https://naritaetuko.jp成田悦子の翻訳テキストとちょっとしたこと

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2012年9月17日月曜日

The Sound of Silence/ Simon & Garfunkel翻訳

Simon & Garfunkel - The Sound of Silence - Madison Square Garden, NYC - 2009/10/29&30


THE SOUND OF SILENCE LYRICS

Hello darkness, my old friend, I've come to talk with you again
Because a vision softly creeping, left its seeds while I was sleeping
And the vision that was planted in my brain, still remains
Within the sound of silence
久しぶりだね暗闇、僕の懐かしい連れ、あらためて君と語り合おうと思っているところだ
ゆるやかに忍び込む展望は、ぼんやりしている間に、その種子を後に残した
脳裏に植え付けられたその展望は、相変わらず沈黙が持つ意味を超えない

In restless dreams I walked alone, narrow streets of cobblestone
Neath the halo of a streetlamp, I turned my collar to the cold and damp
When my eyes were stabbed by the flash of a neon light, split the night
And touched the sound of silence
止む事のない夢現(ゆめうつつ)を胸に、僕はひとり歩いた
外灯の傘の下、丸石の倹(つま)しい通り、寒さと湿っぽさに襟を立てる
僕の視界がネオンの閃光に突き刺されると、夜を裂き
やっと僕は、沈黙が持つ意味に触れた

And in the naked light I saw, ten thousand people, maybe more
People talking without speaking, people hearing without listening
People writing songs that voices never shared, and no one dared
To stir the sound of silence
そして裸電球の下(もと)、一万人の人々、もっとかも知れない、意味を伝える事もなく話す人、耳を傾ける事もなく聞く人、言葉が全く共有されていないのに詩を書く人に、僕の視界は甦った
そこには誰一人、沈黙の持つ意味に目醒めるものはいなかった

Fool, said I, you do not know, silence, like a cancer, grows
Hear my words and I might teach you, take my arms then I might reach you
But my words, like silent raindrops fell, and echoed in the wells of silence
くだらないと、僕は(自分に)言い聞かせた、沈黙は、癌に似て、広がるという事を君達は知らない
僕の話を聞いてほしい、そして僕は君に教えよう
僕の武装を解いて、その時僕は君に触れるだろう
唯、僕の言葉は、雨だれの静かな下降に似て、やがて沈黙の泉となり響き渡る

And the people bowed and prayed to the neon god they'd made
And the sign flashed out its warning in the words that it was forming
And the sign said the words of the prophets are written on the subway walls
And tenement halls, and whispered in the sounds of silence
それから、人々はお辞儀をして、彼らが製作して来たネオンの偶像に祈りを捧げた
実際、奇跡は、形作られていた言葉に潜むその戒めを突然現わす
実際、奇跡は、地下鉄の壁やアパート集会場に書かれる代弁者達の発言を復唱し
沈黙の持つ意味を囁いた


無言も又言葉です。
沈黙とネオンと裸電球、剥き出しの光と人と言葉・・・沈黙の意味合い「The Sound of Silence」
聖書の天地創造を歌っているかのような素晴らしい歌詞です。

翻訳者の誰一人この歌詞の意味を把握出来ないのが、日本に於ける翻訳の実態であり、東京大阪外大、英文科は無いと思った方がいいでしょう。
何処の国の言葉も、その地に行き、その地で学ぶという方法も否定はしませんが、私や貴方の生まれた地で、生まれた地の国語を大切にする事によって最高の外国語を習得する事が出来ます。
文部科学省には、英語優先の現在の在り方を改め、母国語を率先し、子供達に完全に修得させるという方針に変更して頂きたいと思います。
その後に英語が来ようと、何処の国の言語が来ようと何とかなります。
母国語が覚束ないようでは、他国の言葉の履修は困難を極めるばかりでなく、彼の地に永住しない限り、無意味です。

詩は私や貴方の世界です。
Simon & Garfunkelの世界、「The Sound of Silence」の世界は、何処にもなかったはずです。
私達は私達の知らない彼らの世界に行く事が出来ます。
そこに辿り着くには、曲に心を動かされるだけでなく、詩の意味を理解しなければなりません。
自分の世界にはない、或る言葉の世界に行くには、私達の持つ言葉に乗って線路を走るしかありません。
何処にもない言葉の世界に向かう列車に乗り込む為に、毎日貴方の言葉がどんな意味を持つのか考えましょう。

それにしても何と素晴らしい歌詞でしょう。
年を取るなんて事は、彼らには辛い事ではないのでしょう。
今の方がいい・・
いえ、前も良かったし、今もいい。