りから目覚めたように、欠伸(あくび)をして、目を擦(こす)りながら言いました。
「もし、あなたが舞踏会にいたら、少しでも早く、家に帰ろうなんて、あなたはきっと、思わなかったでしょう。」彼女達の内の一人が、言い返しました。
「一人の美しい皇女(おうじょ)がそこにいらっしゃって、彼その方が会場を後になさるまで、誰一人去ろうとはしなかった。」
「その方は、とても私達に好意的だったの。」もう一人が付け加えました。
「皇太子ご自身、ひどくその方に惹かれていらっしゃって、他の何方(どなた)にも目を呉れようともなさらなかった。」
二人の姉は、舞踏会の、他の全ての美しい方々にも勝る、その見知らぬ皇女に対する感嘆の念でいっぱいでした。
翌日の夕方、二人の姉は、再び宮殿に出掛けました。
シンデレラも同じ様に、出掛けましたが、昨夜より更に一層、綺麗で愛らしく見えました。
国王の子息は、ただひたすら彼女の側にいました。
そして彼女は、余りにも心底楽しく過ごしましたので、代母の警告を、殆ど忘れてしまうところでした。
彼女が舞踏会場を後にする頃にはもう、零時ほんの少し前になっていましたから、その派手な装いが消える前に、かろうじて、彼女は、家に帰り着く事が出来ました。
戻るなり、彼女の姉達は、誰一人その名も知らぬ、異国の皇女について、大いに語りました。
彼女達が言うには、その王子は、すっかり彼女に恋してしまった挙句、彼女が誰なのか捜し出してくれたら、全財産を与えてもよい、と言ったそうです。
三日目の夜、シンデレラのドレスは、金糸、銀糸が織り込まれた布でした。 それは、ダイアモンドで飾られていました。そして、髪に、ダイアモンドのティアラを付けました。
宮殿の誰もが、筆舌に尽くし難い美しい人の登場を待ち望んでいました。
舞踏会は、彼女が到着するまで始まりませんでした。
この度(たび)ばかりは、皇太子は、他の誰とも踊らず、一晩中、シンデレラの傍にいました。
幸せ過ぎて、シンデレラは、全く注意を払う事もなくなりました。
時間が走り去り、柱時計が打ち始めた頃には、彼女は、皇太子と踊っていました。
まさか、未だ11時では?
しかし、その打音は、低く響きました、十一、十二!
十二時!
ぞっとして、シンデレラは、皇太子の手からその手を捻り取りました。
彼女は、戸口を抜けて飛び出しました。そして、長い階段を走り下りる時、小さなガラスの上靴の片方を失くしましたが、余りにも急いでいましたから、立ち止まって、それを拾い上げる間がありませんでした。
彼女が一番下の段に達するまでに、彼女の綺麗な服は、ぼろ服に変わり、ドァに着く頃には、大型四輪馬車も御者も従僕も、悉(ことごと)く消えていました。
シンデレラは、家に着くまで走り通さなければなりませんでした。
小さなガラスの上靴の片方の他に、贅沢なものの一つも残せず、彼女は、息を切らして帰り着きました。
 宮殿では、どんなに大騒ぎだった事でしょう!
彼女は、彼の手を逃れて突然飛び出しましたので、皇太子は、後を追おうとしました。
しかし、彼は、直に、人込みの中に、シンデレラを見失いました。
結局、何処へ彼女が去ったのか、分からなくなりました。
尋ねた警備隊の誰も、その美しい皇女に気付かなかったのです。
彼らの内の一人は、宮殿の庭を走り抜ける、小さなぼろを着た女の子の姿をちらっと見ましたが、その皇女だという証拠はありません。
皇太子は、諦めました。
その時、廷臣の一人が、長い階段で見付けた、小さなガラスの上靴を、彼の所に持って来ました。
皇太子は、その上靴を履いていた淑女を妻とする、身分が高くとも低くとも、真実の持ち主が見付けられるまでそれを履いてみるチャンスが、誰にでも一度はある、と告知するよう、国王を説得し、そして国中に使いを送りました。  
 その上靴は、初めに皇女に、次に公爵夫人達に、その次に王宮の全ての者達に運ばれました。
 しかし、悉(ことごと)く無駄でした。
最後に、それは、二人の姉の住まいに持って行かれました。
それにぴったり合わせようと、彼女達は出来る限りの事をし尽くしました。
けれども、どうする事も出来ませんでした。
彼女達を見守りながら、あの上靴だと思ったシンデレラは、「そうですね、私に合うかどうか確かめてみましょう!」と口にしました。
姉達は、笑い、彼女を嘲(あざけ)り始めました。
ところが、上靴を履かせようとしていた王宮の侍従は、何て愛らしい人なんだ、と思いました。そこで、無論です、彼女にも是非履いて頂きたい。国中の娘にそれを履いてみるよう、命令を下したのですから、と言いました。
シンデレラは、腰を下ろし、彼女の小さな足に、その上靴を滑り込ませました。それは、あたかも彼女の為に作られたかのように、彼女にぴったりだと云う事が明らかになりました。
二人の姉は、驚きました。
それだけでなく、履いていた片方の小さな上靴を、シンデレラがポケットから出すと、尚更驚きました。
その時、彼女の妖精の代母が現れました。
彼女は、魔法の杖でシンデレラの服に触れました。するとそれは、彼女がそれまでに着ていたどれよりも更に素敵になりました。

16:33 2013/12/20金曜日

2013年12月19日木曜日

Cinderella 41 

There was once a man whose wife died and left him to bring up their only child,a little daughter,who was sweet and gentle by nature and as pretty as a girl could be. 
