2008年9月25日木曜日

悲しみは



悲しみは 
折りたたんだ洗濯物の
そのたわいもない折り目にさえ 
潜んでいて
クレセンドとデクレセンド 
リフレインして

希望の光は 
ブラインドの隙間を
ブーメランのよう
行きつ戻りつ
飛ぶ鳥でさえ遮って
デクレセンドばかり
リフレインして
消えてゆく

夢を描いては
雨がそぼ降る田舎道 
突然降りた遮断機
潜り抜けもせず飛び越えもせず
ひたすら待つ
単調なメロディリフレインして 
魂ごと閉ざされるユクテ

2008年9月5日金曜日

空色の空間



空色に変わって行く
さまよってなんかいちゃ駄目だよって
わたしのいい人が教えてくれた
いい人はわたしの中に住んでいて
わたしの細胞のひとつなんだけど

たとえばこどものころ外は嵐で
空き缶が転がる音や
昼間遊んだ砂場のおままごと道具が
てんでばらばらに散らばった風景
にみょうちくりんなときめきを覚えたように

整理された有様よりでたらめな有様が好き
しあわせな景色よりふしあわせな景色が好き
それをかたちづくる人が好き
かたちづくる人の弱さのそばで
手を握り締めていることが好き

しあわせはわたしには退屈で
脂肪をたくわえた腹部のようで
怠慢でぶよぶよしていて
いのちに実感がなくて

だけど今日はあまりにも
取り乱した後だから
わたしの周りを空にして
わたしはいい人を呼び出して
この小さなお空で鳥のように飛んでみる

2004年8月31日21時16分