 Father and daughter lived happily enough together until the man married again.
His new wife was a proud and masterful woman,with two plain  daughters who were as arrogant and disagreeable as she was herself.
These three soon took command in the house and,because they were jealous of the young girl’s charm and beauty,they always spoke unkindly to her and made her work from morning till night.
She had no pretty dresses,only the cast-off clothes of the older girls;she had to sweep and dust
and scrub;to lay the fire;to cook,and wash the dishes.
When her work was done the poor child had nowhere to go but the kitchen,where she sat in the chimney corner among the cinders and ashes;and for this reason she was called Cinderella.
 Now it happened that the prince of that country was unmarried .
The king,his father decided to give a great ball to which all persons of consequence were to be invited.
The ball would be held for three nights and the king felt sure that his son would be able to find a bride among the beautiful ladies who would attend.
 An invitation was received by Cinderella's sisters,who were highly delighted.
They spent hours discussing what they should wear,and even consulted Cinderella,for she had excellent taste.
Cinderella had to wash and iron and sew for them,and when the great day came she was summoned to help them dress.
She did up hooks and eyes,tied ribbons and laces,arranged their hair,and handed them the glittering jewels and ornaments with which they decked ―for they are determined to impress the prince with all their finery.
 After everyone had gone to the palace and she was left alone poor Cinderella sat down in the chimney-corner and wept bitterly.
She would so dearly have liked to have gone to the ball.
Suddenly there appeared beside her a little old woman,who smiled at her and asked,‘Cinderella,why are you crying?’ 
 ‘Oh’said Cinderella ‘my sisters have gone to a magnificent ball at the palace,and I wish,oh!how I wish they had taken me too!’
 ‘Dry your eyes,’said the little old lady.‘I am your fairy godmother,and if you promise to do exactly as I tell you,you shall go to the ball.’
 So Cinderella dried her eyes,and when her godmother told her fetch a pumpkin,she did so without question.
With one touch of her wand the fairy turned the pumpkin into a splendid golden coach.
Then she said to Cinderella,‘Go and fetch the  mouse-trap.
Inside the trap were six mice and a rat.
The fairy godmother quickly turned the mice into six beautiful horses and the rat into a coachman.
Six lizards,which Cinderella found for her in the garden,became six footmen in handsome livery.
‘There you are,said the godmother,‘now you can go to the ball!’
‘But what shall I wear?’asked Cinderella.
‘I can’t go in these old rags,and I have no other dress.’ 
‘That is soon put right,’answered her god mother. 
She touched Cinderella with her wand,and at once her old clothes fell away and Cinderella was beautiful to behold in a gown of shimmering silk all studded with precious stones.
Her god mother then gave her a pair of glass slippers,the prettiest little slippers ever seen.
Then Cinderella stepped into the golden coach  but,before she drove off to the ball,her godmother gave her a solemn warning.
‘You must be sure to leave before midnight.
If you stay one minute after twelve o’clock ,everything will become as it was before.
Your coach will turn back into a pumpkin,your horses and retainers into mice and lizards,and you will be dressed in your old rags again.’
 Cinderella promised.
She thanked her fairy godmother and drove off full of joy to the palace.
When she arrived she was met by the prince himself,and entered the ballroom on his arm.
Everyone stopped dancing,even the musicians ceased to play,so struck were they by the grace and beauty of this new-comer,whom they took to be some foreign princess.
The prince danced several times with her and hardly took his eyes off her the whole evening.
During supper Cinderella was at pains to be gracious to her two sisters,for,although splendidly dressed,they were still plain and awkward and few people had asked to dance with them.
Soon after half-past eleven,remembering her promise to her godmother,Cinderella made a graceful curtsy to the king and the queen and the prince,and quietly took her leave.
She was safely back home,and in her accustomed place by the kitchen fire,some time before her sisters returned.  
 ‘How late you are,’she said as she opened the door to them,yawning and rubbing her eyes,as though she had just awakened from sleep.
‘If you had been at the ball you would not have been home any earlier,’one of them answered. ‘A beautiful princess was there and no one left before she did.
 ‘She was vastly agreeable to us,’added the other.
‘The prince himself was much taken with her;he had eyes for no one else.’
  The two sisters were full of admiration for the strange princess who had so outshone every other beauty at the ball.
The next evening the two sisters went again  to the palace.
Cinderella went also,and looked even more lovely than she had done the night before.
The king‘s son was constantly at her side,and she enjoyed herself so much that she almost forgot her godmother‘s warning.
IT was so nearly midnight by the time she left the ball that she had barely time to reach home before her finery dissapeared.
 When they returned,her sisters had much to say about the strange princess whose name nobody knew.
The prince,they said,was very much in love with her,and had said he would give all he possessed to find out who she was.
  The third night Cinderella‘s dress was cloth of gold and silver;it was trimmed with diamonds,and she wore a diamond circlet in her hair.
Everyone at the palace waited for the arrival of the unknown beauty;the ball did not start until she came.
This time the prince danced with no one else,and he stayed beside Cinderella the whole evening.
In her happiness Cinderella had not care in the world.
The hours sped by and she was dancing with the prince when the clock began to strike.
Surely it was only eleven?
But the strokes boomed out-ten,eleven,twelve!
Midnight!
In horror Cinderella wrenched her hand from the prince’s grasp.
She darted through the doorway and as she ran down the great staircase,she lost one of her little slippers,but she was in too much of a hurry to stop and pick it up.
By the time she reached the bottom of the stairs her beautiful dress had turned to rags and when she reached the door,coach,horses,coachman and footmen had all vanished.
Cinderella had to run all the way home.
She arrived panting out of breath with nothing left of her magnificence except one little glass   slipper.
 What a to-do there was at the palace!
When she sprang so suddenly from his grasp the prince had tried to follow,but he soon lost sight of Cinderella in the crowd,and could not tell which way she had gone.
None of the guards whom he questioned had seen the beautiful princess;one of them had caught sight of a little ragged girl running  through the palace grounds,but of the princess there was not a sign.
The prince was in despair.
Then one of the courtiers brought to him the little glass slipper which had been found on the great stairway.
He persuaded the king to make a proclamation and send heralds through the land to announce that the prince would marry the lady to whom the slipper belonged,and that everyone,high and low,would have a chance to try it on until the right owner was found.
 The slipper was carried first to the princess,then to the duchesses,and then to every member of the court.
But all in vain.
Finally it was brought to the house of the two sisters,who did all they could to fit it on,but could not manage it.
Cinderella,who was watching them,and who recognized her slipper,said,‘Let us see if it will fit me!’
The sisters began to laugh and to jeer at her.
But the Gentleman of the Court who was trying on the slipper had seen how lovely she was,and he said that certainly she should try,for he had orders to try it on all girls in the land.
Cinderella sit down,and slid the slipper on to her little foot,and saw that it fitted her as if it had been made for her.
The two sisters were amazed,but were even more astonished when Cinderella pulled out of her pocket the other little slipper put it on.


昔、妻が他界し、二人の唯一の子供、いといけな娘を育てなければならなくなった一人の男がいました。
その娘は、生まれつき可愛らしくて、大人しくて、少女としてあり得る限り、可憐でした。
  父と娘は、その男が再婚するまで、一緒に、充分幸福に暮らしました。
彼の新しい妻は、彼女によく似た、傲慢で、気難しい二人の不器量な娘を連れた、思い上がった、我儘な女でした。
この三人は、直(じき)に家の中の支配権を握りました、と云うのも、彼女達は初心(うぶ)な少女の魅力や美点を妬(ねた)んでいましたから。彼女達は、彼女に対して、絶えず不親切にものを言い、朝から夜まで彼女の仕事を用意しました。
彼女は、小奇麗な服を一枚も持たず、只、姉達の着古した服ばかり持っていました。彼女は、掃いて、はたきを掛け、ごしごし洗わなければなりません。薪(たきぎ)をくべては、煮炊きをし、それからお皿を洗いました。
仕事が終わると、可愛そうな子供は、台所の他に何処にも行く所がありません。
彼女は、熾きと灰に囲まれた炉辺(ろばた)で蹲(うずくま)っていました。
この所為で、彼女はシンデレラと呼ばれました。
  時に、その国の皇太子は、たまたま独身でした。
君主である彼の父は、あらゆる有力者が招待される盛大な舞踏会を開く事にしました。
舞踏会は三晩催され、息子は、出席する美しい淑女の中に、間違いなく花嫁を見付ける事が出来るだろう、と君主は思いました。
  招待状は、シンデレラの姉達によって受け取られました。
彼女達は、大変喜びました。
二人は、何を着ようか相談して時を費やし、シンデレラにまで意見を聞きました。
彼女は、上品な好みでしたから。
シンデレラは、彼女達の代わりに、洗濯をして、アイロンを掛け、縫い物をしなければなりませんでした。
やがて、その大切な日が遣って来ると、身支度を手伝うよう彼女達に言い付けられました。
彼女は、ホックと止金を留め、リボンやレースを結び、彼女達の髪を整え、美しく見せる、人目を引く宝石や装身具を、彼女達に手渡しました。―彼女達は、麗々しく着飾って、皇太子を感銘させようと、心密かに決めていましたから。
  みんな宮殿に出かけ、1人切りで放って置かれると、可愛そうなシンデレラは、炉辺(ろばた)に腰を下ろし、ひどく嘆き悲しみました。
彼女は、本当に心から舞踏会に行きたくなりました。
突然、彼女の傍(そば)に、小さな年老いた婦人が現れました。そして彼女に微笑み、尋ねました。
「シンデレラ、どうしてあなたは泣いているの?」
  「あぁ」シンデレラは、口を開き、「私のお姉さまは、宮殿の素敵な舞踏会に出かけた、それなのに私は、あぁ!私も連れて行ってくれたら、とどんなに願った事でしょう!」
  「泣かないで」、小さな年取った女の人は、言いました。
「私はあなたの妖精の代母です。もし、私があなたに話すままを寸分違わず行うと約束するなら、舞踏会に行かせてあげましょう」
  そこで、シンデレラは、涙を拭いました。それから妖精の代母は、南瓜(かぼちゃ)を取って来るように、彼女に告げました。彼女は、疑いもせずそうしました。
彼女の魔法の杖がちょっと触れただけで、妖精は、その南瓜を、金色(こんじき)に輝く、見事な四輪大型馬車に変えました。
それから彼女は言いました。
「行って鼠捕りを取って来て」
六匹の二十日鼠と一匹の溝鼠(どぶねずみ)が、罠の中にいました。
妖精の代母は、直ぐにその二十日鼠を六頭の見事な馬に、溝鼠を御者に変えました。
彼女の為にシンデレラが庭で見つけた六匹の蜥蜴(とかげ)は、立派な装いに身を包んだ六人の従僕になりました。
  「これでいいわ」と、代母は言いました。「さあ、あなたは舞踏会に行くといい」「でも、私は何を着ればいいの?」シンデレラは、尋ねました。「私は、こんな古くなったぼろ服を着て行けない、それに、私は、他にドレスを持っていないの」
  「それは、直ぐに揃えられます」と、彼女の代母は言いました。
彼女は、魔法の杖でシンデレラに触れました。するとたちまち、彼女の着古した服が消え、シンデレラは、高価な宝石が散りばめられたちらちら光る絹のガウンを着てみると、申し分(ぶん)がありませんでした。
そこで、代母は、彼女に一足のガラスの上靴を差し出しました。
今まで見た中で最も美しい上靴でした。
それから、シンデレラは、金色(こんじき)の大型四輪馬車に乗り込みましたが、舞踏会に駆り出す前に、彼女の代母は、彼女に厳重な警告を発しました。
  あなたは、十二時前に必ず引き払わなければなりません。
もしあなたが、真夜中を一分でも回って居残れば、何もかもそれまでと同じになります。
あなたの大型四輪馬車は南瓜に、馬や随行者は、二十日鼠と蜥蜴に戻り、あなたは、元のように、着古したぼろ服を着る事になります。
  シンデレラは、約束しました。
彼女は、妖精の代母に感謝し、大喜びで宮殿に駆り出しました。
  彼女が到着すると、皇太子自身によって出迎えられました。 そして彼の腕を取って舞踏会場に入りました。
誰もが踊るのを止め、音楽家まで演奏する手を休め、この来たばかりの人の優しさと美しさにどれだけ魅了された事か。彼らは、彼女が何処かの国の王妃だと考えました。
皇太子は、彼女と幾度も踊り、一晩中彼女から目を離す事はありませんでした。
晩餐の間、シンデレラは、労を厭わず、二人の姉に優しくしようとしました。
何故なら見事に装っていましたが、彼女達は相変わらず不器量で、恥ずかしがり屋でしたから。
殆どの人が一緒に踊って下さい、と言いませんでした。
  11時半を過ぎると間もなく、彼女の代母との約束を思い出しました。
シンデレラは、国王、女王、そして皇太子に礼儀正しくお辞儀をして、人目に付かないように分かれを告げました。
彼女は、無事家に帰り、彼女の姉達が帰って来るまで、台所の側の何時もの場所で、しばらくじっとしていました。
「随分遅かったのね。」
彼女は、ドアを開けると、まるで、今、眠りから目覚めたように、欠伸(あくび)をして、目を擦(こす)りながら言いました。
「もし、あなたが舞踏会にいたら、少しでも早く、家に帰ろうなんて、あなたはきっと、思わなかったでしょう。」彼女達の内の一人が、言い返しました。
「一人の美しい皇女(おうじょ)がそこにいらっしゃって、彼その方が会場を後になさるまで、誰一人去ろうとはしなかった。」
「その方は、とても私達に好意的だったの。」もう一人が付け加えました。
「皇太子ご自身、ひどくその方に惹かれていらっしゃって、他の何方(どなた)にも目を呉れようともなさらなかった。」
二人の姉は、舞踏会の、他の全ての美しい方々にも勝る、その見知らぬ皇女に対する感嘆の念でいっぱいでした。
翌日の夕方、二人の姉は、再び宮殿に出掛けました。
シンデレラも同じ様に、出掛けましたが、昨夜より更に一層、綺麗で愛らしく見えました。
国王の子息は、ただひたすら彼女の側にいました。
そして彼女は、余りにも心底楽しく過ごしましたので、代母の警告を、殆ど忘れてしまうところでした。
彼女が舞踏会場を後にする頃にはもう、零時ほんの少し前になっていましたから、その派手な装いが消える前に、かろうじて、彼女は、家に帰り着く事が出来ました。
戻るなり、彼女の姉達は、誰一人その名も知らぬ、異国の皇女について、大いに語りました。
彼女達が言うには、その王子は、すっかり彼女に恋してしまった挙句、彼女が誰なのか捜し出してくれたら、全財産を与えてもよい、と言ったそうです。
三日目の夜、シンデレラのドレスは、金糸、銀糸が織り込まれた布でした。 それは、ダイアモンドで飾られていました。そして、髪に、ダイアモンドのティアラを付けました。
宮殿の誰もが、筆舌に尽くし難い美しい人の登場を待ち望んでいました。
舞踏会は、彼女が到着するまで始まりませんでした。
この度(たび)ばかりは、皇太子は、他の誰とも踊らず、一晩中、シンデレラの傍にいました。
幸せ過ぎて、シンデレラは、全く注意を払う事もなくなりました。
時間が走り去り、柱時計が打ち始めた頃には、彼女は、皇太子と踊っていました。
まさか、未だ11時では?
しかし、その打音は、低く響きました、十一、十二!
十二時!
ぞっとして、シンデレラは、皇太子の手からその手を捻り取りました。
彼女は、戸口を抜けて飛び出しました。そして、長い階段を走り下りる時、小さなガラスの上靴の片方を失くしましたが、余りにも急いでいましたから、立ち止まって、それを拾い上げる間がありませんでした。
彼女が一番下の段に達するまでに、彼女の綺麗な服は、ぼろ服に変わり、ドァに着く頃には、大型四輪馬車も御者も従僕も、悉(ことごと)く消えていました。
シンデレラは、家に着くまで走り通さなければなりませんでした。
小さなガラスの上靴の片方の他に、贅沢なものの一つも残せず、彼女は、息を切らして帰り着きました。
 宮殿では、どんなに大騒ぎだった事でしょう!
彼女は、彼の手を逃れて突然飛び出しましたので、皇太子は、後を追おうとしました。
しかし、彼は、直に、人込みの中に、シンデレラを見失いました。
結局、何処へ彼女が去ったのか、分からなくなりました。
尋ねた警備隊の誰も、その美しい皇女に気付かなかったのです。
彼らの内の一人は、宮殿の庭を走り抜ける、小さなぼろを着た女の子の姿をちらっと見ましたが、その皇女だという証拠はありません。
皇太子は、諦めました。
その時、廷臣の一人が、長い階段で見付けた、小さなガラスの上靴を、彼の所に持って来ました。
皇太子は、その上靴を履いていた淑女を妻とする、身分が高くとも低くとも、真実の持ち主が見付けられるまでそれを履いてみるチャンスが、誰にでも一度はある、と告知するよう、国王を説得し、そして国中に使いを送りました。  
 その上靴は、初めに皇女に、次に公爵夫人達に、その次に王宮の全ての者達に運ばれました。
 しかし、悉(ことごと)く無駄でした。
最後に、それは、二人の姉の住まいに持って行かれました。
それにぴったり合わせようと、彼女達は出来る限りの事をし尽くしました。
けれども、どうする事も出来ませんでした。
彼女達を見守りながら、あの上靴だと思ったシンデレラは、「そうですね、私に合うかどうか確かめてみましょう!」と口にしました。
姉達は、笑い、彼女を嘲(あざけ)り始めました。
ところが、上靴を履かせようとしていた王宮の侍従は、何て愛らしい人なんだ、と思いました。そこで、無論です、彼女にも是非履いて頂きたい。国中の娘にそれを履いてみるよう、命令を下したのですから、と言いました。
シンデレラは、腰を下ろし、彼女の小さな足に、その上靴を滑り込ませました。それは、あたかも彼女の為に作られたかのように、彼女にぴったりだと云う事が明らかになりました。
二人の姉は、驚きました。
それだけでなく、履いていた片方の小さな上靴を、シンデレラがポケットから出すと、尚更驚きました。

14:55 2013/12/19木曜日

2013年12月18日水曜日

Cinderella 40 

There was once a man whose wife died and left him to bring up their only child,a little daughter,who was sweet and gentle by nature and as pretty as a girl could be. 
 Father and daughter lived happily enough together until the man married again.
His new wife was a proud and masterful woman,with two plain  daughters who were as arrogant and disagreeable as she was herself.
These three soon took command in the house and,because they were jealous of the young girl’s charm and beauty,they always spoke unkindly to her and made her work from morning till night.
She had no pretty dresses,only the cast-off clothes of the older girls;she had to sweep and dust
and scrub;to lay the fire;to cook,and wash the dishes.
When her work was done the poor child had nowhere to go but the kitchen,where she sat in the chimney corner among the cinders and ashes;and for this reason she was called Cinderella.
 Now it happened that the prince of that country was unmarried .
The king,his father decided to give a great ball to which all persons of consequence were to be invited.
The ball would be held for three nights and the king felt sure that his son would be able to find a bride among the beautiful ladies who would attend.
 An invitation was received by Cinderella's sisters,who were highly delighted.
They spent hours discussing what they should wear,and even consulted Cinderella,for she had excellent taste.
Cinderella had to wash and iron and sew for them,and when the great day came she was summoned to help them dress.
She did up hooks and eyes,tied ribbons and laces,arranged their hair,and handed them the glittering jewels and ornaments with which they decked ―for they are determined to impress the prince with all their finery.
 After everyone had gone to the palace and she was left alone poor Cinderella sat down in the chimney-corner and wept bitterly.
She would so dearly have liked to have gone to the ball.
Suddenly there appeared beside her a little old woman,who smiled at her and asked,‘Cinderella,why are you crying?’ 
 ‘Oh’said Cinderella ‘my sisters have gone to a magnificent ball at the palace,and I wish,oh!how I wish they had taken me too!’
 ‘Dry your eyes,’said the little old lady.‘I am your fairy godmother,and if you promise to do exactly as I tell you,you shall go to the ball.’
 So Cinderella dried her eyes,and when her godmother told her fetch a pumpkin,she did so without question.
With one touch of her wand the fairy turned the pumpkin into a splendid golden coach.
Then she said to Cinderella,‘Go and fetch the  mouse-trap.
Inside the trap were six mice and a rat.
The fairy godmother quickly turned the mice into six beautiful horses and the rat into a coachman.
Six lizards,which Cinderella found for her in the garden,became six footmen in handsome livery.
‘There you are,said the godmother,‘now you can go to the ball!’
‘But what shall I wear?’asked Cinderella.
‘I can’t go in these old rags,and I have no other dress.’ 
‘That is soon put right,’answered her god mother. 
She touched Cinderella with her wand,and at once her old clothes fell away and Cinderella was beautiful to behold in a gown of shimmering silk all studded with precious stones.
Her god mother then gave her a pair of glass slippers,the prettiest little slippers ever seen.
Then Cinderella stepped into the golden coach  but,before she drove off to the ball,her godmother gave her a solemn warning.
‘You must be sure to leave before midnight.
If you stay one minute after twelve o’clock ,everything will become as it was before.
Your coach will turn back into a pumpkin,your horses and retainers into mice and lizards,and you will be dressed in your old rags again.’
 Cinderella promised.
She thanked her fairy godmother and drove off full of joy to the palace.
When she arrived she was met by the prince himself,and entered the ballroom on his arm.
Everyone stopped dancing,even the musicians ceased to play,so struck were they by the grace and beauty of this new-comer,whom they took to be some foreign princess.
The prince danced several times with her and hardly took his eyes off her the whole evening.
During supper Cinderella was at pains to be gracious to her two sisters,for,although splendidly dressed,they were still plain and awkward and few people had asked to dance with them.
Soon after half-past eleven,remembering her promise to her godmother,Cinderella made a graceful curtsy to the king and the queen and the prince,and quietly took her leave.
She was safely back home,and in her accustomed place by the kitchen fire,some time before her sisters returned.  
 ‘How late you are,’she said as she opened the door to them,yawning and rubbing her eyes,as though she had just awakened from sleep.
‘If you had been at the ball you would not have been home any earlier,’one of them answered. ‘A beautiful princess was there and no one left before she did.
 ‘She was vastly agreeable to us,’added the other.
‘The prince himself was much taken with her;he had eyes for no one else.’
  The two sisters were full of admiration for the strange princess who had so outshone every other beauty at the ball.
The next evening the two sisters went again  to the palace.
Cinderella went also,and looked even more lovely than she had done the night before.
The king‘s son was constantly at her side,and she enjoyed herself so much that she almost forgot her godmother‘s warning.
IT was so nearly midnight by the time she left the ball that she had barely time to reach home before her finery dissapeared.
 When they returned,her sisters had much to say about the strange princess whose name nobody knew.
The prince,they said,was very much in love with her,and had said he would give all he possessed to find out who she was.
  The third night Cinderella‘s dress was cloth of gold and silver;it was trimmed with diamonds,and she wore a diamond circlet in her hair.
Everyone at the palace waited for the arrival of the unknown beauty;the ball did not start until she came.
This time the prince danced with no one else,and he stayed beside Cinderella the whole evening.
In her happiness Cinderella had not care in the world.
The hours sped by and she was dancing with the prince when the clock began to strike.
Surely it was only eleven?
But the strokes boomed out-ten,eleven,twelve!
Midnight!
In horror Cinderella wrenched her hand from the prince’s grasp.
She darted through the doorway and as she ran down the great staircase,she lost one of her little slippers,but she was in too much of a hurry to stop and pick it up.
By the time she reached the bottom of the stairs her beautiful dress had turned to rags and when she reached the door,coach,horses,coachman and footmen had all vanished.
Cinderella had to run all the way home.
She arrived panting out of breath with nothing left of her magnificence except one little glass   slipper.
 What a to-do there was at the palace!
When she sprang so suddenly from his grasp the prince had tried to follow,but he soon lost sight of Cinderella in the crowd,and could not tell which way she had gone.
None of the guards whom he questioned had seen the beautiful princess;one of them had caught sight of a little ragged girl running  through the palace grounds,but of the princess there was not a sign.
The prince was in despair.
Then one of the courtiers brought to him the little glass slipper which had been found on the great stairway.
He persuaded the king to make a proclamation and send heralds through the land to announce that the prince would marry the lady to whom the slipper belonged,and that everyone,high and low,would have a chance to try it on until the right owner was found.
 The slipper was carried first to the princess,then to the duchesses,and then to every member of the court.
But all in vain.
Finally it was brought to the house of the two sisters,who did all they could to fit it on,but could not manage it.
Cinderella,who was watching them,and who recognized her slipper,said,‘Let us see if it will fit me!’
The sisters began to laugh and to jeer at her.
But the Gentleman of the Court who was trying on the slipper had seen how lovely she was,and he said that certainly she should try,for he had orders to try it on all girls in the land.
Cinderella sit down,and slid the slipper on to her little foot,and saw that it fitted her as if it had been made for her.
 
昔、妻が他界し、二人の唯一の子供、いといけな娘を育てなければならなくなった一人の男がいました。
その娘は、生まれつき可愛らしくて、大人しくて、少女としてあり得る限り、可憐でした。
  父と娘は、その男が再婚するまで、一緒に、充分幸福に暮らしました。
彼の新しい妻は、彼女によく似た、傲慢で、気難しい二人の不器量な娘を連れた、思い上がった、我儘な女でした。
この三人は、直(じき)に家の中の支配権を握りました、と云うのも、彼女達は初心(うぶ)な少女の魅力や美点を妬(ねた)んでいましたから。彼女達は、彼女に対して、絶えず不親切にものを言い、朝から夜まで彼女の仕事を用意しました。
彼女は、小奇麗な服を一枚も持たず、只、姉達の着古した服ばかり持っていました。彼女は、掃いて、はたきを掛け、ごしごし洗わなければなりません。薪(たきぎ)をくべては、煮炊きをし、それからお皿を洗いました。
仕事が終わると、可愛そうな子供は、台所の他に何処にも行く所がありません。
彼女は、熾きと灰に囲まれた炉辺(ろばた)で蹲(うずくま)っていました。
この所為で、彼女はシンデレラと呼ばれました。
  時に、その国の皇太子は、たまたま独身でした。
君主である彼の父は、あらゆる有力者が招待される盛大な舞踏会を開く事にしました。
舞踏会は三晩催され、息子は、出席する美しい淑女の中に、間違いなく花嫁を見付ける事が出来るだろう、と君主は思いました。
  招待状は、シンデレラの姉達によって受け取られました。
彼女達は、大変喜びました。
二人は、何を着ようか相談して時を費やし、シンデレラにまで意見を聞きました。
彼女は、上品な好みでしたから。
シンデレラは、彼女達の代わりに、洗濯をして、アイロンを掛け、縫い物をしなければなりませんでした。
やがて、その大切な日が遣って来ると、身支度を手伝うよう彼女達に言い付けられました。
彼女は、ホックと止金を留め、リボンやレースを結び、彼女達の髪を整え、美しく見せる、人目を引く宝石や装身具を、彼女達に手渡しました。―彼女達は、麗々しく着飾って、皇太子を感銘させようと、心密かに決めていましたから。
  みんな宮殿に出かけ、1人切りで放って置かれると、可愛そうなシンデレラは、炉辺(ろばた)に腰を下ろし、ひどく嘆き悲しみました。
彼女は、本当に心から舞踏会に行きたくなりました。
突然、彼女の傍(そば)に、小さな年老いた婦人が現れました。そして彼女に微笑み、尋ねました。
「シンデレラ、どうしてあなたは泣いているの?」
  「あぁ」シンデレラは、口を開き、「私のお姉さまは、宮殿の素敵な舞踏会に出かけた、それなのに私は、あぁ!私も連れて行ってくれたら、とどんなに願った事でしょう!」
  「泣かないで」、小さな年取った女の人は、言いました。
「私はあなたの妖精の代母です。もし、私があなたに話すままを寸分違わず行うと約束するなら、舞踏会に行かせてあげましょう」
  そこで、シンデレラは、涙を拭いました。それから妖精の代母は、南瓜(かぼちゃ)を取って来るように、彼女に告げました。彼女は、疑いもせずそうしました。
彼女の魔法の杖がちょっと触れただけで、妖精は、その南瓜を、金色(こんじき)に輝く、見事な四輪大型馬車に変えました。
それから彼女は言いました。
「行って鼠捕りを取って来て」
六匹の二十日鼠と一匹の溝鼠(どぶねずみ)が、罠の中にいました。
妖精の代母は、直ぐにその二十日鼠を六頭の見事な馬に、溝鼠を御者に変えました。
彼女の為にシンデレラが庭で見つけた六匹の蜥蜴(とかげ)は、立派な装いに身を包んだ六人の従僕になりました。
  「これでいいわ」と、代母は言いました。「さあ、あなたは舞踏会に行くといい」「でも、私は何を着ればいいの?」シンデレラは、尋ねました。「私は、こんな古くなったぼろ服を着て行けない、それに、私は、他にドレスを持っていないの」
  「それは、直ぐに揃えられます」と、彼女の代母は言いました。
彼女は、魔法の杖でシンデレラに触れました。するとたちまち、彼女の着古した服が消え、シンデレラは、高価な宝石が散りばめられたちらちら光る絹のガウンを着てみると、申し分(ぶん)がありませんでした。
そこで、代母は、彼女に一足のガラスの上靴を差し出しました。
今まで見た中で最も美しい上靴でした。
それから、シンデレラは、金色(こんじき)の大型四輪馬車に乗り込みましたが、舞踏会に駆り出す前に、彼女の代母は、彼女に厳重な警告を発しました。
  あなたは、十二時前に必ず引き払わなければなりません。
もしあなたが、真夜中を一分でも回って居残れば、何もかもそれまでと同じになります。
あなたの大型四輪馬車は南瓜に、馬や随行者は、二十日鼠と蜥蜴に戻り、あなたは、元のように、着古したぼろ服を着る事になります。
  シンデレラは、約束しました。
彼女は、妖精の代母に感謝し、大喜びで宮殿に駆り出しました。
  彼女が到着すると、皇太子自身によって出迎えられました。 そして彼の腕を取って舞踏会場に入りました。
誰もが踊るのを止め、音楽家まで演奏する手を休め、この来たばかりの人の優しさと美しさにどれだけ魅了された事か。彼らは、彼女が何処かの国の王妃だと考えました。
皇太子は、彼女と幾度も踊り、一晩中彼女から目を離す事はありませんでした。
晩餐の間、シンデレラは、労を厭わず、二人の姉に優しくしようとしました。
何故なら見事に装っていましたが、彼女達は相変わらず不器量で、恥ずかしがり屋でしたから。
殆どの人が一緒に踊って下さい、と言いませんでした。
  11時半を過ぎると間もなく、彼女の代母との約束を思い出しました。
シンデレラは、国王、女王、そして皇太子に礼儀正しくお辞儀をして、人目に付かないように分かれを告げました。
彼女は、無事家に帰り、彼女の姉達が帰って来るまで、台所の側の何時もの場所で、しばらくじっとしていました。
「随分遅かったのね。」
彼女は、ドアを開けると、まるで、今、眠りから目覚めたように、欠伸(あくび)をして、目を擦(こす)りながら言いました。
「もし、あなたが舞踏会にいたら、少しでも早く、家に帰ろうなんて、あなたはきっと、思わなかったでしょう。」彼女達の内の一人が、言い返しました。
「一人の美しい皇女(おうじょ)がそこにいらっしゃって、彼その方が会場を後になさるまで、誰一人去ろうとはしなかった。」
「その方は、とても私達に好意的だったの。」もう一人が付け加えました。
「皇太子ご自身、ひどくその方に惹かれていらっしゃって、他の何方(どなた)にも目を呉れようともなさらなかった。」
二人の姉は、舞踏会の、他の全ての美しい方々にも勝る、その見知らぬ皇女に対する感嘆の念でいっぱいでした。
翌日の夕方、二人の姉は、再び宮殿に出掛けました。
シンデレラも同じ様に、出掛けましたが、昨夜より更に一層、綺麗で愛らしく見えました。
国王の子息は、ただひたすら彼女の側にいました。
そして彼女は、余りにも心底楽しく過ごしましたので、代母の警告を、殆ど忘れてしまうところでした。
彼女が舞踏会場を後にする頃にはもう、零時ほんの少し前になっていましたから、その派手な装いが消える前に、かろうじて、彼女は、家に帰り着く事が出来ました。
戻るなり、彼女の姉達は、誰一人その名も知らぬ、異国の皇女について、大いに語りました。
彼女達が言うには、その王子は、すっかり彼女に恋してしまった挙句、彼女が誰なのか捜し出してくれたら、全財産を与えてもよい、と言ったそうです。
三日目の夜、シンデレラのドレスは、金糸、銀糸が織り込まれた布でした。 それは、ダイアモンドで飾られていました。そして、髪に、ダイアモンドのティアラを付けました。
宮殿の誰もが、筆舌に尽くし難い美しい人の登場を待ち望んでいました。
舞踏会は、彼女が到着するまで始まりませんでした。
この度(たび)ばかりは、皇太子は、他の誰とも踊らず、一晩中、シンデレラの傍にいました。
幸せ過ぎて、シンデレラは、全く注意を払う事もなくなりました。
時間が走り去り、柱時計が打ち始めた頃には、彼女は、皇太子と踊っていました。
まさか、未だ11時では?
しかし、その打音は、低く響きました、十一、十二!
十二時!
ぞっとして、シンデレラは、皇太子の手からその手を捻り取りました。
彼女は、戸口を抜けて飛び出しました。そして、長い階段を走り下りる時、小さなガラスの上靴の片方を失くしましたが、余りにも急いでいましたから、立ち止まって、それを拾い上げる間がありませんでした。
彼女が一番下の段に達するまでに、彼女の綺麗な服は、ぼろ服に変わり、ドァに着く頃には、大型四輪馬車も御者も従僕も、悉(ことごと)く消えていました。
シンデレラは、家に着くまで走り通さなければなりませんでした。
小さなガラスの上靴の片方の他に、贅沢なものの一つも残せず、彼女は、息を切らして帰り着きました。
 宮殿では、どんなに大騒ぎだった事でしょう!
彼女は、彼の手を逃れて突然飛び出しましたので、皇太子は、後を追おうとしました。
しかし、彼は、直に、人込みの中に、シンデレラを見失いました。
結局、何処へ彼女が去ったのか、分からなくなりました。
尋ねた警備隊の誰も、その美しい皇女に気付かなかったのです。
彼らの内の一人は、宮殿の庭を走り抜ける、小さなぼろを着た女の子の姿をちらっと見ましたが、その皇女だという証拠はありません。
皇太子は、諦めました。
その時、廷臣の一人が、長い階段で見付けた、小さなガラスの上靴を、彼の所に持って来ました。
皇太子は、その上靴を履いていた淑女を妻とする、身分が高くとも低くとも、真実の持ち主が見付けられるまでそれを履いてみるチャンスが、誰にでも一度はある、と告知するよう、国王を説得し、そして国中に使いを送りました。  
 その上靴は、初めに皇女に、次に公爵夫人達に、その次に王宮の全ての者達に運ばれました。
 しかし、悉(ことごと)く無駄でした。
最後に、それは、二人の姉の住まいに持って行かれました。
それにぴったり合わせようと、彼女達は出来る限りの事をし尽くしました。
けれども、どうする事も出来ませんでした。
彼女達を見守りながら、あの上靴だと思ったシンデレラは、「そうですね、私に合うかどうか確かめてみましょう!」と口にしました。
姉達は、笑い、彼女を嘲(あざけ)り始めました。
ところが、上靴を履かせようとしていた王宮の侍従は、何て愛らしい人なんだ、と思いました。そこで、無論です、彼女にも是非履いて頂きたい。国中の娘にそれを履いてみるよう、命令を下したのですから、と言いました。
シンデレラは、腰を下ろし、彼女の小さな足に、その上靴を滑り込ませました。それは、あたかも彼女の為に作られたかのように、彼女にぴったりだと云う事が明らかになりました。

14:55 2013/12/18水曜日